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「お待たせみなのものー!」
「なんだそりゃ」
家庭科室にはいつの間にか教室から姿を消していた嵐くんが先に来ていて、元気よく入ってきた雲雀ちゃんの様子に対しておかしそうに笑っていた。いつもは呆れていることが多いのに、珍しい。
「なんか久しぶり、みぞれさん」
「あ……うん……」
教室では彼の視界になるべく入らないようにしていたから、こうやって真正面から向き合うのはこの前ぶつかって以来だ。
さっきのトラブルがあったことで薄れていた気まずさがまたちょっと顔を出す。
「こんちはっす!」
「こんにちは。大樹くん」
溌剌と挨拶をする大樹くんはいつも通りだった。
前回のことなんて忘れたみたいに普段通り。だがそんななか、いつもとは違うものが目に入る。
「こんにちは、花巻さん」
「……こんにちは、スミレさん」
これまではずっと座って私たちのことを見守っていたスミレさんが、エプロンをつけていた。
調理台の前でボウルをかかえてかしゃかしゃと泡だて器で中身をかき混ぜている。
「言ったでしょう? 今日は特別なんだよ」
「今日だけ特別、スミレさんデーです!」
「スミレさんデー……?」
楽しそうな雲雀ちゃんたちの様子にスミレさんは「ハードルが急上昇してるわねえ」なんてのほほんとしている。
「スミレさんデー……」
「要は今日だけスミレさんが作ってくれるってこと」
話についていけていない私を見かねて嵐くんが説明してくれた。
「ちょっとのお手伝いは頼むけど、今日のみんなのやることはお腹いっぱい食べることだけです」
「いいんですか?」
なんだかちょっとずるをしている気分になる。
「いいんですよ。なんといってもこの学校で一番偉い人が言ってるんですから」
「いえーい! しょっけんらんようだー!」
あっけらかんと言われて気が抜ける。雲雀ちゃんといると、私って考えすぎなのかもしれないと思える。……ああでも、どうだろう。私って昔からこうだっただろうか。
昔はこんなに考えたりはしなかったような気がする。
「ふふふ、でもちょっと手が疲れてきましたね。混ぜるのお願いしてもいいですか?」
「勿論」
ボウルを嵐くんに渡すと、スミレさんはまた新しくボウルを取り出して卵と牛乳を入れていく。
「これ、ホットケーキですか?」
次にボウルに入れようとしたのがホットケーキミックスだったのを見て聞くと、スミレさんは歌うように言った。
「フルーツとクリームを山盛りにした甘いのもいいし、ベーコンやスクランブルエッグと一緒に食べて甘じょっぱさを楽しんでもいいし、スタンダードにメープルシロップとバターで食べてもいいし、私ホットケーキって自由で好きなのよ」
今の子はホットケーキじゃなくてパンケーキって言うのかしらね? なんて小首を傾げたスミレさんにみんなで「ホットケーキも言いまーす」と口にする。なんだか幼稚園児みたいな返しだ。
そんな私たちのことを、スミレさんはやわらかな瞳で見ている。
ふとスミレさんってなんだか魔女みたいだと思った。どこか浮世離れした雰囲気があって、内緒が似合うから。
でももしそうなら、料理部でお腹を満たしている私たちはみんなヘンゼルとグレーテルになってしまう。逃げなかったら二人はどうなっていたんだっけ。食べられちゃうんだったかな。
スミレさんが魔女なら、悪い魔女よりもシンデレラに出てくるような良い魔女なんだろうけど。
「花巻さんはこっちを混ぜてくれる?」
「あ、はい」
ぼうっとしてたところに渡されたボウルを反射で受け取る。恐る恐る混ぜてみるが、まだ粉が重くて軽快には混ぜられない。
