表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/14

03 謎

 けれども、野洲は死んではいなかった。

 相変わらず携帯は繋がらなかったが、天文台の電話システムには異常がなかったので、その一件の直後、慎二とるう子は北羅瀬天文台から地元の警察に連絡を入れた。どう説明したらいいのか見当がつかなかったので、自分たちが見たありのままを述べた。一時間近く経ってから警官三人がランドクルーザーのパトカーに乗ってやってきた。そのとき救急車に乗って一緒に駆けつけた医師が野洲の状態を一時の心不全と機能不全と判断し、意識の回復を待たずに病院に送った。

 その少し前――

 るう子は気が進まなかったが、警察が到着するまでの間、慎二が天文台の中を調べると主張するので、しかたなく彼のあとについていくつかの部屋をまわった。その結果、二つの部屋――電算機室と信号解析室――で四人の死体を発見した。天文台を尋ねた当初の目的――宇宙ノイズ――のことは二人ともすっかり忘れていた。

「……で、実際のところ、何が起こったんだね」

 現場検証の後、その場で改めて二人から事情を聞くことにした年配の警官はいった。恰幅が良く頼りがいのありそうな警官だった。

 けれども――

「さっきいったこと以外、ぼくたちにもさっぱりわけがわからないんです」

 警官の質問に、慎二は正直に答えた。それ以外の答えが思いつかなかったからだ。

「では、そちらのお嬢さんのご意見は?」

「わたしも彼と同じです」

 るう子も慎二と同じ答えを返すしかなかった。

(でも……)

 と、るう子は思った。

(前原くんの電話によると、野洲さんは『今日、セミナーがある』といったはずだわ。なのに、わたしたちが天文台で見つけたのは、野洲さんを含めて五人。とすると、あとの人たちは、いったい何処へいってしまったのかしら……)

 国立北羅瀬天文台は、関係者の健康回復を待ち、何らかの事件の手がかりが得られるまで一時立入禁止となった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