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第20話


<高峰翔Side>


 5月上旬、俺の元に一通のラインが届いた。


『俺、葵と付き合うことになった』


 だという。


 一つ言いたい、リア充爆発しやがれ、そしてお幸せに。

 大学からイメチェンしてデビューを飾り、何とか頑張って女子友達を作り始めたという俺を音速の速さで追い越していくとは……まったく、幼馴染と言うのはずるい。


 まぁ、それはそれでいいか。


「ん、どうしたん? 高峰くん?」


「あ——いや、なんか友達が彼女出来たって連絡がきてさ」


「彼女? おぉ、それはおめでただねっ」


 おめでたって……それは妊娠だろ、まだまだ恋人関係になったってだけだぞ。


「それで、麻由里の方はそんな話はないのか?」


「え、私っ?」


「そうそう、麻由里はほら、面もいいんだしなんかあったりしないのか?」


「うう~~ん……分かんないっ」


 まぁ、予想通りだ。この一か月間、隼人が御坂さんと一緒にイチャイチャしている間、俺は今目の前でパクパクと食事をする麻由里に目を付けていた。学食は一緒に食べて、家にもお邪魔したし、一緒にゲームまでやり、仲を深めていったが一つ気づいたことがある。


「分からない?」


「うんっ、私、恋愛とかよく分からないしっ……好きかと言われれば好きだけど別になんか……違うしねぇ……」


 そう、こいつには恋心というものが無いらしい。そら頑張っても落とせないわけだ。


 どんなに男らしくみせても、優しくしても、一緒に居ても惚れさせることも出来なかったし、何より俺が麻由里の事を好きになれなかった。


 なんというか、ところどころおっちょこちょいで可愛くて、恋人と言うよりかは妹みたいで―—会ってから1カ月の男が言うのもなんだがあまりそっちの気が湧かなかった。


 おい、きもいと思ったやつ。すぐ出て来い、殴ってやる。


「——そうか、まぁ確かに麻由里はそんなんじゃないからなっ」


「そんなんじゃ……あっ! 私に色気がないって言いたいんでしょ‼‼」


「別にそんなことは言ってねえって。可愛いと思うし、綺麗だとも思うぞ?」


「——へっ、そ、そう?」


「あぁ」


「あぁ~~そ、それはぁ……な、なんか恥ずかしいねっ」


 どうして顔を赤らめるっ。

 恋愛をしたくはないんじゃなかったのか?

 ぼそっと言ってしまった俺を手で隠しながらそっぽを向く彼女、さすがの俺もそんな反応をされると困る。


「……なんで照れてるんだ」


「て、照れるよ……そりゃ」


「そうなのか? 恋愛は分からないって言ってたし、てっきりそんなことはないかと」


「わ、私は機械じゃないです‼‼」


「そうなんか、初耳だなっ」


「うぅ……私も乙女ですよぉ……」


「んじゃあ、俺たちも付き合ってみるか?」


「……ごめんなさい、嫌です、というかちょっとヤリチンぽくて不愉快ですっ」


「……」


 どうやら俺はついていないらしい。

 ここぞとばかりに告白したのが裏目に出てしまったな。


 よし、リア充。


 爆発して散り散りになりやがれ‼‼


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