第1-3話 弱者な俺は運まで残念すぎる
「とりあえず説明してやる、黙って聞けよキモヲタ」
「はい!ルシール様!」
「まず1つ目、ここが何処かということから。ここは別の世界と別の世界を繋ぐ異空間、簡単に言えばETCみたいな場所なんだ」
『例え微妙過ぎる!!』
「あ?今心でなんつった?」
ルシールは再び右手をあげる仕草をした。
「いえ、何でもございません!すいませんした!」
「はぁ、続けるぞ。この異空間はお前達の住む地球と全く違う世界、星と繋がっていてな、ここに来た奴を別の世界に送り届けるんだ。簡単に言ったらお前らが好きな異世界転生ってやつだな」
ルシールはうさぎのイラストの入ったコップのホットミルクをチビっと飲んだ。
「ちょ、ちょっと待って!えっ?って事は俺が選ばれた勇者として異世界に転送するって事?!マジで?!!すっげーーー!!!アニメみたいなベタな展開だ!!」
「いや、お前は選ばれた勇者って訳じゃないぞ」
「ん?はい?」
「そもそも、お前が選ばれた勇者ならこんな場所に異空間システムなんか作らずに、お前の目の前に降臨して異世界に送るはずだろ」
「あ、確かに」
「そもそも、異世界行きの異空間は世界中に何ヶ所もある。たまたま今回のランダムな場所指定であのマンホールに選ばれただけだ」
「なるほど、でも運は良かったって訳だ。たまたま入ったマンホールがここで落下して死なずに済んだし。でもなんで異世界へ人を送るんだ?」
「そう、そこが肝なんだよキモヲタ!……………あっ!べ、別に今のは肝とキモヲタを掛けたわけじゃないからな!!」
『あっ、照れてる、可愛い』
ルシールは耳まで真っ赤にして咳払いをひとつした。
「せ、説明を続けるぞ!異世界に送る理由なんだが、理由は二つある。一つは送り先の異世界を救う為、まぁ魔王だとか古代龍とかそんな輩から救うわけだ。んで二つ目、これが最重要な事だ」
『世界滅亡の救済より最重要?!一体、なんなんだ!』
落花は生唾をのみこんだ。