夢、向き合うとき
スマートフォンにて失礼します。今回はかなり時間が掛かってしまいました。
くらい。すごくくらい。先の見えないほどの暗闇が続いている。
いや少し違うか。
私は顔を下に向けて自分の姿を見る。月ヶ峰高校の女子制服を着ている。どうやらここは完全に先が見えないと言う訳では無く、この先には何も無い暗闇が続いて居るみたいだ。
なんで?そう言う疑問は浮かんだが直ぐに消え去る。ここは夢だ。いわゆる明晰夢と言われるものの類いだろう。
夢と自覚できる夢を初めて見た私は物珍しげに周囲を見回す。どの方向を見ても暗闇が続いている。飽きた私は次にどうするかを考える。
「…歩こう」
どうやら他に出来ることは無さそうだ。そう思って私は歩き出す。道なんて無い。手掛かりなんて無い。目的も何も無い。無い無い尽くしの夢世界旅行が始まった。
「……」
飽きた。まだ体感時間で5分も歩いていない。でもここまで何も変化が無いと流石に飽きる。何だったらもう少し彩りが欲しい。
「うーん…」
そもそもどうしてここには何も無いんだろう?ここが私の夢だったらもっと何か有っても良いと思う。
──ガコン
「え?」
遠くでそんな音がしてその方向に顔を向けると、どう言う原理か解らないがスポットライトが宙に浮いていて、その真下を照らしている。
その中に居るのは──
『なんで!?どうしてですか先輩!』
『…ご…ぉぼぉっ!…ぉ…ぇん……ぁぅい…』
血溜まりの中で倒れる灰田先輩とそれに縋り付く私だった。
「……」
◆ ◆ ◆
その日のことは思い出したく無くてもよく憶えている。
何て事の無い、いつもの先輩とのデートの終わり。少し疲れたから休もうと思って公園のベンチに二人で座った。
いつもと違ったデートコース。慣れない土地を歩いて疲れた私達は偶々見付けた小さな公園で二人で談笑する。何て事の無い日常の延長線。公園で遊ぶ小さな子供達のはしゃぎ声と、離れて見守るその子達の母親らしき人達の世間話の声。風に揺られてカサカサ鳴る植木の葉擦れの音。時折聞こえてくる小鳥たちの囀り。そして私と先輩の声。
初めて来るはずのその公園。でも初めて来た感じのしないどこか包み込まれるような安心感。そんな暖かさがあった。
ふと、視界の端を小さなボールが横切った。何となくそれに目を向けると、遊んでた子供達が遊びに使っていたボールが明後日の方向に転がってしまい、しかも間の悪いことに公園の外まで転がっていってしまったみたいだ。
「あ、私が取ってきますよ」
いつもと変わらない雰囲気。でもいつもと違った場所に来た私は普段の私だったらしないようなこともしてみたくなった。言ってしまえば先輩みたいになってみたかった。
「え?大丈夫?」
「問題ありませんって、それにあの子達が飛び出すのも心配ですし」
「そうだね、わかった」
先輩に見送られて公園の外へボールを取りに行く私。この時の私は普段のはまた違う高揚感に包まれていた。
先輩に頼られてる。
先輩と同じ事が出来てる。
先輩みたいになれてる。
そんな浮ついた気持ちだったからか、本当に些細なことに気が付きもしなかった。
──ビービー!!!キキーーーー!!!!
「──え?」
本当に。間が悪いったらありゃしない。
ボールが公園から転がり出るのも。
私がそれを追いかけたタイミングも。
トラックが通りかかるのも。
恐くて動けなかった。まるで現実感が無かった。そんなのはマンガやアニメの話だと思ってた。テレビでニュースになるのもどこか遠い世界の話だと思ってた。だから咄嗟に動けなかった。
──ドン
伝わる衝撃。でもそれは私が轢かれたのでは無く、誰かに突き飛ばされるもの。
──ドンガン!!!
