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北朝鮮ミサイル発射余波

早くも総合点2千に達しました。皆さんのお陰です。

頑張って連日更新を続けます。スマートフォンでは読みにくいという御指摘もあって会話部のスペースを広げました。


 その日の夕刻、ノドンが日本めがけて打ち出されたが、これは正常に飛べば秋田付近に着弾する。

 そのノドンは、日本海に残っていたイージス艦ちょうかいによって発射後3分で探知され、直ちに警報が出された。

 また、ハヤトは駐屯地のカフェテリアでくつろいでいたが、念のためマップを展開していた。ロシア領に近いソンバン付近から打ち出されたミサイルは、発射時点ではハヤトのいる地点の半径1000kmの範囲を超えていたが、100kmほど飛翔した段階で護衛艦ちょうかいとほぼ同時に検知した。


 検知と同時に、ハヤトは一緒にコーヒーを飲んでいた香川2佐に告げる。

「北朝鮮から、もう一発ミサイルです。うーん、これはノドンという奴ですね……。どうも日本への着弾を狙っていますよ」


 香川は一気に緊張して応じる。「同じように、撃墜出来るかな?」


「ええ、固体燃料ですから同じくEEZの境界で落としましょう。今度はしかし、派手に爆発はしないので、方向は逸れてもすこし発火後も飛ぶかもしれませんよ」

 なおもミサイルを追いつつハヤトは解説する。


 イージス艦ちょうかいも、まもなくノドンが迎撃ミサイルの射程範囲に入ったが、彼らには撃破命令は出ていなので、その発射をためらう。

 しかし、ちょうかい艦長は管制員の「あのノドンは日本に着弾します。秋田付近です」と言う言葉を聞いて、EEZでの迎撃を決心する。


「よし、EEZを越えたあと迎撃するようにミサイルを発射する。念のため3発撃つ」艦長の命令に、射撃管制士官が管制コンピュータに必要な諸元を打ち込む。


「今から3分後に発射します。それで、EEZ通過後に敵ミサイルに命中します」射撃管制士官の言葉に艦長が命じる。


「よし、迎撃ミサイルの発射を命ずる」


 その3発のミサイルは、射撃管制士官の言葉通り発射され、跳んでくるノドンめがけて飛翔する。しかし、当たる寸前レーダーを睨んでいた管制官が「命中します!」と叫んだとたん、ミサイルの軌道が大きく逸れた。

「ああ!ミサイルが逸れた。え!ミサイルが爆発した!」管制官が叫ぶ。

 

 そのタイミングでハヤトが推進剤に着火したのだ。ハヤトも驚いて言う。

「あれ!3発のミサイルがあのノドンを追っていて、当たる寸前でした。多分少なくとも一発は当たっていたと思うけど、僕が推進剤に着火して軌道をそらしたものだから当たらなかったのだな。申し訳ないな。そういえば、自衛隊の護衛艦が近くにいるな」


 ハヤトが悔やんでいう傍ら、香川2佐はそれを聞きながらも、すぐ天野司令官に連絡をとり、ハヤトと一緒にいて知りえたことを報告する。そして、連絡が終わってからハヤトに、それでいいのだと宥める。


「今回の場合は、ハヤト君が、すなわちまもる君が撃墜したのでないと都合が悪いのだよ。

 このノドンを撃った北朝鮮の意図は、まもる君の能力の確認だ。それを護衛艦、たぶんイージス艦のちょうかいだろうが、これが撃墜したのでは具合が悪い。まもる君に撃墜されたということで、初めて北朝鮮側の心を折ることができるのだ」


 その日は、再度防衛省から北朝鮮のミサイル発射と撃墜の発表があった。

「本日、16時11分、北朝鮮ロシア領よりのソンバンより、ノドン型のミサイルが発射されました。

 このミサイルの目標は、日本本土の秋田能代付近でしたが、このミサイルは午前中と同様にEEZ、排他的経済水域を越えた時点で、16時27分に撃墜されました。撃墜は午前中と同様に防衛省が持つ、“まもる君”によるものであります。

 しかしながら、日本海には米軍が去りつつある今も護衛艦ちょうかいが配置されており、ちょうかいもこのミサイルを検知して迎撃ミサイルを撃ち、そのノドンミサイルへの命中の寸前に“まもる君”が撃墜した結果になりました。

 結果的には、ちょうかいのミサイルによる撃墜はなりませんでしたが、その能力は十分に発揮できたわけであり、ノドンミサイルの撃墜には従来から配備されているイージス艦のミサイルシステムで十分対処出来ることが証明されたわけです。このように、ノドンは二重の防衛システムの両方から撃墜が可能であったわけです」


