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第1話 弱者な俺は運まで残念すぎる


弱肉強食。

生きとし生けるもの全てにとっての自然の摂理。

強者は捕食者となって弱者は餌となる。

そう、弱者は捕食され、奪われ蹂躙される立場なのだ。


人気の無い工事現場で複数の不良に囲まれて、まさにその言葉を頭の中でリピートし続けている男子高校生がいた。

名前は落花(おちはな) 真生(まお)17歳。

今、彼の人生最大のピンチである。

普段から人とあまり関わらず、目立った行為は嫌いなタイプでアニメとゲームが好きな自他共に認めるオタクだ。

性格がひねくれている所と病弱な所、前髪パッツンな所以外は特になんの特徴も無い至って普通の学生である。

そんな彼がなぜ不良に囲まれてるかと言うと話は数時間前に遡る。


〜数時間前〜

放課後、落花が下校しようとしていた所に、オタク友達の佐藤が尋ねてきた。

佐藤は隣のクラスだが、時折こうして今季のアニメ話や新作ゲームの話をして盛り上がるのだ。

ちなみに佐藤も至って普通なモブの典型みたいな見た目をしている。


「落花君!今季の春アニメ見た!?作画神ってるよねー!ヒロインも可愛いし、またお小遣い無くなっちゃうよー」


佐藤は今季から始まったラブコメアニメにすっかり熱中しており、いつもより饒舌であった。


「佐藤はヒロイン推しなんだー!ヒロインも捨て難いけど、俺はサブキャラのあのツンデレ娘にやられたねー。ブルーレイの予約しとかないとだね」


落花も興奮しながら応える。

そんなキャッキャウフフな会話を楽しんでる最中に事件は起きた。

アニメ話のやり取りをしていると、佐藤から定期的にカツアゲをする不良が偶然教室の前を通り、佐藤に気づき呼び出しをしたのだ。

そこで、偶然居合わせた落花も呼び出され指定された場所に向かうと、佐藤は逃げていて来なかった。

そして、居ない佐藤の代わりに落花が囲まれてカツアゲを食らっているという状況なのだ。


「おら、さっさと金出せやキモオタ野郎」

「それともボコられてから回収される方がいいのか?あ?」

「構わねぇよ、誰も来ないしやっちゃおうぜ」


不良達が段々と落花に近づいていく、物騒なことを言いながら。

『どうする!どうする!!考えろー、考えるんだ俺!逃げ道を探して家に帰って警察にー!いやいや、報復とかされたら次こそ死んでしまう!とりあえず逃げて佐藤のクソ野郎に復讐を〜!ん、はっ!』


落花が頭をフル稼働している隙に、偶然にも警察のサイレンが聞こえてきた。

サイレンの音を聞いて不良達が一斉にそちらを見る。

その隙を見逃さず、落花はロケットスタートを決めた。

何もしてないのに何故か足の早い落花と不良達の差はグングン開いていった。


しかし、運の悪い男というのは何をしてもツイていないらしい。

そう、行き止まりなのだ。


「てめぇ逃げるとはいい度胸してんな!」

「骨の1本ぐらい覚悟しろよてめぇ」

「とりあえず金出せや、迷惑料込みでな!」

不良達はより色めきだった。


「はわわわ」

後ずさる落花。

にじり寄る不良達。

『あぁお父さん、お母さん、そして可愛い妹よ、私落花 真生は今日で恐らく短い人生を終えます。愚息の先立つ不幸をお許しください』

そう心の中で言い残して1歩後ろに下がった瞬間だった。


ズルッ!


「えっ?」


不良達の目前から落花は消えたのだった。

「あ、あいつ消えやがった!」

「いや、待てライトで照らしてみろ!」

「ま、マンホール?工事途中の現場に?」

「とりあえず中見てみろ!」

不良達はマンホールを覗いた。

マンホールの中には深い闇が静かに広がっていた。


「そ、そういえば落ちた音すらしなかったよな」

「ってかこんなに深いマンホールなんてあんのか」

「も、もしかして落ちて死んだとか?」

「だとしたら俺らが落としたも同然ってことになんじゃねぇのか?!」

「サツが来る前に逃げろーー!」


こうして不良達は解散したのだった

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