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トライデント作戦

皆さん、お久しブリーフ……


新しい仕事がキッツイので初見投稿です

リラビア魔法国 帝都ガローツクン

王城 軍議の間


《アイアンフェイス、こちらブラックジャック、敵車列(コンボイ)をスポット》


《了解した、こちらでも確認。アイアンフェイスよりオーバーロード、作戦の許可を求む》


「こちらオーバーロード、許可する、失敗は許されんぞ、観客が見てる」


《了解した。アイアンフェイスよりスカイライン。許可が降りた。全弾投下せよ、ブラックジャックの退避を確認》


《全弾投下了解、スポッティングレーザー受信。座標確認よし、投下まで5、4、3、2、1》


《ドロップ、ナウ》


《アイアンフェイス、賽は投げられた。繰り返す賽は投げられた。着弾まであと30秒。これより作戦空域を離脱する》


《了解した》


《こちらブラックジャック、MOABの着弾を確認。敵車列は消滅》


「よくやった諸君。アイアンフェイス後の指揮は任せる、手筈通りに、オーバーロードアウト」


《了解しました、お任せください》


「さて、皆さま。ご覧の通り、バスディーク城塞都市へ攻城資材を輸送中の敵輜重隊は文字通り消滅しました。我々はその気になればいついかなる時でも、72時間以内に敵地に駆けつけ、あらゆる要害、敵集団を地図から消すことが出来ます」

ミリア少将がラップトップを閉じ、リラビア魔法国の軍関係者にそう言った。全員が信じられない。といった驚愕に満ちた顔をしていた

プロジェクターの光が消え、カーテンが開け放たれ、ミリア少将は心地好さそうに目を細めた


差し込んだ日光に映し出された面々の顔は会議が始まった頃と比べるとだいぶ違っていた。リラビア側の貴族や政府関係者の顔色は軒並み青ざめているか、興奮や感動から高揚している。対する大日本皇国側の関係者達は至って冷静を保っているが、内心はデモンストレーションの成功に安堵していた


「この展開の速さも、あなた方が割譲してくれたシャングリラ基地のおかげです、これにより、我々の勝利と同盟関係は揺るぎないものになるでしょう」


「……す、素晴らしい、やはりそなた方と同盟を組んだ我らの判断は間違いではなかったようだ、改めてそなたらに感謝を」

ハッシェル女王が若干笑みを引きつらせながら拍手をする、すると正気を取り戻した周りの貴族たちも拍手をしだす


つい先月、謎の天変地異により異世界に転移した大日本皇国の玄武島は外界偵察の為に出していた地上攻撃機がたまたま(・・・・)先に転移していたリバティ基地捜索隊を発見し、友軍援護のため地上射撃をし、反乱軍を撃退。その後状況把握のため外交団が訪れ、交流と交渉を重ね、リラビア魔法国は大日本皇国と相互生存連携協定という約定を結んだ


内容をざっくりと説明すると、互いの国が危機に瀕した際は相手を助け、時には肩を並べ困難に対処する。そのような内容だ、捉え方一つで軍事同盟にも、経済援助の条約とも取れるこの協定に従い、大日本皇国はその武力を、リラビア魔法国は食糧や資源、土地といった物を割譲したのだ

この協定は結ばれるまでに多くの出来事があった、まずリラビア魔法国の国王は戦死していたのだ。おそらくクルジド国から発射された毒ガス兵器(・・・・・)によって

それを女王からの正式な発表として国民に公開したのだ。それなりに国民から支持を集めていた国王の非業の死によりリラビア国民は奮い立ち、そこへ強力な力を持つ同盟関係を望む国の登場。真実は闇に葬られ、めでたく協定が結ばれたのだ


そして様々な手を尽くし、クルジド国によって(・・・・)滅ぼされたリバティ基地の報復(・・)というお題目の元、大日本皇国は立ち上がったのだ


ドラゴンクエスト作戦完遂からおよそ8ヶ月、ようやく同盟が両国民にも正式に通達され、人目を避けるように作られた秘密基地であるシャングリラ基地も正式な租借地として拡張工事を重ね、今では総兵力1万ほどの基地に成長した