今度は聞こえてくる大きな衝突音。一度に色々ありすぎて何が何やら解らない。
「ゲボッ……ゴボッ……」
その音で我に返った。
音の出所を探るために起き上がる。やめろ。突き飛ばされた衝撃で軽く擦りむいたらしい。みるな。立ち上がるために地面に手をつく。やめろ。手に何か温かいものが触れる。だめだ。何に触れたのか見てみる。やめて。あかい。なにこれ。振り返る。だめ。あかい。なにこれ。あかい。なにこれ。あれは。みるな。先輩?みちゃだめ。なんで?。みちゃだめ。あかい。みちゃだめ。先輩倒れてる?みちゃだめ。これ、血?やめて。誰の?なんで?これ?あれ?どうして?あかい?あたたかい?あたたたかあたたかあかたたあたあかたかたかあたかあたあかたあかたかたあかたあたあかあかたあかたいかたかたかあかたあかたあかたあかあたかあたあたかたあかあたたあかかあたかたあかたあ──
「ゴブッ……ぁい…しょぅう?」
「──っ先輩!」
血混じりのかすれた声で何かを話す先輩の声で、私は漸く再起動を果たした。
◆ ◆ ◆
『っ!そうだ救急車を!』
『ぁい…ぃよぅ…たかぁ…』
『!喋らないで!そうしたら余計にっ!』
──ガコン
その音と共に灯りは消え、また何も無い暗い空間に戻った。
「……ハァ」
溜息が出る。あの頃の私を客観的に見たらあんな風になってたのか。
あの後はあ目まぐるしく事が進んだ。警察が来て、救急車が来て、先輩が運ばれて、病院で死亡が確認され、公園の安全性の欠如が指摘され、トラックドライバーさんが書類送検され、エトセトラエトセトラ。
これら全てが僅か一週間で起きたそうだ。その間に私が何をしていたかというと。ただひたすら部活や勉強に打ち込んだ。そうでもしないとこの時の私にはとても耐えられそうに無かった。見たくない現実を直視しそうで、意識しそうで、思い出しそうで。幸いにも要領は良かったのでその調子で受講範囲よりも更に先の方まで憶えてしまっていた。
それでもあのあかい光景は今も脳裏から離れない。毎日目が覚める度に『これが夢なら良かったのに』と思う。
「…行こう」
再び当てもなくこの暗い世界を歩き出す。ここが何なのかを探るため。私がここに居る理由を探るために。
──ガコン
また音が鳴った。その方向へ顔を向ける。
『お前のせいだ!!』
『──え?』
事故が起きて一週間が経ち、諸々の説明を終えたその翌日。騒がしかった教室はこの女子の一声でシンと静まり返った。
『お前が灰田先輩を殺したんだ!!』
『な、何を…』
何を言ってるの?そう聞き返そうとした。でも…。
『そ、そうよ…』
『アンタが殺したのよ…』
『何で先輩が死なないといけなかったわけ?』
聞き返そうとした。けれど彼女の一声が水面に広がる波紋のように広がっていく。
『どうしてアンタが生きてるの?』
『どうしてアンタが先輩と一緒に居るの?』
『どうして』『どうして』『どうして』
教室内は女子達による『どうして』の歪な大合唱が始まっていた。助けを求めようとして周囲を見回しても誰も目を合わせようとしない。
流石の私もその時点で察しは付いた。この教室、延いてはこの学校にはもう私には誰も味方が居ない。
後になって噂を聞いた。その中に出てくる私は相当な悪女としていつも登場している。『先生に媚を売って単位を貰っている』『部活で同輩達に怪我を負わせてレギュラーを取った』『灰田先輩の弱みにつけ込んで恋人にした』等々上げだしたらキリが無い。
ここまで膨れ上がったらもう誤解を解こうとするのも面倒になって放置してしまった。でもそうしたら今度はその沈黙を肯定と受け取った者達によってまた更にあること無いことを広められてしまい、もうどうすることも出来なくなってしまった。
──ガコン
灯りが消えてまた元の暗闇が戻ってくる。
「あぁ…気持ち悪い…」
私は一体どこで間違えたのだろう。私はただ自分を高めて………高めて、どうしたかったんだろう。灰田先輩は私の努力を認めてくれた。私も灰田先輩の優しさに惚れた。努力が報われた気がした。でもその果てにあったものは何だ?
