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第1章 試合前 その1

主な登場人物(カッコ内は登場人物のエピソードを紹介している部分)

小林龍也・・北江ジャガーズファン。(第1章その1、その2、その7、その8)

滝沢忠・・・北江ジャガーズのエース(第1章その5、その6)

土井勘太郎・北江ジャガーズ監督(第1章その4、その9、その10)

田中香織・・毎朝スポーツ北江ジャガーズ担当記者(第1章その3〜その5、その10)

秋山めぐみ・独占スポーツ北江ジャガーズ担当記者(第1章その3〜その5、その10)

畠山正・・・第7戦の主審(第1章その2)


*お断り*

この小説は2008年に行なわれた日本シリーズ第7戦、埼玉西武ライオンズ対読売ジャイアンツをベースにしています。モデルになっている選手の経歴や試合進行はかなり忠実に再現していますが、選手の性格及び言動、また登場する審判、記者、ファン等は全てフィクションです。その旨ご了承いただきますようお願いします。


第一章 日本シリーズ第7戦試合前


 爽やかな青空が東京の空に広がっていた。小高い丘の上からは、最近ではこの時期としては珍しく遠くに富士山が望めるほど澄み切った青空だった。

 今日、これから始まる北江ジャガーズと東京シティーズの日本シリーズ第7戦、おそらくは球史に残るであろう激戦となりそうな試合を神様も祝福しているようだった。

「おい、早くしろよ、何モタモタしてんだよ」

 根っからのジャガーズファンである小林龍也は妻・美佐子を急かすように言い立てた。

「ねえ、指定席を持っているんでしょう?試合は夜6時からよ。まだ1時過ぎたところよ。ウチから1時間もかからないのよ。何、そんなに焦っているのよ」

 化粧をしながら美佐子は急かす龍也を諌めるように言った。

「バカ、今日は正真正銘の大一番なんだ。本当なら徹夜してスタジアムに並びたいくらいだ」

「バッカじゃない?そんなことしたら風邪引くだけじゃない。大体、アナタ昨日だってろくすっぽ寝てないでしょ、今からそんなに気負いこんで、最後まで体力が持たなくなっちゃうわよ」

「一晩や二晩徹夜したって構うもんか。大体、あんな試合を見たあとで眠れるか!信じてはいたけど、本当に凄かったものな、昨日は。おかげでダメ元で買っておいたこの第7戦のチケットがプラチナペーパーになっちまった。この奇跡のような状況で興奮しないでいられるかって〜の。なあ、早く支度できねえのか?」

「もう、急かさないでよ。そんなに急ぐなら先に行ったら?スタジアムで待っててよ。私まだ20〜30分は出れないわよ」

「しょうがねえな、それじゃあ、オレ先に行くぞ。20分も待ってらんねえよ。じゃあ、チケットお前の分、ここに置いていくからな。じゃあな」

そういうと龍也はすでに応援グッズを詰め込んであるリュックをひったくるように掴むと勢いよく飛び出していった。

「全く、バッカじゃない?今からいったって開門もしてないじゃない。本当にジャガーズのことになると冷静さを失っちゃうんだから。普段は本当に落ち着いた人なのに・・。まあ、気持ちもわからなくないけど、でも完全な野球バカね、あれは・・」

美佐子は飛び出して行く龍也の背中を目で追いながら、あきれたように言った。

(続く)

*お断り*

この小説は2008年に行なわれた日本シリーズ第7戦、埼玉西武ライオンズ対読売ジャイアンツをベースにしています。モデルになっている選手の経歴や試合進行はかなり忠実に再現していますが、選手の性格及び言動、また登場する審判、記者、ファン等は全てフィクションです。その旨ご了承いただきますようお願いします。




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