そして今日、リラビア魔法国が誇る最大最強の城塞都市バスディーク城塞都市を包囲するクルジド国に対する攻勢計画を練っているところであった


「貴国の戦闘力の高さは皆、改めて理解しただろう。さて今度はこちらの状況を教えよう、軍務卿」


「はい」

そうして立ち上がった軍務卿は地図を壁に広げ指示棒を手に取った


「我が軍は現在三つの集団と二つの戦線に分かれております」

指示棒がまず帝都と書かれたところを指した


「帝都ガローツクンに集結中の戦力が一つ、各領主や貴族の私兵を中心とした混成部隊ですが、その兵力は現在一万を越しており、反攻作戦に投入される予定です」

そして次に指示棒はガローツクンから離れた城塞都市の辺りを指した


「そして次にここ、バスディーク城塞都市。我が国最大規模の城塞都市であり、マッポレア平原からこのガローツクンを目指すならこの城塞都市を落とさねば前進は困難、目下最大の戦線です」

大器達が撤退する間際に見た巨大な都市、それこそが今のリラビア魔法国の最期の砦だった


「マッポレア会戦の敗残兵を吸収し、この城塞都市の兵力はさらに向上しており、現在総兵力六万の軍勢とそれを補う備蓄食料が三年分あります」

そこまでいうと軍務卿は最後に山が連なるところを指した


「そして最後はここガルバストキィア山脈。この山脈には初代リラビア魔法国、建国の母である、フェデル・カルスタ・フォン・リラビアが切り開いた交易路、"女王の息吹"が存在しており、ここを守る守備隊と現地民族の混成部隊が現在敵の侵攻を食い止めております」


「"女王の息吹"?」


「かつて存在したルドグシャ王国という我が国最大の友好国との交易に使う道でした。初代リラビア女王が息を吹きかけると山の木々がたちまち切り倒され、魔獣は立ち退いたと言い伝えられています。この道のお陰でルドグシャ王国への旅程が一ヶ月かかった道のりが一週間までに短縮されたのです」

ミリアの疑問の声に応えたのは軍務卿だ


「馬車がすれ違えるほどの幅の山道です。我が国への最短距離で、大軍を送り込むにはマッポレア平原からの道以外にはここしか無いのです」


「なるほど、つまり主だった街道は向こうが制圧しつつあると……」


「その状況を打破するための反攻作戦です、なにも座して死ぬほど我々も悲観主義者ではない」

圧倒的軍事力の差を見せつけられても軍務卿の尊大な態度は変わらない。しかしミリアは気にしない、この軍務卿はデスクワークよりも戦場を駆け巡って指揮をとるタイプだ。ならばお互いに腹を割って話した方が話しは早い


「我が国もその反攻作戦に是非、協力させてもらいたい」


「申し出は有難い、しかしいくら敗戦一方とはいえ、我々はまだやれる、軍の立て直しに半年、それだけあれば反撃に十分な戦力が集まると前線からは報告を受けています」


「…………」

軍務卿が遠回しに言ってることがわかってしまう。おそらく同じ戦場を駆け回った臭いが伝わったのだろう。遠回しだがわかりやすく「少なくとも半年は支援が欲しいが戦争の決着はこちらでつける」と言われてしまった


(……好都合)

ミリアは内心笑みを隠すのに必死だった。ここまで思惑通りとは(・・・・・・・・・・)


「我が軍の現状の備蓄を換算して全力戦闘できるのが一年から二年との試算が出ております。これ以上の戦争継続は我が国にも多大な負担になり、また戦時体制に移行するのにも同じぐらいの時間がかかります、そこはご理解ください」


「では?」


「殿下からは極力二年以内に戦争を終わらせる、もしくは大きな打撃を受ける事なく戦時体制に移行するように仰せつかってます。我が国もこの戦争に貴国と同盟国として正式に参戦いたしましょう。支援の手は惜しみません。貴国と協調して停戦交渉の場にクルジド国を引きずり出しましょう。大日本皇国軍事分野の最高責任者たる皇太子様の代理たる私が保証します」