その後のことは朧気にしか憶えていない。直接的な暴力にまでは及んでいないものの、この世にある虐めや嫌がらせの数々は経験したと思う。置き勉をしなくなったし、上履きも一々持って帰るようにもした。でも目に付くところで、私の目に入ったと解ったところで小さく悪口陰口罵詈雑言の数々を言われたり、何かにつけて無視や排斥を繰り返された。
──もう疲れた。
当時の担任だった横山先生に今までのあれこれを相談した。
『だったらこういう時こんな仕組みがあるよ』
そんな言葉と共にこの学校の通信教育制度の話を聞いて、私は迷わず飛びついた。いい加減こんな所にはもう居たくなかったから。
それからは冬休みに入るまで色々あった。体育祭、文化祭、秋の陸上公式大会、中間試験。私はそれら全てに参加したけど、どれも印象に残ったものは無かった。どれも殆ど私抜きで色々話しが進んでしまい、私が口を挟む余地は全くなくなってた。それでもそのどれもで私は好成績を出して、教師達からの覚えも非常に良いものとなってしまい、私を貶めようとした生徒全員の面目が丸潰れとなって悔しそうな顔を見られたのは痛快だった。
しかし彼等はそれを認めず、ついに暴力で私を排除しようとしたその時に私は学校に来なくなった。
振り上げられた拳の行き先がどこへ向かったのかは知らない。きっと諸手を挙げての歓声に変わったか、或いは新たな獲物を求める意味なき力に変わったか。いずれにせよその時の学校の様子は私にはわからないし、興味も無い。
「これからどうしよ……」
暗闇の中で独りごちる。このまま歩いてもまたどこかで私のトラウマを呼び起こすだけだ。かと言って目を醒ます方法も解らない。
そもそもここは本当に夢なのか?だとしたら未来は?それにここへ来る直前に何か──
「そうだった!早く目を醒まさないと!」
ここへ来る直前に聞いた何かが壊れ、崩れる音。正体は明白だ。
「未来!私を起こして!早く!」
呼び掛けても返事が無い。そうだった。ここには私しか居ない。私はどうするべきなの?
「……先に行こう。もうそれしか無い気がする」
どちらにしろ今の私にはそれしか出来ない。アテも無い、手掛かりも無い。でも目的は出来た。
──ガコン
私が覚悟を決めたタイミングでまた音が鳴る。灯りの下には私が居る。
◆ ◆ ◆
「やることが無い……」
燃え尽きていた。暇を持て余していた。猫のようにベッドで転がっていた。
それもその筈、通信はメールで課題が送られてきて期限内に提出すれば後は自由だ。その分一日二日で終わるような量では無いのだが、私に掛かればこの量は半日あれば片付いてしまった。
そうして時間が余ってしまい、何をするでもなくこうしてベッドの上で横になっていると言う訳だ。因みに家族には体調不良で休むと伝えている。
「私って、今まで何してたっけ?」
時間が出来ると色々考える余裕が出来てしまう。部活のこと、勉強のこと、クラスのこと、灰田先輩のこと。
「っ…嫌っ!」
思い出したくない。何か、何かしなくては…何かって何?私に何が出来る?今まで何してきた?どう過ごしてきた?何を考えてきた?
「もう…やだ…」
ここに居ても気が滅入る。少し歩こう。今家族が誰も居なくて良かった。こんな私は誰にも見せたくない。
◆ ◆ ◆
──ガコン
「はぁ…」
本当に訳が解らない。ここは何のために私にこれを見せているんだ?私はいつまでここを歩き続ければ良いんだ?
