表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫 ねこ ネコ  作者: カレー屋きんちゃん
40/80

猫又、ギルドでフラグ回収

再びギルドのある通りに戻った2人。



大会エントリーは無事に済んではいるが、そこにも多くの人が…


ギルドに着いた時には既に夕方を過ぎていた。




「これは本当にホールの床で寝ることを考えないといけませんね」


ギルドで寝ること自体は問題ないのです。


問題なのはギルドその物。


何故か知りませんが、ヴァサゴ様と会ってからギルドに行くとなにかしらのトラブルに巻き込まれるのですよね…




原因はアイツか…


ニャ?呼んだかニャ?


……




「…では、ザディ。登録お願いします」



「はい(?)」



すんなりカウンターへ


「登録したいのですが」


「おう、この用紙に記入してくれ。

わかんねぇトコとか、知られたくねぇ事は書かなくてもいいからな」



何故かやたらと強そうな(実力は隠して)男がぶっきらぼうにいってくる。



「はい」


名前:ザディアス

年齢:180才

種族:エルフ

性別:男

職種:剣士、弓士

好きな食べ物:

好きな異性の好み:

好きな本:

尊敬する人:サクヤ殿


色々フォローしてやるが死んでも責任とらねぇけどいいな?:はい

※詳しくは小冊子参照




「…」


好きな食べ物や本のある意味がわからない…


特に好みの異性…



用紙を眺めながら受付の男が訪ねてきた。


「この尊敬する奴んとこのサクヤって誰だ?」



「…」


黙ってサクヤの方を向く。



「…」


こっちを向かないでください、ザディ…

…遅かったようです。


えぇ、何事もなく進んでいるように思ってしまった私が馬鹿でした。


それは気付いていましたよ?カウンターに受付嬢がいない時点で。

ましてや気を抑え、魔力を抑えていた時点で臨時の受付ではなくギルドマスター辺りだとは。

でもですよ?


登録に来たのはザディ。

完全に妖気を消し、魔力も怪しくない程度に抑えただの付き添いか使い魔ですという感じにしていて何故?


ザディがこっちを向いただけで何故私だと?


いや、まだこちらは肯定も否定もしていません!

向こうも確かめて来ていません。大丈



「サクヤとやら、手合わせ願おうか」



…夫な訳ないですよね…




目立ちたくないんですが…


はあ




ザディは、普通に聞く。


「私のギルド加入はどうなったのですか?」



受付の男はさも当然のように


「ん?OKだ。

カードは今、時間の都合で出せないから明日だ。

で、サクヤはランクはSか?Aの上か?」




「いえ、私は今日ハンターの登録をしたばかりの駆け出しですが?」


これだから戦闘狂のギルドマスターは嫌いです。

少しでも自分より強いか同等の人と直ぐ闘いたがる…


ウィンディアのマスターは平均ランクS。それも途中でランク上げを辞めた人達ばかりです。準魔王クラスと互角に殺り合えるSSに片足突っ込んだ隠れた勇者クラスが多い人種です。

正直、一番手加減しにくい強さの人達です。




「ああ、言ってなかったな。俺はここのギルドマスターのアリストってもんだ、よろしく」




知ってましたよ…


隠す気全くなかったですよね…


マスター章…




ギルドマスターはギルドカード以外にその身分証を所持している。


王城や各ギルドのマスター会議等、スムーズに出入りするための特殊な魔法加工がされたバッチ。


その男は最初から胸に堂々と着けていた。




ギルドマスター、アリスト。

身長は190位、ザディより少し高い位。

体型は痩せ型、パワータイプには見えない。

魔力も極端に高くなく、魔法使いにも見えない。



「こっちに地下練習場の階段がある。着いて来てくれ」



「拒否権は?」



「ん?ザディアスの登録取消が望みか?」



やはりそういう展開になるんですね…


「…仕方ありません…

で、しがない駆け出しハンターに何をせよと?」



「ん?シアイだよ、シアイ。簡単な手合わせだ。

あんた、そこのザディアスの先生か何かだろ?

てこたぁ、そこそこ強えんじゃねぇのか?


エルフに戦闘技術を教えるたぁ凄いじゃねぇか。

このシアイでザディアスの最初のランク決めっからよ」



「それならザディと試合すればいいのでは?」






「着いたぜ。ここが練習場だ。

得物はなんだ?」



…聞いてないのでしょうか?それともわざとですか?