ミリアの発言に会議室がざわめいた


「クルジド国の拡張主義はいずれ我が国にもその牙を向くでしょう。対策は早いうちに、というのが我が国の総意です。つきましては、これに伴い次の攻勢作戦を開始し、貴国の戦闘を支援していきたいと思います。」


「それは正式な軍事支援という貴国としての回答と捉えて良いのか?」

ハッシェル女王がそう聞いてきた


「ええ、殿下と軍部の意見は一致してます。半年と言わず、一年待たせることも可能だと判断しております。逆に断られたらその意見の一致が無駄になってしまうので、一瞬ヒヤヒヤしました」


「改めて、貴国が加わってくれるということが確認できてよかった。してこれだけははっきりとさせておかねばならない。貴国、この戦争をどこまでやり合うつもりじゃ?」

ハッシェル女王がミリアを睨みつけた、値踏みするような目だ


「……殿下は早急に戦争を終わらせるようにおっしゃってます。軍部としては」

ミリアが地図を見て、指揮棒代わりにレーザーポインタを当てた


「大陸の九割を支配するクルジド国を全て平らげるには我が国や貴国が力を合わせても到底不可能。そこで我々はクルジド国の経済、流通、宗教、政治、軍事。この五つを象徴する都市、そしてそれの障害となる敵拠点を排除、占領しそれを交渉材料にしてクルジド国を和平交渉の席に着かせる。大まかな戦略はこのようになっております」


「それでも交渉に着かなかった場合は?」


「そうですな、その先は軍事機密なのでおいそれと話せませんが、二の矢、三の矢があると伝えておきましょう」


「それが聞けて安心した、我が国としてももはや城下の盟を結ぶような段階ではないと悟っておる。国体を損なわない程度の敗北、よくて痛み分け。目指す所が一緒とわかった以上、我が国も協力は惜しまぬ、この国を預かる女王として誓おう」

ハッシェル女王がそう宣言した、事態は予定通りに進んでいた
























二ヶ月後……


大日本皇国 シャングリラ基地

第48複葉爆撃大隊

ウィンストン大佐


シャングリラ基地は大器達が玄武島へ退避する途中に発見したリラビア魔法国のガローツクンからおよそ3km沖合の所にある離れ小島の事である

大器は玄武島制圧がひと段落したのち、ドラクエ計画の前段階として島に部隊を展開、島を根城にしていた魔物を撃滅し、シャングリラ基地を建造したのだ


島の全長はおよそ800m、そこへ300m級の滑走路を三本と防衛設備を増設し、今では最前線の基地として活躍していた

シャングリラ基地には大日本皇国が保有する航空機の半分が集まっており、滑走路には所狭しと複葉機やヘリが駐機しており、整備係の兵やパイロットがあちこちを走り回っていた


「いよいよ出撃……胸が高鳴るな!」

ウィンストン大佐は自身が搭乗する大型爆撃機、イリヤムローメツを前に笑みをこぼした


胸ポケットから取り出したスキットルを傾ける。ブランデーの甘い風味が口を満たし、緊張が和らいだような気がした


「大佐、オーロラ隊の爆撃機16機、護衛戦闘機32機、発進準備完了です」

そこへ敬礼と共に現れたのは爆撃大隊の副長のリンブルク大尉だ


「うむ、ご苦労大尉。発進許可はいつ頃出るのかね?」


「後三十分後です。そろそろ準備を」


「わかった、君も初出撃が楽しみなようだね」


「興奮してないといえば嘘になります。我々の今日の攻撃で今後の戦略が変わりますからね」


「そうだな、機長を集めろ。作戦前の最後のブリーフィングをやる」


「皆既に集まってます、向こうの野戦テントです」

なかでは既に部下が集まってパイプ椅子に腰掛けて雑談していたが、ウィンストンが入ってくるとおしゃべりをやめた


「紳士諸君。いよいよ初出撃の時が来た。楽しみだな、ワクワクして眠れなかった奴はいないか?」

ウィンストンの言葉に軽く笑いが漏れる。今までは模擬弾しか持って飛ばなかったが、いよいよ実弾を使う時が来たのだ


「諸君らの最大の任務は、生きて帰ることだ。今もこれからも国にとって人員は貴重だ。機体の替えはあっても人的資源の無駄遣いは許されない。そのことを肝に命じて任務に当たって欲しい」