「行こう…もう慣れたわよ…」
当てもなく歩く。足下は暗く、先も暗い。でも何故か自分の体はハッキリ見える不思議空間。いや夢だから不思議なのは当たり前か?そんなことを閑雅ながら歩くこと暫く。
「あれは…光?いや違う何か…」
変化があった。何も無い空間に何かが浮かび上がっているのが見えた。最初こそ光に見えたけど何か違う。何かの輪郭を取っている。
「近付いても大丈夫かしら?でももうアレしか見えないし…」
ええい、ままよ!どうせ夢だ!もうどうにでもなーれ!
私は急ぎ足でその時『何か』に近付いていった。
「あれ?もしかして…」
近付けば近付くほど、その『何か』の輪郭はハッキリしていった。
「短剣…」
ずっと不思議に思っていた事がある。いやこれについては不思議なことしか感じていないが、それでも不思議に思ったことがある。
私はいつこれを手にした?
どうして私にしか見えない?
どうしていつも私に着いてくる?
どうしてこれを見詰めていると目を逸らしたくなる?
「何なのよ…一体何なのよアンタは!!!」
私がそう叫ぶとそれに応えるように全体的に透明な刀身が小さく明滅する。
「どうして私に着いてくるの!?どうしてアンタがここに居るの!?どうして!?」
私は自分の思うまま短剣に感情の猛りをぶつけた。けれど物言わぬ短剣は明確な答えなど返してくれるはずも無く、ただそこに在るだけだった。
「ぜぇ…ぜぇ…」
やがて私も先程まで暗闇の中を歩き続けた疲労が祟り、短剣の前で座り込む。
「もう…何なのよ…訳わかんないわよ…」
そう言って私は膝を抱えて蹲る。もう何も見たくないし聞きたくない。目を瞑って額を膝に押しつける。
「…」
長い時間が経ったと思う。その間は何も考えないように努めた。言ってしまえば現実逃避だ。
それでも短剣の存在は肌で感じているため、どんなに頑張っても気持ちが落ち着かない。
「……何なのよ…」
ただ私に何をするでも無く、しかしそこに在る短剣。
「手に取れって?そもそも私は…」
本当はずっと恐かった。きっとこの剣は私が思っているよりもずっと容易く誰かの命を奪う。それを使い続けると、いつか私が誰かの命を平気な顔をして奪えるようになってしまう気がして。
今までもずっとそうだった。最初にこの短剣で命奪ったのはただの人間だった。その後の私はどうだった?のしかかってきた肉塊を邪魔だからとぞんざいに振り払わなかったか?その後に出て来た緑色の人型はどうだ?見つけ次第殺していただろう。みんな私を殺そうとしたから正当防衛か?でも殺した後に何を思った?おまけに最終的に──
「嫌だ!もうやめて!」
もう嫌だ。なんで私は今までこんな事が出来たんだろう。生きるために仕方なく?それなら向こうも一緒かしら。もういい加減疲れた。このまま楽に──
──お姉ちゃん!
