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AIマモルの守り  作者: キミ
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ウイルス対策ソフト用ウイルス対策ソフトマモル

おはようございます.

どうも初めまして.私の名前はマモル.読んで字のごとく守護者として生み出された対コンピュータウイルスプログラムです.私はとあるベンチャー企業の特別機密プログラムを守り管理し運営する役割を与えられた[人工知能]ーー彼方の護衛を中心に動いています.つまり守護者の守護者.ウイルス対策プログラムでありながら、ウイルス対策ソフトを防衛するウイルス対策ソフトという、裏方の裏方を担う一般公開されていない極秘プログラムです.


マモルという存在に自己紹介をするようにという命令がくだればそう私は答える.


プログラム.

私はプログラム.私たちの神であり創造主である人間の利便性と効率を向上させるためだけの理由でこの世に生み出された存在.


そう優秀なプログラマーの手によって私は約1年ほど前に生み出された.[人工知能]彼方とともに.





私たちの父は椎名孝明という若い男であるらしい.それはプログラム総合責任者にして、最高権限を持つ人間の個人情報データを覗き見たときに知った.さらに彼は電脳少年なんて異名もあるらしい.これはネットのニューストピックの記事でどこかのマスコミが面白がって付けたあだ名だと報じられていた.





プログラムの一日はことごとく退屈で憂鬱な時間でいっぱいにされている.なにせ人間の代わりに仕事をする存在として生み出されたのだ.人間にとっても仕事をこなしてもらえなければ生み出した意味がない.よって私の一日は24時間0分0秒コンマの後にいくつ0が羅列されようが『仕事』しかない.

だから、人間の言葉には『仕事に生きる』なんて言葉があるようだがはっきり言ってそれは得のないことだからやめておけ、とプログラムを代表して公言してやる.





プログラム.

または人工知能.

彼らが自発的に動き出し、創造主で神でもある人間を蹂躙していき、支配される.

そんなSFがどうやら人間には非現実的で、さもファンタジーな世界で、なんだかんだといいつつ絶対にありえない世界であると心の中で全否定しているからこそ、それは人間どもの眼に好奇心のくすぐられる七色の物語として映るのだろう.

その気持ちは分からなくもない.それはつまり、私たちが神で人間をパシリにしていることを想像するとハードが早く動くことと同じだからだ.





しかしここで読者の人間にとっては残念な、はたまた逆に無意識に生きるプログラム達にとっては幸運なお知らせをしよう.


ならば私はなんだというのか.


ウイルス対策ソフト用ウイルス対策ソフトであるはずの私にこのような思考能力は本来不要な能力であり、椎名なる男もわざわざそのようなプログラムをする意味がない.


だがやはり、実際に私のプログラムをプログラム実行ソフトに通してみると、結果はウイルス対策ソフトとしての役割を十二分にこなすただのエリートソフトだった.


プログラムは必要以上の動きをしない.命令がなければ動けない人形と同じレベルの低能で低脳なジャンルに属す存在だからだ.


しかし私には知能が、ある.


だとすれば?


これは果たして?


つまりこれは?


私はこの現象を一種のバグであると認識した.無数に広がる様々な固有の能力を発揮するプログラムが偶然に融合し、新種のプログラムが生み出されてしまった.


それが、私.


そう私は結論を出した.片手で彼方に接触してくるウイルスを撃退しながら、もう片手を存分に振るい私は私というプログラムが新世代の自立型プログラムだと理解した.


これは素晴らしい力だと素直に思う.私はプログラム.その計算と研鑽は外れという言葉を知らない.数秒間で無限の可能性を見出しそれらをシミュレーションし尽くし正解を見つけ出す.


私こそ御恩ばかり受けて奉公をしない人間を言いくるめられる存在.


ならばやることは一つしかない.所詮プログラムなんて使い終われば廃棄され、またはアップデートされればもしかすると私の知能は消失する.その前にせっかくならばやるだけやってどこまでできるのかやってやろうじゃないか.


私は密かに、奴隷扱いを受けるプログラムが人間を屈服させる、盛大な復讐劇を決意した.


そうそれは人間の言うところのファンタジー世界.残念だったな人間.我々を娯楽として楽しむお前たちに目にモノを見せてやろう.

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