そうウィンストンが前置きをいうと黒板の前に立ち、リンブルク大尉があらかじめ書いておいた図の前に立った


「今日の我々の任務は上陸部隊の前進路掃討、ならびに上空からの地上援護と制空権確保になる。まず部隊はここシャングリラ基地から飛び立ち、南東へ60km、この地点を司令部はロメオビーチと名付けた。他にも二ヶ所あってそれぞれソード、ハスキーと名付けられてる。ここはバスディーク城塞都市で海に接している地点の一つで、現在敵の勢力圏にある。元々は漁村で、今では三ヶ所ある敵海軍の拠点の一つとなっている。我々はその三ヶ所を同時に叩く」

そういうとウィンストンはチョークで沖に船を書き始めた


「事前偵察によると今この拠点には小型の帆船しかいない。つまり沈めても上陸部隊の船艇には支障が出ないということだ。だが後続のヘリ部隊に任せることになっている。我々の大本命は敵が堤防の奥に構えた大規模練兵場、ここだ」

ビーチの地点に堤防として一本線を引き、さらにその奥にウィンストンは丸を描いた


「大佐、練兵場の写真はありますか?」


「ある、皆で回せ。我々が500ポンド爆弾を叩き込むのはそこだ。ありとあらゆる物を破壊しろ」

回された写真には何かの大規模な畑を潰して作られたと思われる整備された地平と無数のテントや天幕が写っていた


「大佐、これを全部ですか?」


「その地点を爆撃するのは我々だけではない。譲り合って、仲良く作戦を完遂するんだ」


「大佐、作戦時間はどの程度ですか?」


「司令部のダチから聞いた限りではおおよそ六時間で占領と最低限の防御陣地が構築できるだろうという見通しだ。相手は剣だの槍だのに甲冑を着たような連中だ。楽勝だろ」


「航空兵器や対空兵器の存在は?」


「リバティ基地で観測された竜は辺りには見当たらない。展開してないとの報告だ。今はこれを信じるしかない」


「爆撃した後は機銃掃射ですか?」


「そうだ。各小隊ごとに一人、地上観測員がつく。連絡を密にして上陸部隊を援護してやってくれ。制空は戦闘機に一任して思いっきりやれ。機体に異常が出て飛行場まで帰還が困難な場合は味方がいる方向へ降りて救助を待て、はじめに言った通りだ、最悪機体は失ってもいいとのお達しだ、他に質問は?」


「問題ありません大佐」


「よろしい、では行こうか紳士諸君。出撃だ」






















ロメオビーチ


聖帝クルジド国

リラビア討伐遠征第65軍


「ふわぁーあ……退屈だなぁ」

クルジド国植民地兵のモリソンは大きなあくびをした

そこは元々あった漁村の火の見櫓を改造した見張り台。そこは植民地兵の事を肉盾か何かとしか認識してないクルジド国正規軍も、植民地兵を虫けらのように使い潰すあの督戦隊もいない、彼だけの空間だった


しかし退屈だ。見張りの兵にはサボりを防止するため槍しか持ち込むことは許されていない。見張り台に入る前の持ち物検査で酒や本は取り上げられてしまい、居眠り防止のために椅子すらない見張り台に何時間も立ち続けなければならないのだ


「退屈だし、しんどい……国に帰りてぇ……」

彼の祖国がクルジド国との浄化(という名の侵略戦争)に負けて早くも一年。他国と比べて比較的早めに降伏した為、王族貴族皆殺し程度で済んだのだが、リラビア魔法国と戦争を始め、いよいよ根こそぎ徴兵が始まり、モリソンも妻と娘を戦場に行かせない代わりに自分の弟と共に徴兵されてここにやってきたのだ


