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猫 ねこ ネコ  作者: カレー屋きんちゃん
74/80

巫女加奈20

「ニューヨークの中心地マンハッタン。更にその中心、ミッドタウンともニャると流石に違うか……」

アカラサマニこの辺りにパワーが集中してるニャ……

良くも悪くも……

いや、良いのも悪いのもって言ったらいいのかニャ?

金も、気も、人も……




車は如何にも“THEアメリカ!”といった雰囲気のホテルの前に止まる。




「えっと……ここホテルですよね?

会社に行くんじゃ……」

しかも高級そうな……



「ええ、ここ“セントレジス”はホテルです。が、社長室がここにありますので。

後、カナのニューヨーク滞在中の住まいはここになりますよ?」



「へ?」



「良かったニャ、加奈。

ニューヨークの高級ホテルの中でもトップクラスのホテルに滞在出来て。

しかも、各部屋に執事(バトラー)がいるんじゃなかったかニャ?ここ」



「はい。よくご存知ですね、Mrウァサゴ。

このホテルのサービスのひとつです。

歴史の浅いアメリカにおいて、創業百年もあるホテルです。それなりに満足出来ると思いますよ?」




「………」

……それなり?!

んなわけあるか!!

何処のお嬢様やねん!各部屋にセバスチャンって!

シエルもビックリだわ!


引くわ!


何考えてんねん!

庶民がそないなトコでリラックス出来ると思っとんかい!

あたしは漫喫で雑魚寝で充分だわ!




加奈が黒いオーラを発しながら悶々と脳内突っ込みをしている横で、猫と秘書の話は進む。




「元々このホテルのオーナーはジョン・ジェイコブ・アスター四世、社長の遠い親戚にあたるそうです」



「ニャるほど……

だから会社の各部署、子会社等にアクセスし易い自分のオフィスを置いた訳かニャ?」



「そのように聞いてます」



「ニャ、詳しくは本人に聞けばいいニャ。

先に部屋かニャ?それとも社長室かニャ?」



「社長室に先にご案内致します。

お部屋にはそのお部屋のバトラーがご案内します。ホテルの方の仕事を取っては悪いですから」



「わかったニャ。


……


加奈……

いつまでグチグチ言ってるニャ……

神社の跡取りで、自称晴明の生まれ変わりとか言うニャら……もっとドシッと構えてだニャ……」



「……アフタヌーンティー、美味しいよね?」




「……多分ニャ……」

……心配した自分が馬鹿だったニャ……

加奈は美味しい食べ物があれば、どんな苦境でも乗り切れる奴だったニャ……



「ルームサービスは充実してるから、……安心して?」



「OK、アンナ。どんな案件もバッチリこなしちゃうわ」



「「…………」」

……単純。




チェックイン等の手続きは後で部屋でするそうなので、そのまま社長室に向かう。


因みに加奈の荷物はホテルの人が部屋の方へ先に運んでおいてくれるようだ。


エレベーターに乗り込む2人と1匹。押されたボタンは15階。



エレベーターが開きフロアーに出ると、そのまま客室の並ぶ廊下を歩く。

見た目は他の客室と変わらない普通の部屋の前で足を止めるアンナ。



コンコン

「デヴィッド、入るわよ」



『来たか、入ってくれ』


入って目に映る豪華なスイートルーム。

ベッドの代わりに置いてある応接用のソファー以外は何ら普通のスイートルームと変わらない。




「……」

普通のスイートルームって!スイートルーム自体、普通じゃないからね!

わかってんの?!



「加奈……何“に”キレてるんニャ?」



「……別にキレてないし、何って……」

何?



「相変わらずウァサゴの周りは騒がしいのが多いな……

それより、


ようこそニューヨークへ。

どうだい?悪魔の作った都市の感想は」



「風情がないニャ。

地球人だった頃は感じニャかったが……違和感バリバリニャ。

もっとヨーロッパや日本みたいにオブラートに包む事は出来なかったのかニャ?アスター」



「アスター?

アスターって、初代オーナーでしょ?」



「ニャ?気付かなかったかニャ?

アスタロトは地球じゃニューヨークを拠点に活動してる悪魔ニャ。

そいつが人心掌握するのにロッカーだけしているはずないニャ」



「流石はウァサゴ、私の上司達と肩を並べるだけはあるな。


ヨハン・ヤコブ・アストルが毛皮売ってバカ売れしたからって、そんなに金持ちには成れない。

ましてや土地を買い占めるなんて暴挙、普通の人間はしないだろうな。

ヨハンに入れ知恵したのは私だし、ロスチャイルドや大統領を紹介したのも私だ。

そして、死に間際に契約して私は仮初めの姿を手に入れた。


2世も私だし、3世も4世も私だ。私がその仮初めの姿で直接指揮したのだ。

契約条件や内容は詳しく言えないが、妻を助けて死ぬまでに一族の資産を一般人の生涯年収の10万倍位にはしてやったかな?」



「なかなかえげつない能力の無駄遣いだニャ?」



「別に私が望んだ訳じゃない。

まぁ、結果として現在の諜報活動の基盤を楽に作れたのは事実だが」




「あのぉ……」




ふと気が付くと加奈が青い顔をしている。




「……かなり世界の裏側を暴露してるようだけど……

あたし、ここに居ていいの?」



「何を今更言ってるニャ?アスタロトの部下になった時点で諦め……」



「ちょっ!あたしは悪魔の部下になった訳じゃ……

あ……


すいません……


別に……社長に喧嘩売ってる訳じゃなくてですね……

一応……異教とは言え、神に仕えてる身でして……」




今更ながらアスタロトとの力の差に尻込みして言いごもる加奈。




「心配しなくても君に何か危害を加えるような事はしないよ。

あくまで地球じゃ社長とその部下。最悪でも地球の能力者と、“神”の諜報員。

直接どうこうし合う事はない」



「……わかりました……


ところでアンナさんは?」




気が付くと姿が見えないので心配になった加奈。



「そう言えば、入室するやいなや出てったニャ。

どうやって命令したニャ?」



「え?」

気付かなかった……



「やはり霊体や魔力と言ったエネルギーの移動しか見てなかったか。

簡単な事だよ。

頭に直接メールを送っただけだ」



「メール?」



「……イーロンが今、研究させている奴だニャ?もう完成したのかニャ?」

頭に直接デバイスやらインターフェースやらどうのこうのって奴か……



「まだ未完成だが、理論は出来上がっているんだ。

難しい手術なんて私からしたら“ままごと”みたいなもんだし、ネット環境や電気機器関係はデカイか小さいかだけで、既に完成しているようなもんだ。

それにウァサゴなら……」



「ニャ……電気ってわかっただけで理解したニャ……」

『これニャろ?仕組みを理解し、術式を構築すれば現状の能力だけでアクセスできるニャ』



「ご名答!流石『神』を冠する名を持つだけはある」



「???」

???何?

急に黙ったまま意志疎通?



「簡単な事ニャ。電波を使ったテレパシーだニャ。

普段から加奈が使ってる念話や霊視をより身近な“力”、電気や電波でやってるだけニャ。

多分、頑張れば加奈も出来るニャ……




100年位で」



「死んどるは!」



いちいち話にオチを付けないと気が済まないんだな……


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