生後2日目
この世に生を受けてはや二日目、俺はまだ何とか生きながらえている。心も身体も壊れそうなヤバい危機的状況にも関わらずだ。そして俺はまだ生きていられるのは、この俺が大きく悩む一因となっている“母親”の存在のおかげであると言わざるをえない。
固形物が食えない未熟な消化器官を抱えながら、俺がどうやって生き延びているのか。
……それにはどうか触れないでくれるとありがたい。
そして、俺は今、またもや大きな困難に直面している。
人が生きていくにあたって困難が一つだけなんてことはまずありえない。一つの困難が解決しないうちに新しい困難が襲いかかってくるなんてのはそう珍しいことではない。
しかし、これは流石にどうだ?
10分前、……俺はウンコを漏らした。
我慢して、我慢して、……我慢したけど無理だった。
その物体が肉体から排出されるのは、至極当たり前のことだ。なんなら俺達はその機能によって生かされているまである。黄かっ色でバナナ状のウンコが出ることは何よりもありがたい事なのは昔から言われていること。
しかし、しかしだ。
本来ウンコというのは身体に要らないものを、身体から追い出した結果生まれる存在。
有難いとはいえ、それは身体から出て行ってくれるのが有難いわけである。
決して長い事一緒にいていい間柄ではない。
しかし、しかしだ。
俺は今オムツをしている。
その白い悪魔によってガッチリとホールドされし俺と俺のウンコは今、初めて恋が報われた若い二人のごとく、片時も離れずゼロ距離で密着している。
オムツを外そうにも、生後2日の俺の未発達な俺の手でそれは叶わない。
この状況を改善するたった一つの方法があるとすれば、それは"声をあげて”泣く"こと以外にはありえない。
そうしてマッキー(太)女が飛んできてもらい、ウンコのついてないオムツにすぐさま取り替えて貰うのが無力な俺に許された唯一のライフライン。
しかし考えてもらいたい。
人にウンコを拭かれる。
それが人の心にどれだけ大きな傷をつけるのかを。
それに耐えられるほど、俺の尖ったハートはまだまだ成熟してはいない。
どうすればいいのかわからず、どうにもできないことだけを理解した俺は、
この心、天まで届け。
とばかりに声をあげて泣いた。
「あらあらどうしたんですかぁ〜? ……あらあら、これは元気なうんちでちゅね〜、は〜い、フキフキしましょうね〜」
神様、もしも願いが叶うならば、
……俺を今すぐ殺してくれ。
次回、偽り、そして……