 この緊急記者会見に駆け付けた記者からの質問の一つは以下であった。

「なぜ、北朝鮮は同じ日に2回ものミサイル発射を行ったのでしょうか。また、日本本土を狙うというような暴挙をしでかした理由は何でしょうか?」


 その質問に防衛省の担当者はこう答えている。

「推測ですが、第1回のミサイル発射により、そのミサイルを迎撃されたことを信じたくなかったのでしょう。そこで、固体燃料ですぐに発射ができるノドンが選ばれたのでしょうし、本土を狙ったのは、すでにかの国の指導者が正常な判断が出来なくなっている証だと思います。

 いずれにせよ、我が国の“まもる君”は、午前中の火星8号のようにあらかじめその発射を予知できていなくても、北朝鮮のミサイルを撃墜が出来ることを実証したわけです」


 この件は、日本では夕刊には当然間に合わなかったが、午前中の翌朝には特大ニュースとして扱われたし、それは世界にとっても同様であった。


 インターネットの世界でも、熱い議論が交わされた。

『結局、これで日本は、実質上ミサイルの脅威という面では無敵になったわけじゃん。これは北朝鮮に対してだけでなく中国に対してもだよな。

 それどころか、仮にアメリカと反目しても対ミサイルという面では安全だよ。でもアメリカは、ロシアや中国に対しては依然としてその大陸弾道弾の脅威は残っているよな』


『ああ、日本に関しては東京から半径1000㎞だとはみ出る部分もあるが、そこをわざわざ核攻撃をする意味はないだろうよ。しかし、アメリカも相当メリットはあるぞ、北朝鮮に関してと同様に、中国に関しては殆どアメリカの方向は日本列島で蓋をしているぞ。

 ロシアはほとんど関係ないけどな。しかし、アメリカはもともと核の報復能力があるから、状況は以前と一緒だよ。しかし、日本はいわゆるアメリカの核の傘に依存してきたが、今後は自分で確実に守れるというのは大きいよな。

 元々、核の傘なんて当てにならないというのは常識だからな。誰しも、自分が被害を受けても誰かを守るなんてことはしたくはないし、それが国だったら尚更だ。そもそも、アメリカは日本にだけは核武装はさせたくないんだ』


『ええ、なんでよ。何で日本だけ?』


『考えてみろよ、アメリカは前の戦争で、一般市民に被害が出ることを承知で市街地に核爆弾を落としたんだぞ。ということは、唯一日本だけは、アメリカと戦争状態になった時には、アメリカに核を打ち込む道徳的権利があるんだ。俺は、アメリカ人がそう考えていると思う』


『うーん、なるほどな。ちなみに、コウモリの韓国がどうするか見ものだよな。アメリカも日本も、あれだけ北朝鮮に強硬にやれと迫っても、北朝鮮にすり寄っていって、アメリカにも愛想をつかされたよな』


『ああ、最後のアメリカ軍の日本海への展開などは、全く韓国の拒否は無視だもんな』


『ああ、あれは傑作だったな。大統領の白の拒否を無視して展開した米艦隊に対して、断固として非難すると真っ先に言ったのが、日本海という米軍の使った言葉だからな』


『ああ、昨日のアメリカ政府の声明は、明らかに見放したことを宣言した感じだな。たぶん、米軍は朝鮮半島から引き上げる腹だと思う』


『しかし、北朝鮮の核は韓国には依然として有効だろう。米軍が引き揚げたら、北に核で脅されて、成り行き任せで併合されるのではないか』


『ああ、北の核開発の大きな目標がそれだからな。元々、日本をどうするというのは考えていなかったはずだ』


『では、何で韓国のあの白とかいう大統領は、あんなにオリンピックの時は特にそうだけど、北にへつらったんだ?』


『ああ、あいつはもともと北シンパでな、北こそが正当なる朝鮮民族の志を継いでいると思っているのよ。だから、自分の大統領の時代に北と併合しようと思っているわけよ。

 しかし、北にそうやって併合されてみな。北はいまピョンヤンに住んでいる連中が言わば貴族で、それ以外は奴隷よ。それが、その奴隷の下に南の連中が来るわけだ。さぞかし愉快なことになるだろうな』


『大統領の白は米軍を追い出したがっているんだろう?米軍がいなくなれば、韓国は油や食料のない北には通常戦力では勝てても、核を始めミサイルに特化している北には、被害を恐れて結局勝てんだろう』


