序章 弐
ルールについて説明致しましょう!
「豪華商品争奪戦の内容は、至ってシンプルです! 敵チームを全滅させて、残りが壱チームになれば、そのチームの勝ちとなります。戦闘で倒れた選手は光と共に消えてゆき、わたしの用意した特別観覧席で勝負の行方を見守って頂きます。簡単にともうされましたし、説明が少し面倒なのでパネルで出しますね」
パチッ! と創成神エル・シオンが軽く指を鳴らすと
ごくありふれた壱般的なホワイトボードがあらわれました。
豪華商品そうだつせん
壱チーム拾人制(全陸チーム)
騎士の世界の選抜
自由と魔法の世界の選抜
天上の世界の選抜
自然と現象の世界の選抜
普通の世界の選抜
世界のトップチーム
※敗者は光と共に消え、特別観覧席へ移動となる。
残り壱チームになった瞬間完全決着とする。
「このような感じで考えておりますが? いかがでしょうかね?」
「おい! 待て! エル・シオンよ? 何だあれは? しれっと、世界のトップチームとか書いてあるが? ここにいる我々の事じゃないのか?」
「何? 俺ら伍人で、あの面倒臭いあいつら全部を相手にするのってのか? 共闘などせんぞ?」
徐に大柄な男が、エル・シオンの頭を、ガシッと鷲掴みにする。
何事もないかのように、創成神エル・シオンはおどけた表情で話を続ける。
「そ、そんな分け無いじゃ無いですか? あなた方のチームにも後伍人入ってもらうつもりですよ……勿論ですとも」
「やっぱりですね! 各世界のトップを抜いてこそわかる、其々の世界の実力者たちの熱き闘いを観たいじゃないですか?」
創成神エリュシオンの、屈託の無い笑顔が光り輝く。
「それとですね! 皆様不在の各世界の代表メンバーを、もうこちらで勝手ながら決めさせて頂いております。招待状を今、各世界の代表者宛に送りましたからね? もう後戻りは出来ませんよ! フフッ……」
にやりと不適な笑みを浮かべ、各世界のトップたちの背筋に冷たいものが迸る程の鋭い眼光で壱瞬固まる伍人……。
気力を振り絞り反論するものあり。
「それは我々が決めるべき事ではないのか?」
「お忘れですか? わたしはあなた方の良き理解者でもありますが? 創成神であると云うことを! 後はあなた方が、この僕の見つけられなかった逸材を壱人ずつ見つけて来て欲しいんです!」
「争奪戦開催までまで1ヶ月とします。壱月もありますからね、あなた方なら楽勝でしょう」
「そうね、1ヶ月後が待ち遠しいですわあ」
赤と黒のドレスを着た女性は楽しそうである。
「ふん! 了承した!」
いままで目を瞑り寡黙だった壱人の侍風の代表が静かに立ち上がる様は、侍には似つかわしく無いくらい穏やかである。
「おい! おまえ喋るのかよ? 無口なアザやろうじゃなかったの? 久しぶりに声聞いたぜ!」
そんな空気が壱瞬で壊れた。
「あはははは……皆楽しみましたよ。1ヶ月後を楽しみにしています……いた!」
こうしてトップ会談はエル・シオンが頭を掴まれながら終わっていった。
そんなトップ会談のあった事など知らない、各世界の白羽の矢が当たった者たちは創成神エル・シオンからの招待状に騒然となっていました。