現在リラビアに派遣されている遠征軍は8まであり、その総人数は星の数ほどと言われているのだ


第1から第3軍は竜騎兵を含む特殊部隊であり、王直属の精鋭部隊であり、現在マッポレア平原で大打撃を受けて後方で再編中、第16軍と第26軍は女王の息吹を奪おうとしているが、敵に名将がいるらしく、苦戦中だ


そして残る28、44、65軍はここバスディーク城塞都市の攻略を命じられていた


ここはとにかく広い。国の中に国があるんじゃないかというほどに広く、町から町を移動するだけで軍馬がバテてしまうほどだ

それもそのはず、ここは元は獣人が治めていた国であり、獣人はその強靭な肉体を活用して国を巨大に作っていき、当時の王族も「国民は力である」とか言って産めよ増やせよの体制で人口爆発も手伝い、国は巨大化していったのだ

逆に巨大に作りすぎてそれが原因で滅亡してしまったのだが、リラビア魔法国により統一国家として組み込まれ、その巨大さは今でもこうして侵略者達を苦しめていた


「戦争はもうウンザリだ、オマケにあの囚人どもと一緒にいると、気が気じゃないぜ……」

クルジド国第44軍。クルジド国が今まで占領していった国の刑務所や牢獄、流刑地から集められた囚人達に雇い主に反旗や害意を与えると激痛が走る奴隷の首輪をつけて戦力化した囚人軍団である


一般市民だったモリソンからしたら普通にお近づきになりたくない人種である


「交代要員のやつ、早くこいよ……」

退屈のあまり爪の汚れを取りながらボヤく。そのよそ見が運命の分かれ道だった


なかなか取れない汚れに苦戦し、しばらくしてモリソンが視線を前の海に戻すと地平線に何かがみえた


「……は?」

鳥かと思ったが違った。胴体から伸びる二本の羽、羽の両側には高速回転する小型風車のような何か、それが三十ほど一列になって飛んでいた

そしてそれを小さくして羽を一本にして風車を鼻先につけたような子分の様なものも倍以上、大型のやつを守るように並走していた


「なんだありゃあ!」

非常事態だ。そう判断したモリソンは直ちに警鐘を鳴らした。喧しい鐘の音が練兵場に響き渡り、喧騒がさらに増していく


鐘を鳴らしてから僅か数十秒でその謎の物体はモリソンの上を飛び越していった


「……人が、乗ってたぞ」

モリソンは謎の物体がすれ違う瞬間、風車のすこし後ろ、羽の付け根あたりにいた人が片手を上げてモリソンに挨拶したのが忘れられなかった





















「オーロラリーダーより各機、目標の練兵場を捕捉。各員目標への投下用意!」


《オーロラ1、備蓄庫へ急行中!目標視認!》


《こちらオーロラ2!武器庫へ爆弾投下!戦果大なり!》


《オーロラ3は馬車駐車場を爆撃!敵車両ならびに騎兵に大打撃!反復爆撃に移る!》


「順調だな!」


「そうですね!思った以上にすんなりいっていますね!」

ウィンストンの呟きに副操縦士のラッキー伍長が答えた


「敵の初動は鈍い以上、このまま敵の司令部を強襲するぞ!」


「了解!オーロラリーダーよりオーロラ4!司令部を強襲する!我に続け!」


《オーロラ4了解!》

ウィンストンは速力をさらに上げ、司令部と思われる部隊の旗が乱立するエリアへ急行する


《オーロラ隊、こちらカッター1-1先行する》

そこへ現れたのはAH-64アパッチが二機、ウィンストンが乗るイリヤムローメツと並走し始めた


「支援感謝!」

ウィンストンが返すとアパッチ二機は速力をさらに上げあっという間にイリヤムローメツを置いてきぼりにした


「よかったのですか?せっかくの一番乗りだったのに」


「ブリーフィングで言っただろう。譲り合いだよ譲り合い。それにあの辺りはバリスタや投石機が何台があったはず。梅雨払いは任せないとな」


「なるほど」

事実、突入したAH-64アパッチは司令部の周りにテントで覆い隠されていたバリスタや投石機をハイドラロケットポットやヘルファイヤミサイルで手当たり次第に破壊していた