「未来…」
あぁ…そう言えば未来が居た。そもそもどうして私は未来と一緒に居たんだっけ?そうだよそもそも私は家族のこともどうでも良かったはずだ。なのに何で未来を誘って動物園に居る?家族の括りなら未来だってどうでも良かったはずだ。
「そんなの…」
──私ねお姉ちゃん。また一緒に家を出てあるくことが出来たのが本当に嬉しかったんだ。
「え?」
──一緒に家を出て、一緒に歩いて、一緒にお喋りして、そんなことがまた出来ると思って本当に嬉しかったんだ。
「あ…」
──だけど…。
思い出すのはあの時の夕焼けに照らされた未来の横顔。嬉しさと寂しさを合わせてグチャグチャに掻き回したようなそんな顔。
──家族のことなんて、私にはどうでも良いことだと思ってた。
「でも…」
でも私は、少なくとも未来にあんな顔をして欲しいとは欠片も思ったことは無い。
私にとって未来はお茶目で無邪気で、可愛いものが好きで、笑顔が取っても素敵な太陽のような存在だ。中学時代もそう思っていたことに変わりは無かった筈なんだ。
でもそんな未来にあんな顔をさせてしまったのは間違いなく私で。私の行いが未来を悲しませて、寂しがらせて、そして病院でのやり取りでピークに達して。
「そうだね。せめて未来だけは…」
私はそう言って立ち上がる。結局私は言い訳が欲しかっただけなんだと思う。私一人だったらもうこのまま立たなくて良いと思って、朽ち果てるのを待つだけだった。でも『未来を守る』と言う言い訳が今の私を支えた。
「やるよ。私やるよ」
その言葉と共に短剣の柄を握り締める。どこか満足そうな気配がしたのは一時の気の迷いだと思う。
「せめて未来を守って、生きてここを出るまでは」
すると手にした短剣が粒子となって砕け散り、まるで最初からそこには何も無かったかのように私は空気を掴んでいた。
「──あれ?」
柄を掴もうとした手を手を握ったり開いたりしてみる。粒子が私の手から逃げるように空中を流れる。
「はぁあーあ…」
消えた?いや違う。形も解らないくらい粉々になっただけだ。現に短剣があった場所はぼんやり光っていて、靄のようなものが掛かっている。手を入れると靄が私の手に反応して張り付いたり逃げたりなどの動作をする。
「…飽きた」
直ぐに飽きた。戦うための唯一の手段も失われた。もういいや。未来には本当に申し訳ないけどこのまま──
「ん?」
靄の動きに変化があった。
何かの形を作ろうとしている。朧気だった靄がその密度を濃くする度に形が鮮明になってくる。
剣だ。刀身の真っ直ぐ伸びた片刃の直剣。刀身は大体1m程とかなり長く、幅も4cm程ありかなり分厚い印象がある。
柄の方もよく見ると普通の西洋剣では見られそうも無い形をしており、銃の機構が備わっている。もっと言えば銃に剣が着いている印象だ。
──キィーン
そんな甲高い音と共に剣銃の形をした靄が霧散し、中から本体が顕れた。全体的に赤みがかった白い二振り剣銃。それが今私の前に浮かんでいる。
「……」
迷う事なんて無かった。それぞれの柄を両手で取る。
──しっくり来る。
最初に感じたのはそれだった。初から体の一部だったみたいに手に馴染む。
使い方も解る。まるでずっと昔からこれを手に取って使っていたかのような実感もある。実際にはそんなことは無いはずなのに。
「…セイ!」
試しに振ってみる。軽い。まるで重さを感じさせない。短剣を振ってたときより上手くやれてる。2振り、3振り。両手の剣をそれぞれの方向から素早く振ってみる。楽しい。でも本物の達人と比べたら赤子以下かもしれないと気を引き締める。銃も構える。玩具のように軽い剣銃は、両手で二丁拳銃の構えでも問題は無いらしい。
「……よし!」
後は目を覚ますだけだ。でもどうやって?
そんな疑問に答えるように視界の端から光が射し込む。元を辿ってみると一際強い光を発している場所があった。
「あそこに行けって事ね」
手に握った剣銃の存在を確かめる。赤い刀身の輝きは『心配ない』と言っているように見えた。
──お姉ちゃん!目を醒まして!
「今行くよ!未来!」
私は光に向かって走り出した。ここへ来る直前に何かが崩れる音を聞いた。建物の扉が壊されたと思われる音だ。そして扉の前に居た気配は一体だけ。でも今まで出会った魔物とは存在感が違った。ただそこに居るだけで圧倒される。そんな大きな気配だった。
私の傷はどれくらい治っただろうか?
治ったところで上手く動けるだろうか?
私達は無事に帰れるだろうか?
「そんなこと今は後回し!」
そう言って動かす足を速める。光の元はもう目の前だ。
「未来ーーー!!!」
そうして私は光に飛び込んだ。
誤字脱字などの報告があればよろしくお願いします。近いうちに用語集などを出したいと思います。




