第2話 弱者で残念な俺は天使を見つけました
見渡す限りの大自然、広大な草原に少し青臭い爽やかな風が吹いていた。
そんな草原の真ん中で落花は体操座りで泣いていた。
「うぅ、ちくしょう。詐欺だ横暴だ!何がくじ引きだ!普通ハズレくじなんて入れないだろ、ひっく。異世界に来たまでは良かったけど、装備も金もないし仲間もいないって状態とか、どんな無理ゲーだよ、うぅ」
数分前までは、異世界に来たテンションでルシールの言っていたハズレなんて気にせず、はしゃいで一匹のモンスターに素手で挑んでボロ負けしたのだ。
ボロ負けした落花は服をビリビリに破られ、ダメージを受けて逃げてきていた。
「はぁーあ、やってらんねぇ。あっ、そういえばルシールから受け取ったパンフレットに元の世界に戻る方法とか載ってるんじゃあ!」
大事な手がかりを思い出し、勢いよく立ち上がりパンフレットを折りたたんで入れていたポケットをまさぐる。
「あれ?あれ?無い!えっ落としたのか?この世界の唯一の情報が無い!!うわぁーーーオワターーー」
落花はより一層凹み草原で大の字で寝転がった。
「はぁ、現実世界で弱い俺から異世界で勇者として活躍するはずだったのに、これじゃ現実世界の方が遥かに難易度低いじゃねぇか。ここじゃ完全に一人だもんな、ん?」
現実逃避の独り言を呟いていると、少し遠くの茂みから物音がした。