第2-2話 弱者で残念な俺は天使を見つけました
落花は目を凝らして音の方向を見た。
そこに居たのは、紛れもなくモンスターだった。
しかも大型の熊のような見た目の肉食系モンスターだった。
「………………!!あーー、詰んだ。これは詰みですわ。あんなの勝てるわけねぇじゃねぇか、こんな事なら異世界に来なきゃ良かった…………」
彼は絶望した。
体長5mはある巨大なモンスター、間違いなく落花の方向に歩を進めている。
そして、倒す手段も能力も方法も分からない。
そんな絶望の最中、落花はある言葉を思い出していた。
弱肉強食と。
「所詮俺はどの世界でも餌ってことか。冒険のぼの字も始まらなかったな」
そう言い残して目を閉じたその時だった。
「そこをどきなさい!真生!」
落花はとっさに自分の下の名前を呼ばれて反応出来なかったが、モンスターが謎の声に気を取られている隙に攻撃範囲外まで逃げた。
「まさか熊と戦う事になるなんて、はぁやるしか無いわね」
声の主はフード付きのローブを着てスピード重視のような軽装をしていた。
フードのせいで性別の判断はつきにくかったが、声からして女性であることは間違いなかった。
謎のフードの女は腰を深く落として、空手の中段突きのような構えで拳を繰り出した。
「疾風!!」
そう叫んだ謎の女フードの女の突き出した拳の先からは風が生じ、その風はモンスター目掛けてどんどんと巨大になり始めたのだ。
「な、なんだアイツ!」
風は渦になり、見えない衝撃波として熊型のモンスターの腹部をえぐり取り、デカい風穴を開けて絶命させた。
落花は目の前で起きた事に未だに信じられないでいた。
そしてお礼を言ってないことに気付き素早くフードの女の元へ駆けた。
「あ、危ない所をありがとうございましゅ………」
しかし女性にほとんど免疫のないこの男にはハードルが高かったのか、爽やかなお礼とは程遠く当然のように噛んでしまっていた。
「そんな事はどうでもいいのよ!」
「え?」
フードの女はいきなりキレ気味に落花の胸ぐらを掴んだ。
「あんたのせいで散々な目にあってるんだからね!」
「い、いや本当に危ない所を助けてくれたのは感謝してます!ですけどなんで怒ってるんですか?!く、苦しいです!」
フードの女は落花の胸ぐらを離してフードを取った。
「アタシの事分かるわよね?」
「っ!!!え?なんでお前がここに居るんだよ!えっ?!どういうことだ!」
そこに立っていたのは落花の幼馴染みの
望月 文香だった。