どれくらい混ぜるのが正解なんだろうか。もう混ぜ終わったらしきボウルがあったので中をのぞくが、見ただけでは私には分からない。
「だいたい混ざったなくらいまでやれば大丈夫だよ、みぞれさん」
「だいたい……」
出た、料理ができる人の言う『だいたい』だ。だいたい、とか。少々、とか。ふわふわした言い方は料理初心者には難しすぎるのだ。
「まだちょっとダマあるかな、くらいまで混ぜたらOK」
「わかった、ありがとう」
難しい顔をしたのを見てすぐに言い直してくれる。料理が全然できないことを、嵐くんは呆れることも馬鹿にすることもしない。ありがたいけれど、でもやっぱり不思議にも思う。
この人は、どうして私を料理部に誘ってくれたんだろう。
「さてみんな混ぜ終わりましたね」
嵐くんと私と大樹くんが混ぜた、ボウル三つぶんの生地ができると、スミレさんはフライパンを手に取った。
「見ててもいいし、休んでてもいいですよ」
そう言われたので、せっかくだから焼けるところを見ることにした。
ちっちゃな頃、絵本に出てきたのに憧れてお母さんに作ってもらったことがあるはずなのに作り方はちっとも思い出せない。
できることが増えるのは嬉しいことだ。せっかくならちゃんと覚えたい。
覚えたって、家で作れはしないけれど。
「それじゃあ焼いていきますね」
思っていたよりも高い位置からおたまで生地を落すと、フライパンの中で生地は勝手にまあるくなっていく。
おたまでちょちょっと整えれば完璧な円のできあがりだ。
そのままちょっと待つと生地の表面にぷつぷつと小さな穴があいていく。
「そろそろですね」
フライ返しでスミレさんはとっても器用にホットケーキをひっくり返した。
「美味しそう……」
思わず声が出てしまうくらい、現れたのは艶々つるつるのキツネ色の焼き目だった。
「そうね、美味しそうねえ。みぞれさん、お皿取ってもらえる?」
用意されていた白い平皿を持っていくと、スミレさんはそのうえにぽんと焼き上がったホットケーキを乗せた。
ふかふかに焼き上がったそれはできたてなのでほんのりと温かさが伝わってくる。
「どんどん焼いちゃうからみんなは好きなトッピングを用意してのっけちゃって」
フルーツとクリームは冷蔵庫のなか、ベーコンとスクランブルエッグは別のコンロを使って作っちゃって。
そう指示されたので手分けして準備していく。
嵐くんと大樹くんが卵とベーコンを持ってコンロに向かったので、女子チームで残りを準備していった。
冷蔵庫のなかにはボウルいっぱいに入れられた生クリーム。それに苺に、桃、バナナがカットされてそれぞれお皿に分けられていた。
「豪華……!」
こんなにいっぱい、いいんだろうか。絶対に予算をオーバーしている気がする。
「わくわくするね!」
チョコソースとフルーツソースを両手で握りしめた雲雀ちゃんがにこにこしている。
「そうだね」
いまだけ気にしないでもいいのかもしれない。今日このあと家に帰ったら、多分また一人の時間はとても寒く感じるだろう。
それでもいま感じている楽しさから目をそらすこともできない。だってすごく、楽しいのだ。離れたくない。ここにいたい。
ふらふらとした自分が嫌になるけれど、どうすればいいのか自分にもわからないのだ。
最終的にホットケーキミックス五袋分。たくさん焼いたと思ったホットケーキは、すぐになくなってしまった。
私と雲雀ちゃんが生クリームとフルーツ、美月ちゃんがバターとメープルシロップ、嵐くんと大樹くんはベーコンとスクランブルエッグのホットケーキを食べた。
それぞれ二枚ずつ分けたあとに、何枚か余ったのは半分こで最初のとは違う味のを選んで食べる。
生クリームを全体に盛り盛りにして、半分をバナナとチョコソース、半分を苺と桃で飾ったホットケーキはとっても美味しくいくらでも食べられた。
