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界外子 壱
界外子 壱
光り輝く世界の外側の、真っ暗な空間との狭間に生まれし者ありて。
なんの因果か時の悪戯か、界外子と呼ばれる生まれるべき場所を間違えて光りの世界の外に生まれし者なりて。
何にもないただただ黒い空間から、黒い小さな手がひょっこり顔をだしました。
ただただ黒い空間に手を掛けて、もう片方の小さな手もにゅっと出し、そのままただただ黒い空間に手をかけまし。
うんしょっと、うんしょっとと顔を出しました。
今度は右足をただただ黒い空間にテイッとかけて。
両手を片方づつ伸ばしては、ただただ黒い空間を掴んで、うんしょっと、うんしょっと、うんしょっととと、ただただ黒い空間から、ただただ黒い空間の大地へと、小さな影の赤ん坊が這い出してきました。
這い出すのに疲れたのか、ただただ黒い空間の大地を掴んだまま、ただただ黒い空間から生まれた影の赤ん坊はコクりと眠ってしまいました。




