第1-2話 弱者な俺は運まで残念すぎる
カチカチカチカチカチカチカチカチ
『ん?なんの音だ?ってか俺、どこからか落ちたんじゃ、ケガした感じないし、あれ?明るい?』
落花はゆっくりと目を開けた。
そこは人が1人通れる程の狭いトンネルだった。
そして、何故か自分の下には分厚いマットレスが敷いてあったのだ。
「これのおかげで無傷だったのか、ってかここどこ?!」
上を見上げても全く何も見えなかった。
『良くこのマットレスだけで生きてたな、俺。とりあえず助け呼ばないと!携帯、携帯っと。はっ?!圏外?!ってか圏外表示って何気に初めて見たなー。レアだしスクショ撮っとこ。あっ、もうこんな時間?!やばい、早く帰らないとアニメのリアタイに遅れてしまうーー!でも出口どこだ?ん?あんな所に扉?しかもこの地下には似つかわしくない、何故かオシャレな扉だなー。んー、人が住んでんのかな?ここに?いやいやいや、無い無い無い(笑)こんなとこに住んでたら俺なら発狂するな。でも万が一誰か居たら失礼だよなー。あー人居たら何話したらいいんだ?初対面で気さくな会話とか無理だし、どうしたら………』
ドガッ!!
落花が長々と考えている時だった。
もの凄い勢いで扉が開いたのだ。
そしてそこに立っていたのは、幼女だった。
「はよう………入ってこいやーーーーー!!!!」
「あ、あのーこの状況はいったい?」
落花は先程の銀髪ツインテールのツリ目美幼女の部屋?に連れていかれかれこれ1時間正座をさせられていた。
「うっさい、気が散る、黙れキモヲタ」
カチカチカチカチカチカチカチカチ
先程のカチカチ音の正体は、この美幼女がプレ〇テ4のモンスタ〇ハンターをプレイしているコントローラー音だったのだ。
「あっはい、すいません」
『クソがー!ちょっと可愛いからって調子乗りやがってこの幼女めー!俺は年上なんだぞ、さっきから素っ気ない態度で毒吐きやがって!顔ちっちゃくて綺麗な顔して、サラサラのツインテに縞柄のニーソなんて履きやがって!!けしからん!全く持ってけしからん!可愛すぎだろ!お、俺はロリコンではないがこれは、これは………』
「お、おい、キモヲタ。さっきからなんなんだお前は!いやらしい妄想しながらジロジロ見やがって!それに、人の事をか、か、可愛いとか、勝手に思ってんじゃねぇ!」
「えっ?!なんで俺の考えてる事が?あっ、ゲーム!やられてる!」
「えっ?あっ!ふぁぁー………」
テレビ画面はクエスト失敗と出ていた。
「お、お前のせいだーーー!」
美幼女は叫びながらコントローラーを投げてきた。
「痛い!何もコントローラー投げなくても、っていうかなんで俺の心の中で考えてることが分かったんだよ、っていうかここなんなんの?なんでここに君1人で居るの?聞きたいことめちゃくちゃあるんだけど」
ガコッ!!
「痛っ!!」
落花の額に再びコントローラーが投げつけられた。
「おい、うるさいぞキモヲタ。第一にアタシの名前は君って名前じゃない、アタシの名前はルシールだ。ちゃんと様を付けろよ、こう見えて神の1人なんだからなアタシは」
『えっ?神?what?ちょっと何言ってんのか分からない、馬鹿なの?この子は頭のおかしい子なのかな、見た感じ親御さんとかいなさそうだし、ヤバいなぁ逃げた方がいいのかなぁ。ってか自分の事神様なんて(笑)これはかなりの早熟中二病患者だな、草生えるわwww、はっ!!?』
落花は考え込みながらチラッとルシールを見た。
ルシールは今にも泣きそうな顔でこちらを見ながら、右手を頭の上に挙げていた。
その手の平には黒く禍々しい、闇のようなオーラが台風の目のように中心に集まって球体へ変化しており、恐らく当たれば即死ということを告げていた。
「なんじゃそりゃーー!!ってストップストップ!ごめん!ごめんなさい!ルシール様ー!俺が完全に悪かったですから、その当たったら死んじゃうヤツ下げてください!!靴でもなんでも舐めますからーー!!」
「いや、それはそれでキモイ………」
ルシールはドン引きしながら黒い球体を消してくれた。