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おじさん、女子高生になる  作者: 一宮 沙耶
第3章 破局へ

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18/25

1話 合コン

大学時代の友人の紗奈から声がかかる。

来週に、外資系コンサル会社の男性社員と合コンをやるから一緒に出て欲しいと。

紗奈は、狙っている男性がいるようで、気合いが入っている。


あの強姦事件からは、男性からあえて遠ざかっていたので本当は断りたい。

でも、メッセージから圧を感じる紗奈の誘いを断ることはできなかった。

理恵がいなくなった今では、唯一の女友達だし。


一方で、最近、自分の体について自分でもよく分からないことがある。

毎晩、男性に抱きしめられる夢をみて、起きるとショーツが濡れている。

バストがむずむずし、生理の後には一人エッチをしないではいられない。


朝から自分の部屋の壁に背を預けて座り、両足をあげて、大きな喘ぎ声を出している。

もう自分ではないみたいで、自分の体を自分でコントロールできない。


私の卵巣が、早く子供を産めと叫んでいるのかもしれない。

でも、男性が近づいてくると、強姦された時の恐怖が蘇る。

もう、私は、ずっと一人で暮らしていく決心をしていた。


合コンの当日になる。

紗奈とは渋谷の井の頭線の改札口で待ち合わせをする。

そこには、紗奈とともに、知らない女性がいた。


「初めまして。紗奈の大学の時の友人の佐久間 紬衣です。今日は、よろしくお願いします。」

「こちらこそ、よろしく。今、紗奈と一緒に働いている櫻井 未来です。紬衣さんは、今、どこにお勤めなんですか?」

「私は検事をしています。」

「え、すごい。頭がいいのですね。給料もいいだろうし、安定していて羨ましい。私なんて就職氷河期で、なんとかしがみついたというか、会社では肩身が狭くて。でも、今日はエリート男性ばかりと聞いて、絶対物にします。一緒に頑張りましょう。」


ごく普通の女性なのだと思う。

でも、私が検事だと聞いて、男性は敬遠するだろうと口元から笑みが溢れる。

自分の方が優位だと。紗奈には悪いけど、未来さんは、卑しい心の持ち主なのだと思う。


まあ、男性と付き合うつもりがない私としては、どうでもいい。

紗奈に義理を果たしたら、早々に退出しよう。


桜丘にある肉バルに入ると、もう男性陣は待っていた。

シックな木目が映える、やや暗い店内に入っていく。


「こんにちは。女性陣3人です。待ちましたか?」

「いや、今来たところだけど、美女ばかりだね。今日は上がるな。」

「いえいえ、どう座ればいいでしょうか?」

「それじゃあ、紬衣はこの男性の横、未来はここね、そして私たち幹事は一緒に座りましょう。」


紗奈はしっかりと狙いの男性に絞り込む。


「早速だけど、飲み物はどうする? 今日は、奢るから、好きな物、何でも頼んで。」

「じゃあ、シャンパンで乾杯しましょう。紬衣も、未来もいいわよね。」

「ええ。」


飲み会は始まった。


横に座る男性は、私のバストに目が釘つけなのがわかる。

もう慣れたけど、いくら高収入のイケメンでも、そんな男性は幻滅する。

女性の体にしか興味がないのかと。


まあ、笑顔で、そうですね、そうですねと言っておけばいい。

そうすれば、時間が終わって帰れる。

そんな形で始まったけど、私はヨイショされて、まんざらではない気分になっていた。

そのせいか、どうも体は中から疼く。こんなことは初めての感覚。


「紬衣さんって、綺麗だし、スタイルもいいし、男からいっぱい声かけられるんでしょう。こんな素敵な人っていないよね。」

「そんなことないですって。でも、そう言ってくれると、嬉しい。」


さっき、仕事の話しがでて、検事だと伝えている。

引くかと思ったけど、むしろ興味が高まったみたいで、積極的に話しかけてくる。


「いや、そうだと思う。まず、飲んで。いつも、休日とか何しているの?」

「何かな。気づいてみると何もしてないかな。」

「そりゃ、もったいない。紬衣さんは、誰もが認める美人なんだから、外に出る義務があるよ。そうだ、これは憲法に定められた義務だ。なんて、検事様に言ったら怒られるかな。あはは。」

