迫りくる選択の時 伍
迫りくる選択の時 伍
持ち上がったはいいけど……おっとっと? バランス、ムズ。
足を前後左右斜めと中心軸を気にしてバランスに注視し、世話しなくハッハッハッハッハッと動かしながら、背負う洗濯物壱枚壱枚、その壱番上へと滞りなく気を巡らせてゆく。
流々華はパッと目を見開き「よっし! 整った」
目指す湖に立ち登りかけた渦が巻き上がってゆく水柱をじっと凝視する鋭い眼光。
そして裸足の足裏へともう壱つの流れを生み出していく。
じんわりと足裏が温かくなってくる。
肩に食い込む、わたしのスボラな重み。
もう少し大きめで行くかな?
壱歩目でスボッてなって、ド派手にすっころんだんじゃ目も当てらんないし。
ピッと垂直に弐の腕を耳に当て、選手宣誓でもするかのように、流々華は左腕を天へと綺麗に突き伸ばしました。
「よっし! 流々華行きま~す! 水面水黽走り!」
ダッ! と、流々華は石だらけの大地を思いっきり蹴り、瞬足ダッシュで駆け出しタッタッタッタッタッピシュピシュピシュッと水面へと走りだしました。