甘いだけでは食べ切れないかと思ったが、生クリームのちょうどいい甘さと苺の酸味がほどよかったのだ。
合間にベーコンのも一切れ分食べたのだが、甘い物の合い間に食べる味の濃いしょっぱいものというのはどうしてこんなに美味しいのだろう。
食い意地とお腹の具合とのせめぎ合いでもう一切れ食べるか悩んでいると「余ってるんだから気にせず食べていいよ」と嵐くんが悪魔のささやきをしてくる。
まったくもって善意からの言葉なのはわかるのだが、恐ろしい一言だ。嵐くんと一緒にいるともしかして私は太るんじゃないだろうか。
強い意思を持って断ると、嵐くんはちっともよくわかってない顔で「遠慮しなくていいのに」なんて言っている。そのうち雲雀ちゃんに怒ってもらおうと思う。
そうこうしているうちにみんな食べ終わり、満足そうな顔で手を合わせる。
「ごちそうさまでした」
「はい、お粗末さまでした」
お皿を流しに持っていくと、片付けの前にちょっと休憩でお茶をしましょうとスミレさんから提案があった。この家庭科室には紅茶やコーヒーが常備されているので各々飲みたい物を準備する。
入れ終わってまた席に着くと、みんなを見渡してからスミレさんは口を開いた。
「では、ちょっとお話でもしましょうか」
「え?」
急に冷や水でも浴びせられたかのようだった。改まって話だなんて、一体何を言われるんだろう。良い予感はしない。
「実はちょっと相談を受けてまして」
全身が固まる。みんないつも通りだったけれど、やっぱり困っていたのだと胃がぎゅっと縮こまる。
「柳井さんがね、お兄さんについて悩んでいるらしいんです」
「え、俺!?」
自分を指差して嵐くんが驚愕している。
「自分だけが話しても埒が明かないから、みんなを巻き込んじゃってくださいってお願いされたのだけれど、いいかしら?」
想像していなかったことに呆気にとられる。
とはいえ美月ちゃんが何か困っているなら力になりたい。
呆然としている嵐くん以外が頷くと、美月ちゃんが椅子から立ち上がった。
「まず、巻き込んでごめんなさい」
ぺこりと彼女が頭を下げる。別にそれは全然構わないのだが、らしくないやり方に戸惑いが残りはしていた。
嵐くんも美月ちゃんも人に迷惑をかけるくらいなら、自分たちでどうにかしようとするタイプに思えていたのに。
「でもこの人! 頑固なんです本当に」
びしっと音がしそうな勢いで美月ちゃんが嵐くんを指差す。
眉をつり上げている顔を初めて見たが、綺麗な人の怒った顔は迫力があった。
「なにが」
苦虫を噛み潰すような顔をした嵐くんに、美月ちゃんはさらにぎゅぎゅっと眉間にしわを寄せた。
「私が拒食症になった原因は私自身にあるのに、いつまでたっても自分に責任があるって思ってる」
「父さんは仕事が忙しいし、一番近くにいた俺が気づくべきだっただろ」
さらりと言われたそれに息をのむ。
前にこぼしていた『本当にすごいやつ。なんかヒーローみたいなやつだったら、妹が拒食症になる前に気づけてたんじゃないかな』という言葉が頭をよぎった。
「これ! これなんですよずっと。ずーっと話が平行線で全然進まない!」
「進むも進まないもないだろ、事実そうってだけなんだから」
「違うよ。お兄ちゃんのそれ、もう呪いだから」
賛同するように、雲雀ちゃんも深く頷いている。
「あーはいはい、呪いでいいよ。というか別に俺がどう思っていても別に困るわけでもないしいいだろ」
なんというか。これまでの二人の問答がありありとわかるやり取りだ。
なげやりな調子になった嵐くんに向けて美月ちゃんは「よくない!」と叫ぶ。
「重い!」
「重いって、美月お前なあ……」
お兄ちゃんの顔で何か言おうとしたのを遮るように私は口を開いた。
