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【天使】養殖・第三話(12)

作者: AMAKA

 嫁は怒りの表情のまましばし絶句、やっと何かを言い返そうとしたが、


「やめとけ! これ以上【神女しんにょ】はん怒らしたらほんまに殺されてまうぞっ!」


 ていう【天使長】の声がさえぎった。


 涙浮かばしながら続けて、


「【神女】はん許したってください! 元はこんな分からんおなごやおまへんのや! わてからよう言うて聞かせまっさかいに!」


 この言葉に【神女】が片眉をつりあげ、嫁が眼いからして【天使長】にらみつけたとき、


「助けてマミー!」


 仮装者たちのうち、ゾンビやゴーゴンなど人を襲う系の格好したショタ女数人が【痴天使】に群がり、火照った手え伸ばしてその美幼年ぶりを愛でようとしかけとる。


 あわてて【天使長】が助けに入ろうとするも、相手は罪なき『材人』らや、叩きのめすわけにもいかん。怪物になりきったつもりの歯あに噛まれ、爪に引っかかれ、手えに突きのけられながら嫁に、


「なんとかせえや、わが子やろ!」


「わが子? それ、あんたのクローンえ」


 て、【始天使アヅマエル】は冷ややかに笑ろて言うた。


「染色体は少しチューンしたあるけどな、あんたのスペアにすぎンジュえ」


 もう一人の自分の存在ていう思いもよらん新認識にうろたえ、【天使長】の手が止まりよった。


「マミー……それ、ほんまなん……?」


 かすれ声のその問いには答えず、嫁は続けて、


「ゾンビ化でここの連中の心は耕し済み、あとはうちが一気に上書きするだけ。その子の力はうちの【準奇跡】のための地ならし……『予兆』にして『黙示』にすぎへンジュえ!」


 絶望の色うかべながら【痴天使】が仮装者どもの群れに飲みこまれていく。


 そのさまに、今の今だけは自意識の危機切り離して【天使長】は救助に戻ろとしよったが。


 変態行列中の異物と見られたか。【天使長】に新たに立ちはだかる仮装者たちは高揚した形相で各種バトルキャラさながら、対ラスボス限定の最終秘奥義みたいな採算度外視の捨て身技を放ちつつ次々に特攻してきよった。


 手加減の悲しさ、防御が間に合わなんだ。


 思いこみの『波紋』や『呼吸』上乗せして、脳のリミッターもとうに外れてよる、手足の筋をブチブチ言わしながら繰り出す腰の入ったええのを顔へ腹へともろに喰ろて【天使長】の体が血泡ぶちまけ、右に左に錐揉んだ。(『【天使】養殖・第三話(13)』に続)

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