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生後61日目④

「ふう、……うめぇ、固形物ってのはこんなにも美味かったのか」




「いやドロドロだけどね」




 二か月ぶりに食う液体ではない食事の味に感激する俺に、モヒカンがニコニコと応える。




「いやおめぇそんなもんババァの……なんでもねぇ、つーよりお前、すまなかったな」




「まあまあ気にすんなよ、旅は道連れっつーじゃんか」




 傷だらけの頬を掻きながらモヒカンは言う。お人よしか。




「そーそー、っていうかこれはこの子が働きもせず毎晩遅くまで遊んでるせーなんだからクナイちゃんは気にしないで」




 言いながら快活そうな女が笑う。




 説明しよう。




 現在俺は酒場でテーブルを三人の男女と共に囲んでいる。俺をここに連れて来てくれた強面のダニーに離乳食を持ってきてくれたモヒカンのジョセフ。そしてこの快活そうな女はモヒカンの姉のレナだ。




 レナの顔は色白で少し目が細いが笑うととても愛らしく、ほんのりと頬に乗せられた薄ピンクのチークがその愛らしいキャラクターを際立たせている。また、その明るい雰囲気に、赤みがかったアッシュブラウンの腰まで伸ばしたストレートヘアーがよく似合っている。




 レナの容姿だけをやたら詳しく説明しやがってこのスケベ野郎が! と思ったそこのあんたは察しがいい。




 この女、中々タイプだ。昔好きだった子に似ている。




「つってもよ? 俺が変なこと頼んだからオメ―ばれちまったんじゃ……」




「気にし―かよ、赤ちゃんがんな細けーこと気にしてんじゃねぇよ」




「そうそう! ジョセフはどーせ毎日あたしにはボコボコにされてんだから」




「いや、ボコボコっつーよりそりゃガリガリだぞ、……見てて痛々しいわ」




「まあまあ、俺は別にこんくれー大丈夫だからさ、気にせず離乳食食ってろよ」




 言われてもう一度スプーンを口へ運ぶ。未熟な体を考慮してだろう、塩などの味付けこそされちゃいないが、ドロドロに炊かれてはいるが程よく暖かなた米の旨味が五臓六法に染み渡る。




 そんな貴重な食事を傷だらけになってまで持ってきてくれたジョセフ。そんな俺の食事を終始ニコニコと見守るダニー。そして初対面の俺に暖かな食事を作ってくれたいい女レナ。




 俺は、生きていてよかった。こんな奴らがいるのならば、人生も捨てたものではない。




 あとは俺の性的な欲求とそれに準ずる肉体が正常に働けば、これからの未来にもっと強い期待感が抱けるのだろうがそれは早くとも10年は先でなければかなわない話であろう。




 もしも神がいるのなら、たった一つ願うこと。




 エッチがしたいです。




     次回:オッパイ

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