「そんな、いい過ぎですよ。私は検事の前に、一人の女性だし。」

「いや、こんな美人、自分の彼女とか言って、周りに紹介したいな。どう?」


こんなことをずっと言われ、お酒も飲まされて、私は、よく分からなくなっていた。

そして、体がほてって、なんか横の男性がカッコよく見える。

胸板が硬くて広いって、カッコいいと。


どうしたんだろう。下半身がむずむずして、男性に体を貫いて欲しい。

腕を組み、バストを押しつければ、もっと興味持ってくれると思う自分がいた。

横の男性に抱かれる姿を想像している自分の気持ちを抑えられない。


お酒のせいなのか、横の男性が素敵に見える。

見つめられると、恥ずかしくて、顔が見れない。何でだろう。

ショーツが濡れ始めているのが分かる。


横の男性が、ふと気づくと、私の手の上に手を乗せてる。

さっきまで1人で生きていこうと思っていたのに、ドキドキしている自分がいる。

手って、とっても暖かいんだ。


手だけなのに、なんか包み込まれている感じがして、心が温かくなる。

なんか、キスをして欲しくて、口を開けて彼の顔を見ている。

ダメダメ、そんな求めるようなことしちゃ、誤解されちゃう。


「紬衣さん、今、飲んでるドリンク、どんな味か僕にも飲ませてくれないかな。」

「いいわよ。」

「じゃあ、飲ませてもらうね。美味しい。でも、これって間接キスじゃない。やった。」

「積極的なのね。じゃあ、私も、飲んじゃう。あ、間接キスしちゃった。いやだ。」


私は、自分の体の欲望を抑えられなくなっていた。

いつの間にか腰を横の男性にくっつけ、手で彼を叩いたりしてボディータッチもしていた。

どうしちゃったんだろう。なんか、ずっと、そばにいたい。


気づくと、横の男性は、私の腰に手をかけている。

気づいたけど、離れたくなくて、気づかないふりしてた。

そして、私も、ももを彼の体にピッタリとつけていた。


6人が座るテーブルなのに、どうしてなのか、周りが見えなくなっている。

自分でも不思議なぐらい甘い声を出して、横の男性を下から見上げている。

体が火照り、じっと椅子に座っていられない。


どうしたら、横の男性の気持ちを惹けるのだろうかなんてことばかりが頭の中をめぐる。

暑いと言って、バストが見えるように、少しはだけるとか。

私を抱いてと声が漏れそうになる。


「ねえ、紬衣って、ベタベタしすぎじゃない。顔が少しだけいいからって、図に乗っているんじゃない。」

「そうよね。やっぱり、男にだらしない人だと大学の頃に言われていたし。」

「そんな人、この合コンに連れてこないでよ。」

「ごめん、ごめん、忘れていたの。だって、お堅い検事でしょう。今は、そんなことないと思っていたから。」


女子トイレでは、紗奈と未来さんがこんな会話を続けていた。

一方、男子トイレでは、こんな会話がされていた。


「この媚薬、効果てきめんだね。紬衣は、もう持ってける。だいたい、お堅い仕事をしている美人が、ベッドの上でどんな風に乱れるのか、興味があるじゃん。胸もダイナマイト級に大きいし。俺と2人でこの後、みんなと別れる。お前はどうする。」