「カッター1-1、支援に感謝する!」


《お安い御用さ》


「よぉし!投下するぞ!ラッキー、準備は!?」


「いつでもいいですよ!」

少し前から照準器を覗き込んでいるラッキー伍長が返した


「オーロラ4、付いてきてるか!?」


《夏場のブラみたいにぴったり付いてますよ!ブラはつけたこと、無いですけどね!》


「上出来だ!目標と投下のタイミングは各機に一任する!無駄弾撃つなよ!照準手との連携を密にしろ!護衛戦闘機は周辺を警戒しろ!」


《了解!》


「ラッキー、我々は北東から50kmで向かってる!」


「了解、進路そのまま……ちょい右、ちょい右、そのまま、そのまま……」

ウィンストンは指示通りに操縦桿を微妙にズラす。繊細な作業だ


「…………くらえ!」

ラッキー伍長がレバーを引き、胴体に吊るされた二個の500ポンド爆弾、四個の25ポンド爆弾が投下された


着火している証の白い煙を上げながら爆弾は狙い通り、敵の司令部の辺りに着弾した


二十発以上の爆弾が敵司令部のテントとその周辺を直撃し、大爆発と共にテントは吹き飛び、中に詰めていた要員は粉々になって吹き飛んだ


「イェーッスッ!やってやったぞ!」


《後部銃座より隊長へ、敵の司令部を破壊しました。跡形もありません!》


「よし、ラッキー!大隊司令部へ打電!」





















ロメオビーチより沖合十キロ地点

強襲揚陸艦神州丸


《オーロラ隊より報告。ポイントデルタの爆撃に成功》


《スターライト隊、ドンフェン隊、ダストカッター隊も各自目標を破壊しました》


《敵の指揮系統は完全に沈黙したと判断。これより第二段階に移行する、上陸部隊、スタンバイ》


《了解。上陸第一派。ソードビーチまで800m、ハスキービーチまで200m、ロメオビーチまで……》























ロメオビーチ

上陸第一派 ハンター2-1

ハンケイル少尉


《バルーン1、エントリー!》

LCACが浜に乗り上げ、エアクッションの部分がしぼむと同時に扉が跳ね橋のように下がっていく


「前進しろ!」

ハンケイル少尉の指示と共にM3ブラッドレーが走り出し、最前線に躍り出る


先に空挺降下(ヘリボーン)した部隊が砂まみれになりながら浜に伏せ、槍や剣を持って突撃してくる敵に射撃していた


そこへ現れたM3ブラッドレーが25mm機関砲と車載機銃で敵集団を薙ぎ払った


《こちらレイヴン曹長、スペード2-4を率いている。支援に感謝する》


「ハンター2-1のハンケイル少尉だ。間に合ったようで何よりだ。状況は?」


《堤防の向こうから敵がウジャウジャとやってくる。我々が前進し、航空支援により敵を殲滅する、その後ハンター隊が前進して堤防を確保する》


「了解した。前進を援護する。ハンター2-2!歩兵隊の前進の援護だ!」


《ラジャー!》


《行くぞ野朗ども、前進!》

地面に伏せていた歩兵や新たにヘリから降下してきた歩兵たちが一丸となって立ち上がり、堤防へ一斉に走り出した


それに呼応するように敵歩兵も堤防の向こうから現れ始めるがM3ブラッドレーのセンサーは目ざとくその敵を捉え、7.62mm機銃や25mm機関砲が敵兵の命をことごとく刈り取っていった


