母親社員たちは、クリスマスギフト制度をストライキしたい。
なろラジ7 参加作品!
今日の俺、いつもの社員ダイニングで、カミさん特製タンドリーチキン弁当を食す。
一足早いクリスマスって雰囲気で、なおかつ美味い。鼻を抜けるカレーの香りがご飯に合う。最高。
「あー、ストライキしたい」
あれ、衝立隔てた後ろ側に座っている事が多い、営業部の宮原と伊藤は出張中のはず。別の人か。ってかストライキって、弊社そんな粗悪環境ではないと思うが。
「ホントよね! 超物価高な現代、サンタクロースのギフト制度は、家計にとどめを刺しにきてるわ!」
あー、クリスマスかぁ。
上の娘はサンタさん=親って既に知っているけど、下の娘は保育園通いで、まだサンタさんに思いを馳せる、可愛い時期だ。
「ゲーム機ねだるとか、ホントに勘弁してほしいわ」
「あれでしょ、ズイッチ2」
「まさにそれ!」
こないだ、ピッグカメラで抽選販売やってたなぁ。え、あの値段のゲーム機をおねだり?!
「家に帰ってきて、言わなきゃ手洗い・うがいをしない、宿題もしない、ランドセルはリビングに何度言っても放置。そんでお手伝いするわけでもない、良い子とは真逆に居る小僧が、5万もするゲーム機ねだる資格あるのか? って言いたいわ」
小学生男子はそんなもんです。とはツッコミできない気迫があるな。お母さん、大変そうだ。
「んで、旦那なんて、買えばいいじゃ〜ん、とか嬉々として賛成してんのよ!」
「ズイッチ1、まだ動くでしょって思うけど、2は別物ってね……やだわー」
男はゲーム機関連、賛成・食いつき激しいんだよな。気持ちはわかる。
「クリスマス何年分なのよって話よ」
「ホントホント」
まぁ、5万円くらいだもんな、ズイッチ2。
「でもって息子にプレゼントしたとして、宿題しないとゲームはダメとか言った時、「おれのゲームですぅ! おかーさんが禁止する権利はありまっっすぇーん!」とか言うのが、目に見えてるわ」
男子じゃなくても、子供ってそういう面あるよね、うん。
「そそ、あるあるよね。うちはズイッチ2を、我が家のゲーム機って事にするの」
「あ、それいいわね! んで、ソフトは息子の物としてプレゼントすればいいわよね」
「ホントはゲーム機自体却下したいけど、友達の中で息子だけ持ってないだと、一緒に遊べないの可哀想なのよね」
買ってあげないって選択肢はないようだ。
なんだかんだ、子供に甘くなっちゃうのが親ってもんだよな。わからなくはない。むしろわかる。
うちも数年後、そんな風になりそうで怖い……。
5万円……。