「――わかる」
「みぞれさん?」
「重いの、わかるよ」
二人とはまた違うけれど、身を削った愛情を重く感じるのは私にもわかる。
「嬉しいけど、嬉しくないよね」
まさか私がここで口を出すとは思わなかったようで、なんとも困った顔で嵐くんは固まった。
「お母さんから私のこと守ってね、よろしくねって頼まれたのは知ってる。でもだからってお兄ちゃんは責任を感じすぎ」
口をつぐんだ彼に対して、ここぞとばかりに美月ちゃんは追撃する。
「嵐くんの責任感が強いところは良いところだけどさあ。ちょっと抱えすぎなところはよくないよねえ」
やんわりと雲雀ちゃんからも釘を刺され、ますます嵐くんは苦虫を噛み潰したみたいな表情をしている。
「抱えすぎってことはないだろ、頼るべきところはちゃんと頼ってるし」
「じゃあ、一年のときに三か月でバスケ部辞めたのはなんで? 前まで恋愛に興味なさそうだったのはなんで? 週のうちほとんどの家事を担当するのはなんで?」
「なんでなんでお化けになるな。二歳児かお前は」
茶化さないで! と叱られると彼は深くため息をつく。
「部活や恋愛なんて別にしたくなきゃしなくていいだろ。家事やってんのは、うちで仕事してないのは俺だけなんだから当たり前だろ。料理は嫌いじゃないし……、というか家事やって怒られるってどういうことだよ」
「うーん、確かに」
「大樹くんちょっと黙ってようか」
ばちんとなかなかの音をたてて雲雀ちゃんが大樹くんの口をふさぐ。
「嫌々家事やって不満まきちらしてるわけでもないんだから、文句を言われる筋合いない」
「そうじゃ――」
「嵐くんは全然わかってない!」
彼の一言で、かっと目の前が赤くなり言葉が飛び出した。
「え?」
「自分が迷惑をかけている自覚があるから、辛いんだよ」
「み……、みぞれさん……?」
「そりゃ怒るようなことじゃないよ、怒るようなことじゃない。嵐くんは正しいよ。でも、息苦しいんだよ」
急な私の発言にみんなが驚いているのがわかる。でも止められなかった。
「自分のために無理されるのは、苦しい」
「そう! 通院の日のたびに、自己嫌悪でいっぱいみたいな顔するし!」
「でも私のためってわかってると何も言えなくなるんだよ」
「本当にそうです。お兄ちゃんはずるい」
「何も、言えなくて、何も、でも、やっと、言ったのに……」
ああ違う。これは違う。美月ちゃんのことじゃない。いま自分のことを話す状況なんかじゃないのに。
嵐くんから美月ちゃんのことを聞いたあの日、嵐くんたちのお母さんのことを聞いたあの日。
深夜までお母さんが帰ってくるのをリビングで待っていたあの日。
私、ちょっと料理できるようになったんだよ。だから無理して夕飯用意しなくてもいいよ。
お母さんに私はそう伝えた。
「やっと、言ったのに、ただ否定されたら、本当にもうなんにも言えなくなる……」
お母さんは「子どもはそんなこと考えなくていい。期末テストだって近いでしょ、勉強の時間減っちゃうわよ」って全然取り合ってくれなかった。
わかってるよ。お母さんが言ってることは正しい。でも、私のこと全然見てないなって思う。
「ちゃんと聞いてあげてよ」
ちゃんと聞いて。私を見て。正しさじゃなくて、いま目の前にいる私を見て。
「………………わかった」
目元にぎゅっと力を入れて嵐くんを見つめると、彼は根負けしたように頷いた。
これ以上口を開いたら余計なことを言ってしまいそうだったので、よかった。
張り詰めていた空気がゆるむ。その瞬間「あのー」と大樹くんが手を上げた。彼は不思議そうな顔でみんなを見回す。
「一つ気になってることがあるんですけど」
「なに?」
「嵐先輩的には柳井のこと守れなかったって気持ちなんだと思うんすけど」