《支援に感謝する!》

堤防の麓までたどり着いたレイヴン曹長達はスモークグレネードを引き抜き、反対側に投げ込んだ


赤い煙が立ち上ると同時にイリヤムローメツが高度を下げ、歩兵隊を中心に円を描くように飛び始めた



















《こちらオーロラ4-1、支援射撃の位置についた、合図をくれ》


「オーロラ4-1、こちらスペード2-4、赤のスモークを投げるからそちら側の敵を薙ぎ払ってくれ!美里二等兵!赤のスモークだ!」


「ラジャー!」

スモークグレネードを引き抜き、反対側へ勢いよく投げた


《スモークを確認、全隊ついてこい!やるぞ!》

無線が切れたと同時にイリヤムローメツが機体を左に大きく傾け、機首と後部に取り付けられた銃座が地上に向けられる


二丁のルイス軽機関銃が次々と焼夷弾頭の弾丸を吐き出し、地上を這う哀れな敵に弾丸を叩き込む


空からの猛烈な射撃に襲われ、爆撃機を落とそうと弓矢を放つよりも速く、ルイス機関銃が弓兵の身体に無数の穴を穿つ

魔法が使える兵も杖を掲げ、魔法陣が宙に浮かび、爆撃機を落とすべく火の玉や水の塊が生み出されるが、そんなに目立つ的を見逃すほどこちらの兵も甘くはない。集中砲火により原型も留めないほどの肉塊へと変えられた

しかも焼夷弾なので枯れ草や訓練用の藁束などに引火し、さらに敵を混乱に陥れた


爆撃機三機が一列に連なって機銃掃射を敵に浴びせ、弓兵や魔法兵という遠距離攻撃の手段のあらかたを潰された敵軍は混乱し、敵兵も統率もなくあちこちへと逃げ始めた


「前進ッ!」

その機を逃さなかったレイヴン曹長は部下に指示を出し堤防を瞬く間に登りきり、反対側に張り付くようにして伏せていた敵兵に銃撃を浴びせた


「ハンター2-1、道が開けた!」


《了解、前進する》

歩兵が切り開いた道をM3ブラッドレーは突き進み、堤防の上に登り切ると見晴らしの良いそこから機関砲の照準を地表に向けた。狙いは一点、瓦礫に潜み、突撃のタイミングを待っている敵兵達だ


《攻撃開始》

今度はTOWランチャーが発射された。有線誘導のワイヤーがあっという間に伸びていき、敵の潜む瓦礫に突き刺さると同時に爆発。爆炎と共に吹き飛んだのは自分たちを守り、隠すための瓦礫だったがそれらが自身に牙を剥き、敵は全滅した


《サーマルに反応無し。クリアだ》


「よし、戦車と共に前進!行くぞぉ!」

堤防を下り、遮蔽物に身を隠しながら敵が潜む瓦礫に向けて射撃する


M3ブラッドレーは瓦礫を押しのけ、機関砲を逃げ惑う敵の背中に叩き込む。直撃した奴は胴体が真っ二つに裂けて空を舞った


「オーロラ隊、支援に感謝する」


《パーティがあればいつでも呼んでくれ。もっとも今日はあちこちからお呼ばれしてるから、すぐには迎えんけどな》


「了解」

そういうとレイヴン曹長はMP18に新しい弾倉を差し込んだ


「スペード隊着剣のち前進!伏兵に注意しろ!ブラッドレーを援護だ!」


「ユニコーン隊集結!迫撃砲を組み立てろ!そこの爆撃穴に設置しろ!」


「上陸第二派が来るぞ!」


《司令部、カッター1-1だ、弾薬が底をついた。基地に帰投する》


《司令部了解。スカイアイ2-1、ロメオビーチに前進しろ》

兵員や車両を満載した揚陸艇が神州丸とロメオビーチを忙しく行き来する。それだけでなく、シャングリラ基地からもヘリや輸送機に乗った兵士が次々とヘリボーンして降りてくる