「みんな目星はついた。じゃあ、バイバイね。」


私は、気づくと、どこかの部屋にいて、ベットに横になっていた。

周りを見渡すと、宮殿のような作りで、お風呂がガラスの奥に見える。

時間をみると夜の7時。


「あれ、ここどこ? みんなは?」

「大丈夫。これから、僕とカラオケをするんだ。」

「そうなのね。でも、ベットの上? あれ?」


いきなり彼が上に乗り、かわいいねと言いながらキスをしてくる。

そんな行為を不思議と受け入れている自分に驚いていた。

私の両手が、離れないでと言うように彼の背中を自然と抱きしめる。

目をつぶり、感覚を唇に集中して彼を感じ、宙を浮いているような高揚感の中にいた。


そして、彼は、硬い筋肉の腕で私を抱きしめる。

私は一人じゃない。彼に包まれ、暖かい。

彼と一つになることで、寂しい気持ちは満たされ、安心感に包み込まれる。


これまでエッチって、汚らしい体の行為だと思っていた。

でも、こんなに心が満たされる、心が繋がるものだとは考えたことがなかった。

彼の愛情に包み込まれ、幸せを感じる。私は愛されていて一人じゃない。


そう、私は最近、ずっと一人で寂しかった。それを誰かに埋めて欲しかった。

検事は正義の味方のようだけど、容疑者を犯罪者となるように追求する仕事。

決して好かれる仕事ではない。職場でも冷たい女性と言われ、誰も暖かく接してくれない。


パパとママは私に優しいけど、それは本当の娘への愛情で、私へのものではない。

しかも、その本当の娘は私が殺してしまったというパパとママへの罪悪感でいっぱい。

パパとママの前で、安住できる場所はどこにもない。


しかも、私の詐欺で何人もの人が不幸になり、自ら命を絶った人もいる。

これから、誰からも祝福される時間はない。

だから、誰でもいいから愛され、心を癒してもらいたかった。


もちろん、彼は私のことを愛しているなんて思う程、私はバカではない。

でも、少しの時間でもいいから、私を愛してくれる人が欲しい。

私を抱きしめている時間だけでいいから。


彼は私を求め、少なくとも今は、私と一緒にいたいと思ってくれている。

その期待に応えたいし、そのことで私は一緒にいることができて寂しくない。

彼の大事な所が私の敏感なところを突き、彼も気持ちがよさそうに動きが激しくなる。


彼を気持ちよくしてあげたい。それで、彼は今だけでも私と一緒にいたいと思うはず。

私の冷えた体と彼が一つになることで、身体も心も満たされた気分になれる。

こんな私でも愛されていると実感できる。彼の体と心は暖かい。


いつの間にか、私も、彼の体に自分の下半身を何度も押し付けていた。

その直後に身体中に稲妻が響き渡り、私の体はのけぞる。

彼も、クライマックスを迎えたのか、静かになり、私に覆いかぶさる。


私は、ありがとうといい、彼に体を寄せた。

でも、彼は、私から体を離し、すぐに立ち上がって帰ろうとする。


「さあ、11時になったし、帰ろっか。お堅い検事さんと経験できて良かった。こんなに検事さんが乱れるなんて、期待以上だよ。僕も、興奮した。」


まだ帰らないで、私を、ずっと抱きしめていて。帰っちゃうなんて寂しい。

この時間がずっと続けばいいのに。ずっと、抱きしめていて欲しい。


「もう帰るの? 寂しい。また会ってくれる?」

「そうだね。今度、連絡するよ。LINE教えて。」

「わかった。」


それから数日経っても、彼からの連絡はなかった。

分かっていた。彼に私への愛情なんてないことを。

でも、愛されているというあの時の感情を信じたかった。


最近、私は、自分の変化を感じている。

気づかないうちに男性を目で追っている。

背中がかっこいいとか、胸板がかっこいいとか、抱かれたいとか。


そんなことばかり考えるような毎日となっている。

いつの間にか、体だけじゃなく心も女性そのものになっているみたい。

しかも、体の中が火照り、誰かに抱きしめられたいと思う日が増えていった。

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