「木刀を貸してください」




「あ?木刀?

死合いにそれでいいのか?


…舐めてるって訳じゃなさそうだな…

俺はこれだ、いいな?」



マスターはサクヤに木刀を渡しながら、自らはボックスから武器を出す…




魔術杖(メイジスタッフ)を。



「…バトルメイジですか…」


珍しいですね…マスタークラスでこんな珍しい人種。

前回会っていないのが不思議です。



「ほう、魔法使いって直ぐわかったか。

大抵の奴らは武闘家の杖術使いって思うらしいんだけどなぁ」



確かに魔術杖にしては意匠がほとんど無く、長棍と区別しずらい。しかし、帯びている魔力が違う。

異様な程、内包魔力が高い。



「そこのエルフの兄ちゃんはわかるんじゃねぇか?」



ザディの方を向く



「…世界樹…ですね、あれは…」



なるほどと理解するサクヤ。

そして諦める。



「バトルメイジでギルドマスター…

さぞかし苦労なさったでしょう…」




魔法使いは基本、後衛がセオリー。

特殊な魔法でも使わない限り前に立つ事はない。特に魔法と特殊能力が存在する『魔界(魔王と悪魔が存在する世界)』では、魔法のみで前に出る事は死に直結する。

まだ、南の魔界から離れた北のサン・ウッドとはいえ、マスタークラスが悪魔や準魔王クラスと対峙しないとは限らない。



「じゃ、手加減無しで行かせて貰うぜ。

魔王クラスと手合わせなんてそうそう無い経験なんでな!」



いきなりスタートする。



「いきなりですか。

あと、私は魔王クラスなどではありません。

まだ、あの方達の足元にも及びません」


そう…まだ辿り着いていませんよ…ヴァサゴ様の領域には…



いきなりスタッフで襲いかかるアリストを木刀でいなしながら答えるサクヤ。




「チッ、余裕じゃねぇか…

身体強化系だけじゃ無理か…」


強化系の魔力以外の魔力がアリストの体を覆い出す。

そして、複数の魔法と魔方陣を展開していく。



「!『纏い』と魔法の複数同時展開!」



「?!マトイ?これは俺がある人に教えてもらって自ら編み出した技術、

循環錬魔。


そして、それが可能にする…」


フライで空中に浮いたかと思うと宙を蹴って魔法を纏ったスタッフを叩きつける。



「くっ」



受けた木刀の先が砕け散る。




「空中戦闘魔闘術だ!おら!」



堪らず距離をとるサクヤ。




「おら!どうした!これでお終いかぁ?えぇ?」




「…」


纏いに飛刀…新陰流そのものですね…



サクヤは闘気を纏い、木刀に風の魔力を纏わせる。



「…見極めます」



サクヤの姿が揺らいだ瞬間、風属性のニ閃を繰り出される。




目に見えない鎌鼬の斬撃がアリストを襲う。



「っしゃあ!なろ!

やっぱ、そうこなくっちゃな!」


鎌鼬をスタッフで弾くと、

雷撃を纏ったスタッフと同時に炎の塊を飛ばす。



サクヤは折れた木刀のニ閃でそれらを弾く。



「……」


「……」



一瞬の沈黙が二人を襲う。



「死ねぇ!おら!」


複数の火の玉とスタッフの雷撃を同時に出す。



「『七枝刀』」


7つの斬撃が全て攻撃を打ち消し、通り過ぎる。




「がはぁっ!…やっぱあんたすげぇや…

あのジジィにソックリだわ…

でも次で決める!ごら!」






ジジィ?

師匠?


ジジィ…


師匠をジジィ?





…(ブチッ)



「…師匠を…」



サクヤを膨大な量の妖気が覆う。



「…ジジィと…」



折れた木刀で抜刀の構えをとる。



「…呼んでいいのは…」



妖気・闘気・魔力が木刀に一気に集まり…


消える。






「…私だけだ!!」



「※.ヾ〇♂&£‰!!!!!!」



何も無い所から、急にこの世の終わりかと思う様な『恐怖』が発生し、一瞬の内にアリストを襲う。



既に全て砕け散った木刀のおかげで物理的ダメージはほとんど当たらなかったアリスト。


しかし精神的ダメージは…


蛇…ドラゴンに睨まれた蛙くらいのトラウマを喰らった。




南無…




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