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第1-4話 弱者な俺は運まで残念すぎる

「二つ目、そう、それは……………アタシの出世だ!!!」


「…………………ん?え?あのールシール様?聞き間違いですよね?出世?」


「そう出世!いやー神様って言っても所詮は労働者なんだよね、アタシなんてまだ平社員だし。同僚の中でも成績不振で上司には怒られてばっかりでさー、給料も不手際多くて引かれるもの多くて、先月なんて12万だよ!生活できないよー全く」


「いや、いやいやいやいやいやいやいやいや!!いきなり現実的すぎるだろ!!何、平社員って!神様にそんな役職あんの!?ってかどういうシステムで金稼いでるんだよ!話の方向が見えなさ過ぎるよ!」


「システムとしては人々の幸福が神様の任されてる地域や国、世界の通貨として換算されて給料として支払われるんだ。で、お前みたいに異世界に飛ばした勇者候補に世界を救ってもらって幸福度を高めてるわけなんだよ。ちなみに世界を救ってもらわないとノルマのカウントに入んないんだよねー」


「なるほどな、要は世界を救ってノルマ達成に貢献しろって事だな」


「そう!飲み込みが早いな、お前。んじゃ早速異世界行きの手続きを…………」


ルシールは何やら書類やパンフレットを準備している。


「いや、行く前に聞きたいんだけどさ、俺の今の状態で異世界に向かっても即死する気しかしないんだけど、そこら辺どうなるの?」


「大丈夫!レベルを上げれば強くなる!って言いたいけど、そこはお前の言う通りなんだよ。だから異世界行きの前にチート能力のくじ引きをしてもらうんだ。何百とあるチート能力の内ハズレ能力は数枚程度、まぁその確率を引く不運な人そうそう出ないけどな」


落花は期待に胸をふくらませて目を輝かせた。


『チート能力、なんて素晴らしい響きなんだ!』


「じゃあくじ引きの前に、異世界行きの同意書に名前と生年月日と身長体重を書いてくれ」


そう言ってルシールの手渡したのは役所で貰うようなお堅い紙だった。

落花はスラスラと書き終えた。


「よし、書き漏れは無さそうだな。んじゃくじ引きいってみようか!」


ルシールは勢いよく少し大きめの700円くじの箱のような物を落花の目の前に差し出した。


落花は自分の人生を振り返っていた。


今までの落花の人生は、いい事など数えるくらいで女性にモテるはずもなく運動も足が速い以外は何も出来ず、イジメられたり無視されたり。

回想する事も文字にしたら百文字以内で収まってしまう。


そんな彼が今から異世界へ行き、チート能力を使ってもしかしたら英雄になれるのだ。

落花は期待と興奮で胸が高なった。

辛い現実から、英雄としての輝かしい未来。

異世界での素敵な女性との出会いや、パーティーメンバーとの絆や友情、熱いバトル。


落花はスっと目を閉じて息を吐き、くじ引きの箱に手を入れた。


そして、迷うこと無く一枚の紙を引き抜いた。


「それでいいんだな?やり直しはできないぞ?」


ルシールは問いかける。


「今から始まる俺の英雄伝に後悔の二文字は無いさ」


落花は選んだ紙をルシールに渡した。


「ルシール、さぁ俺の能力を教えてくれ!」


ルシールは落花を無視して微笑み、踵を返して異世界行きと思われる扉を出現させた。


「ん?あのー俺の能力は?」


ルシールは微笑んだまま、落花の首根っこを掴んで引きずって扉に投げ込んだ。

そして、冷酷な表情で舌打ちをした。


「ハズレだよ」


「えっ?」


落花は扉の闇の中に消えていった。さ

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