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プロローグ

昔書いてた作品のリメイクです。どこかで見たことあると思った人は懐かしみながら読んでください。多分その作品であってます


文章力は無いです、人によっては支離滅裂に感じるかもしれませんが、気楽に楽しんでいただければと思います

赤い


墨を溶かしたような曇天が真っ赤になっていた


天変地異とかではない。単に地上が辺り一面の火の海になっているだけだ


草花が生い茂っていたであろう平原は今では辺り一面の炎で包まれており、その所々に冗談見たく巨大なクレーターが空いていた


その地獄のような光景の中には破壊されて炎上する戦車や墜落した爆撃機などが散逸し、それに比例するように完全武装の兵士が折り重なるように倒れていた


その焼け野原の先、入り組んだ塹壕、トーチカ、鉄条網に囲まれた現代の要塞、綿密に計算された十字砲火と巧妙に隠された対空ミサイルや重砲陣地。これらは迫り来るあらゆる軍隊を粉砕し、撃滅する。まさに最強の矛である

そしてそれらに守られるように存在するのは現代の生命線たる重工業を支える工場の集まりだ


その工場は現在非常事態を告げるサイレンがそこらじゅうで鳴り響き、兵士や工場の従業員があちこちを走り回っていた

その工場地帯の最奥、地下6階にある秘匿バンカーの中も珍しく喧騒に包まれていた


「総統閣下、観測班からの報告です。陸軍の戦車隊は後方支援部隊を含め全てが壊滅。空軍の攻撃隊も全滅。僅かな制空隊が残って抵抗を続けておりますが、長くはないかと」


「エネミー!最終防衛線に到達!ウィスキー、リマ、デルタポイントからCASの要請です!」


「海軍のディミトリ中将から入電!第32空母打撃群旗艦スターリングラードが轟沈!これ以上の海軍支援は不可能と!」


「エネミー航空隊、こちらの防空圏に侵入。個別に対空射撃開始」


次々と入る報告を聞きながら部屋の中央、総統閣下と呼ばれる彼は自身が立て籠もる要塞の隅々が記された地図を前に立ち尽くす軍服を着た青年はそれでも動じなかった


「敵も中々やるなぁ。物量に任せた強引な攻めだけど、あちらさんの努力を感じる」

達観というには不敵な笑みを浮かべながら青年は軍帽を被り直した


「途中で一抜けはずるいし、しゃーない最後まで付き合うか。この戦いは、負けだ」


青年がそう呟くと同時に工場の直上で巨大な光球が発生した


鋼鉄の城とも呼べそうな工場群を飴細工のように溶かし、蒸発させその圧倒的熱量は大地を吹き飛ばし、地下のバンカーをまるごと押しつぶしたのだった


青年が最後に見たのは崩れゆく総司令部と砂利、そして自分に向けて降ってくる巨大なコンクリート片だった














『攻撃側が防衛拠点を陥落させました。攻撃側の勝利です!!』


















World War Create、略してWWCというゲームがある


今では普遍化したフルダイブ型VRゲームの一つであり、よく言えばコアな人気がある、悪く言えばそこまでパッとしないゲームである


このゲームはジャンルで言えば箱庭ゲーであり、プレイヤーは与えられた世界の中でエネミーと呼ばれるモンスターを倒してポイントを稼ぎ、拠点を整備して建築し、思い思いの建物を建てていくのがウリのゲームだ


プレイヤーが建てる建物は限られており、普通に家や都市を建てることも出来るがプレイするプレイヤーの多くはミリタリー系の建造物に興味がある人が多く、思い思いの軍事施設を作っては悦に浸るようなプレイスタイルが多かった

そもそも防衛に重きを置かないと度々襲撃してくるエネミーに破壊されてしまうので、中には『荒廃した世界で最後の人類が暮らす拠点』というロープレをしながら遊ぶプレイヤーなどもいるにはいる


そんな個人が作業に没入して遊ぶ系のゲームだが、プレイヤー同士の交流が出来ない訳ではない

例えばお互いの拠点をそれぞれ同じフィールドに設置して片方が攻撃を、もう片方が防衛をする『オペレーション』というゲームモードがあったり、複数人で協力して都市を作ることもできるのも一つの楽しみ方である


「ふぅー、やっぱ光学兵器はつえーなぁ」

そう言いながら先ほどの試合結果を振り返ってるのは速水はやみ大器たいき。今年で大学二年になる青年だ


両親はたまの休日を小旅行で満喫しており、兄弟姉妹のいないゲームオタクの彼が土日に家にいるとなると、ゲーム三昧になるのは太陽の後に月が空に登るのと同じほど自然な事だった


「やはり攻撃側が光学兵器主体だと、どうも現用兵器じゃ限界があるな……」

先程の試合結果を振り返りながら考えに耽る大器は喉の渇きを潤すためにコーラを一口、ついでにお菓子を摘む


WWCのゲームには相性というものがある


例えば攻撃力で言うならレーザーやビームを撃てる光学兵器と呼ばれる物がダントツで最強である

設定上、宇宙から侵攻してきたエネミーを研究して開発された兵器という一面があるこれらの武器は兵器単体でほぼ無補給であらゆる現用兵器にダメージを与えられるオールマイティーな武器とも言え、現時点では最強の武器の一角とされていた


一方で大器はそれら光学兵器主体ではなく、あくまで現用兵器にこだわる縛りプレイを心掛けていた

というのも光学兵器の全てには自動で攻撃を防ぐバリアーが展開されるのだが、これらを防げるのは同じ光学兵器のみであり、光学兵器を破壊するには爆撃や銃撃が効果的なのだ

そういった特性と自身の趣味も相まって大器は光学兵器を使わない縛りを行なっており、彼が今まで作ってきた要塞や拠点はどれも映画やニュースで見るような軍事施設の影響を受けており、非常に偏っていた

個人的にはエイリアンに対抗する地球最後の軍。という設定を心に抱いているので本人的には光学兵器主体のプレイヤーとのマッチングで惨敗しようが僅差で勝とうがどちらにせよ燃える展開なので関係なかった


「うーん、まぁいいや。とりあえず新しく作ってる方に行くか。創作意欲がちょうど湧いてきたし」

お菓子とコーラで気力を回復した大器は再びVRゲーム機をセットして、ゲームの電源を入れた


「ん?あれ?」

いつもならゲームの電源を入れると、メニュー画面が出てくるのだが今日は違った


大昔のテレビのように黒と白の砂嵐が発生し、一向にゲームが始まる気配がないのだ


「なんだこれ、バグか?それとも回線落ち?」

再起動しようと電源を長押しするが砂嵐は一向に消えない。それどころか白黒の点滅が激しくなってきた

今の大器はゲームのアバターだが、それでもこの砂嵐は初めて見る現象で、なぜ起こったのか原因が不明な分、恐怖心すら覚えた


「なんなんだよこれ」

眩しさのあまり目を細めがら必至に電源を切ろうとする大器

流石にこの異常さに気づいたが、事態は好転しないし、既に手遅れだった


点滅がいよいよ閃光に変わり、大器のアバターが目を庇うように腕で顔を覆った


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