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異世界転生したベイビーは、母親が嫌すぎて生後2ヶ月で歩き始めるらしい。  作者: ゆきだるま
ベイビー、母親に困惑する。
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生後1日目

人間の脳は、基本的に自分に都合の悪いことは無視して物事を考える。そんなクセがあるらしい。




 記憶を保持して生まれ変われる安心感に心奪われた俺は、その裏に隠された大きなデメリットが頭に浮かびさえしなかった。




 生後しばらくしてそのことに気付き、俺は大きく戸惑っていた。




「は〜い、まんまですよ〜、クナイちゃ〜ん、ほぉら、おっぱいですよ〜」




 俺の眼前にはマホガニーのような茶色をした巨大な突起物、つまるところチクビがあった。




 生後数時間、要するに俺は現在、圧倒的赤ん坊。




 そんなか弱き赤ん坊でしかない俺に向かって、茶色いそいつはブヨブヨとしたシワがくっきりと見えるほど顔に近づけられている。




 有り体に言って地獄だ。




 初恋のあの子にフられた時だって、地元で1番ヤバいあいつに安全靴でスネを蹴られて肉が抉れた時だって、こんなに苦しくはなかった。




 自分の顔面に対して縮尺のおかしいチクビ、しかもそれは実の母親のもの。




 もちろん俺にとって感情的には、こいつは母親ではない。




 ただの、チクビが異様にデカいねーちゃんだ。ルックスも多分いい方だろう。




 なんだと? そんなねーちゃんのチクビが吸えて羨ましーってか?




 お前らさ、




 吸いたいか? 口を大きく広げないと入らない、マッキー(太)みたいなチクビを。




 吸いたいか? 事実上自分の血の繋がった母親のチクビを。




 俺は嫌だ。




 絶対に嫌だ。




 けれど俺は、圧倒的赤ん坊。内臓はどれも圧倒的未熟。大好きなエイヒレや豚バラを食うなんて夢のまた夢。




 栄養補給はこのブヨブヨ一択だ。




「あらら、……どうしたのかしら? お腹空かないのかしら。……困ったわ」




 ああ、神様。




 もしも願いが叶うのならば。




 俺の記憶を消してくれ。




  次回、最悪なアダムとイヴ



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