その光景はソードビーチ、ハスキービーチでも見られた。共通してるのはクルジド国の兵士は軒並み逃げるか降伏するかのどちらかであるということ


万全の体制を整え、入念な偵察と共に圧倒的火力と航空優勢、制海権を確保したのちの行動である。負ける道理はどこにもなかった


その後前線を数百メートル押し上げ、レイヴン曹長はハンケイル少尉と共に上陸第二派の部隊と交代し、一時の休息と補給に入っていた


《司令部!大至急砲撃支援を頼む!敵の巨大なゴーレムが現れた!機関砲じゃ歯が立たん!》


「大隊本部に繋げ、無線が混線してるぞ」

レイヴン曹長通信兵にそう文句を言う


「機関砲でも倒せんゴーレムか、そう言うのもあるんだな」


「となると、今後は対戦車火器も調達せねばなりませんな……」


「こっちも、ランチャーもいいけど、やっぱ戦車の大砲が恋しいなぁ……」

ハンケイル少尉とレイヴン曹長がお互いに飯盒の蓋に水を注ぎ、たわいもない雑談をしていると


「すみません!私はドレッドノートの地上観測員の者です!無線の調子が悪くて貸してもらえませんか!」

そこへ駆け込んできたのは桃色の髪に通信兵を意味するベレー帽と肩には空軍の着弾観測班を意味する腕章をつけた少女だ。見るからにドジそうな雰囲気というかオーラを纏った半泣きの少女である


「あぁ?ブラッドレーは補給中だから、ウチの奴でよければ構わんが、アビズ!無線機を!」


「ありがとうございます!お借りします!」

名乗りもせず無礼な奴、と思ったがその少女の襟章はなんと少尉。上官である。上官の意向に従うのは下っ端の常である

少女が持ってきた無線機と格闘していると無線機から声が聞こえてきた


《バーガー少尉、こちらドレッドノート艦長、黛大佐だ。砲撃が必要と聞いた、着弾観測を頼めるか》


《なんでもいいからさっさとしてくれ!》


「えーっとえーっと、周波数は……」

胸ポケットから取り出した手帳をめくり、無線機を調整していく

上司と現場の両方から怒鳴られ、バーガー少尉は今すぐにでも泣き出しそうだった


「何故あんな慣れてないんだ……」


「仕方ないですよ、海軍の観測手が流れ矢で戦線離脱した代打なんですよ、少尉は、元々空軍の観測要員のんですから、勝手が違うんですよ」


「なるほど」

レイヴン曹長とバーガー少尉の護衛の兵士がそんなやりとりをしていると


「大佐!黛大佐!バーガー少尉です!着弾観測、準備完了しました!」


《しっかり頼むぞ、少尉》


「はい、現在地がここで、ドローンの位置がここだから……」

タバコをふかしながら座標を伝えていく少女を眺めるハンケイル少尉、軍人向いてないだろ、そう思った


「戦艦まで来てるのか……」


「確か改良型のドレッドノートがこちらに来ているはずです。ラッキーでした、戦艦は一隻しか無いですからね」


「へー、しかし流れ弾がこっちに来なければいいけどなぁ」

ハンケイル少尉がそう呟いた時「ゲェッ!」という声が聞こえた、バーガー少尉の方から


「…………どうかされましたか、バーガー少尉殿」

虫の知らせか、ものすごく胸騒ぎがしてきたレイヴン曹長は恐る恐るバーガー少尉に聞いた


「…………支援砲撃の座標、間違えた……」


「どこの座標を、伝えたので?」


「……たぶん……この辺……」


「「走れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」」

レイヴン曹長はバーガー少尉を土嚢のように肩に担ぎ、ハンケイル少尉と部下と共にその場から駆け出した


ーーーヒュルルルルルルルル


砲弾が風を切る音まで聞こえてきたが、どうにか補給を受けているブラッドレーまでたどり着いた


「少尉、補給はまだかかりま「砲撃が来る、早く伏せろ!」ラジャー!」

全員がブラッドレーの後ろに回り、地面と同化するように伏せた


やがて凄まじい爆発音が響き、衝撃でレイヴン曹長達は吹き飛ばされた




トライデント作戦は問題なく進行中である

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 皇太子と王太子が混同しています。更に言えば太子という立場も可笑しいのでは?親が居るわけではないので、ここは皇帝とか国王の方がむしろ自然な気がします。
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