まあ、妹に対する兄貴の気持ちってそんなもんなのかもしれないけど。いやうちには男しかいないからわかんないんすけど。
そう前置きをすると大樹くんは腕を組み首を傾げた。
「柳井って別にそんな弱くないんじゃないですかね?」
その一言で、なんとも言えない空気がただよった。みんなちょっと思っていた部分を、指摘されたような気がした。
モデルの仕事のことで色々言われやすい立場だから、拒食症だったから、守らなきゃという気持ちがある。
嵐くんやそのお父さんは勿論、幼馴染である雲雀ちゃん。そして嵐くんから話を聞いた私もそうだ。
「いやまあ強いってほどでもないだろうけど、少なくとも赤ちゃんよりは弱くはないんじゃないですか?」
なんか嵐先輩の柳井への態度ってたまにそんくらい過保護っすよねー。
そう続けられた言葉に、美月ちゃんが大口を開けて笑いだす。
「それに母さんも言ってましたよ」
「上里さん?」
大樹くんのお母さんというのは、たしか美月ちゃんが最初に入院した頃から今までずっと気にかけてくれているという看護師さんのことだ。
「美月ちゃんは、強い子だって。自分に勝てる強い子だって、褒めてたよ」
「本当?」
「こんなことで嘘言ってどうするんだよ……って」
すんと鼻をすすった音が聞こえ、大樹くんは慌てる。
「な、泣いてる?」
「強いから泣いてない」
「お、おう……そうか……使えよ……」
箱ティッシュをそっと渡され、美月ちゃんはお礼を言って受け取ってから思いっきり鼻をかんだ。
「そうだよ、お兄ちゃん。私もう小学生じゃないよ」
美月ちゃんはそう言って、泣きながら笑った。
「――そうだな」
小さくこぼした嵐くんのその一言は、肩の荷を下ろすようだった。
なごやかなムードになったとき、ぱちぱちと手を叩く音が聞こえてきた。
「みんな自分の思っていることがちゃんと言えて素晴らしいですね」
スミレさんはにこにこと菩薩みたいに微笑んでいる。
「そうかも……しれないですね……」
前は、そんなふうには思えなかった。
言ったってどうにもできないのに、ならなかったのに、思っていることを伝えることは本当に良いことなんだろうか? そう思っていた。
でもそうじゃないのかもしれない。一人じゃ解決しないことも、誰かと考えればなんとかなることもあるのかもしれない。それに私は言わないことを裕子から怒られたばかりだ。
「ええ。でも、相手のために口をつぐむことも勿論素晴らしいことですよ」
「お兄ちゃんは不言実行すぎですけどね」
「だからわかったって。いま反省してるところだから」
「なにを? なにを反省していますかー?」
「だから! 俺のせいだとか、そういう感じのをなるべくやめる……とか……」
ごにょごにょと口のなかで言葉を転がす嵐くんを見て、美月ちゃんは満足そうに笑っている。
「それでよろしい!」
「お前なんか雲雀に似てきてない?」
二人は抱きつき合って「仲良しだもんねー」「ねー」なんてしている。ちょっとうらやましい。
私が見ているのに気づいたのか、二人はにやりと笑うと近づいてきて、両サイドから私のことをぎゅっと抱きしめてきた。
「わ!」
「ふふふ、みぞれちゃんも仲良しだもんねー」
「さっきお兄ちゃんに言い返してくれたの嬉しかったです。みぞれさん大好き!」
照れくさいけれど、まっすぐこう言ってもらえることは自分をまあるくしていく気がする。
勝手に顔がほころんでいく。あたたかかった。本当に。
「あらー、なんですか嵐くんそんなじとっとした目でこちらを見て」
「うらやましいよねー、でも変わってあげられませーん」
「いま俺が言い返せないからって言いたい放題だな!」
頭をかかえる嵐くんは、ちょっと格好悪くてとっても年相応だった。




