表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/57

生後61日目①

俺は、死んだ。




 完全にそう思ったが赤ん坊の身体というのはどうにも割と頑丈にできているらしい。




 少しばかりのタンコブは出来たものの、どこも折れちゃいないし、頭の先からつま先まで問題なく動かせる。




「……すぅ、…………んー、……すぅ、く、……ないちゃ……すぅ」




 深夜2時、俺の母親であろう女はベッドの上で寝息を立てている。


 


 この2ヶ月、この人のおかげで生きながらえたことには間違いないし、俺を愛してくれてもいたのだろう。




 俺の立場から見れば恐ろしい存在でしかなかったが、それでも感謝だけはしておこう。




 何よりも、2度とこの顔を見ないで済むと思えば、気持ちはひどく清々しい。




 胸の中で強く思う。




『母さん、俺、自分の力で、自分の気持で生きていくよ』




 前回の人生では25年かかっても思えなかったことが、




 今回の人生ではわずか2ヶ月でこの境地に達することが出来た。




 それもひとえに、この恐ろしい母のキ……、いや、やめておこう。




 それでもきっとこの女は、こいつなりに必死こいて俺を立派に育てようとした結果なのだろうから。




 俺は目に涙を浮かべながら、堂々とした足取りで家を出た。




 もう2度と戻らないように、




 強く、強く地面を踏みしめた。




  次回:俺、まだ生後2ヶ月でよぉ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