引き継がれる重荷 弐
引き継がれる重荷 弐
「失礼致します」
キュッキュッキュッキュッキュッ!
「リリーよ! 厚底長靴はお脱ぎなさい! ここの間は土足厳禁ですよ! 大理石は素足でと決まっております! お下がりなさい!」
キュッキュッキュッキュッキュッキュッ!
リリーは悪ぶれる様子もなく、涼しい表情のまま謁見の間を土足で踏み荒らしてゆく。
「ですから、最初に失礼しますと、お断りしておりますが?」
「その場で良いからお脱ぎなさい! 失礼にも程がありましてよ! 皆に示しがつきません!」
「そこの手前で履きましてよ! 下ろし立てですものどそくでは御座いませんが? 内履きと言っても宜しいかと? 土足禁止には引っ掛かりませんかと?」
両脇にズラリと並び座し、雑面の奥から静かに睨みつけている小言ばかりのオジジ達。
「屁理屈ばかりの捏ねおってからに? まあ良い! 次はソチの番じゃからな!」
「何の事ですか? 今日呼んだのって?」
「皆の者耳の穴をカッボジッテ良くきけ~い! 代替わりの刻が参った! ワチは大地へと還す! リリーに右近の橘を譲りもうす! 以上じゃ! 散れ!」
「ははあ! 御意に御座います!」
「リリーよ! 後は御前の好きにするが良かろう! 最期に右近の橘の頭として命じよう! ただ壱つ! 不浄の輩を壱掃せよ!」
「は~い! わかりましたあ! 用事が終わったのでしたら。じゃあ今日の所は帰りますね! オジジたち迷惑かけるかもだけど宜しくね!」
キュッキュッキュッキュッキュッキュッキュッ!
雑面の下、苦虫をを噛み締めた表情を浮かべ、静に時期頭リリーを見送るオジジたちでした。




