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生後30日目
一ヶ月が飛ぶように過ぎていく、一年なんてあっと言う間。
それは人が大人になっていく過程で感じる、とても切ない感覚だ。
泣いて、笑って、恋をして、また泣きそしてバカ笑い。
そんな宝物のような時間が、加速度的に眼の前を通り過ぎていく。
もっと噛み締めていたいのに、
もっと抱きしめていたいのに、
そいつはいつも待っちゃくれない。
そいつが悲しくて、齢を重ねるのが恐ろしかった。
「クナイちゃ〜ん、食後のむちゅちゅ〜♡」
……しかし今は、1分1秒でも早く時を進めたい。
餃子的なものでも食べたのであろう、やたらとニンニク臭い巨大な唇が俺の唇に重ねられる。
抵抗する力もない無力な肉体に降り注ぐ性の暴力。
俺はこの時初めて、性的暴行というものがいかに醜悪で、残酷なものであるかを本当の意味で理解したのかもしれない。
もしも神がいるのならば、別に何もしなくていい。
俺は強くなってやる。
自分の足で歩きながら、
自分の心で生きてやる。
たとえこの身が朽ち果てようとも、前のめりに生きてやる。
次回:希望、そして唐突なフォール