『ああ、多分白の狙いは、アメリカや日本に対して睨みの利く大陸間弾道弾をもった北朝鮮と統一するということだと思う。

 北なんて食料も自給できず、GDPで見ると世界の最貧国、大部分の国民は飢えており、極めて偏った教育を受けていて、工場労働者として使えるかどうかも怪しい。そんな国を誰が欲しがるか。核あればこそだと思う』


『うーん、言う通りかも。ちなみに中国はどうなのよ』


『中国は今回の事態には慌てていると思うぜ。中国は近い将来において、世界の覇権を握ることを考えている。まあ、これは憲法にも名前を書いたというあほらしいことをした指導者の周菅氏の妄想だけどな。 その意味では、言うことを聞かず忌々しい存在だった北朝鮮だが、アメリカの覇権に挑戦し、当面の支配下に置こうとしている、日本への大きな脅威になっているという意味では、都合のいい駒ではあるわけだ。それが、今回の件で、北の核はすでにアメリカと日本の脅威ではなくなっており、気が付けば自分には未だ脅威なわけよ』


『しかし、中国としては、ほぼ支配下に置きかけている韓国に対しての状況は別段変わらないし、北が韓国を飲み込むのは中国にとって都合がいいのではないかな』


『いや、北が韓国を飲み込むのは中国にとっては都合が悪いと思う。韓国の経済力は、北よりはるかに上だが、あほなマスコミとそれに動かされている国民、さらにそれに完全に引きずられている指導層のために、操るのは極めて簡単だ。比べると北はもう失うものはないこともあるが、極めてしたたかで、中国も明らかに扱いかねている』


『ああ、そこそこの経済力を持って、大陸間弾道弾、それも日本やアメリカには無力なそれを持った統一朝鮮が生まれるのは嫌だと思うぜ。それも、北主導の朝鮮は戦争での人命なんてことは考えないだろうからな』


『ふーん、でも、もう韓国が北に飲み込まれるのは前提かよ』


『ああ、俺はそう思うな。アメリカが引いたらそうなる。そして、アメリカは韓国にうんざりしている。北に核で脅されたら、絶対に韓国の国民性では耐えられない。まあ、これは日本も一緒だけどな。韓国はしかも北シンパの大統領だ』


『うーん、それは、そうなったらどうなるか想像がつくから、韓国の連中には気の毒なような気もするけど、率直に言ってあまり同情しようとは思わんな』


『俺もそう思うよ、あれだけ馬鹿にした行動をとられるとな』


『俺も』


『俺もそう思う』


『韓国は置いといて、中国にとってもう一つ都合の悪いのは、日本に下手にちょっかいをかけられなくなったことだ』


『そうだ。あいつらは通常戦力で戦った場合に、量では勝っていても寄せ集めの技術の艦船、結局ロシアの技術頼みの航空機、また騒音を出す潜水艦の差で、分が悪いというのは認識しているようだな。

 しかし、仮に局地戦で負けても、最終的には核で脅せば勝利の形で決着できると思っていたんだが、それが出来なくなった。あいつらは国内がもめても、日本に戦いを仕掛けて、勝てば収まると考えていたからな』


『なるほどな。しかし、もう一つ大きい話があるぞ。日本列島に蓋をされて、中国の大陸間弾道弾はアメリカに届かなくなったのじゃないか。さらにそれはアメリカにとってもそうだろう』


『うーん、全部ではないが、陸上からはほとんどはそうだな。しかし、アメリカは潜水艦発射式のものがたくさんあるからな。アメリカにとってはあまり変わらんだろう』


『潜水艦については、中国も同じくミサイル原潜をもっているよな。うるさいらしいが』


『中国のミサイル原潜は、現状の活動範囲ではアメリカ本土に対して届かせるのは無理らしい。だから、第1列島線とか第2とか言って、外洋に出たがっているんだ。まあ日本列島に蓋をされているのだよ』


『ちなみに、ロシアにとっては日本のまもる君はどうなんだろう』


『ロシアにとっては、無論大いに都合が悪いな。日本は、ロシアに対してはアメリカの核の傘がなければ、核ミサイルによって滅ぼされることもありうる存在だった。平和ボケの日本人は意識していないが、それは事実だ。

 中国のすべての核ミサイルを日本に打ち込んでも、全滅させることは無理だが。ロシアは出来た。しかし、営々として築いてきたそのミサイルシステムが日本に対しては無力になった。また、北朝鮮の核ミサイルについては、今回は日本に阻まれて証明できなかったが、アメリカ本土まで届くものであるだろう。と言うことは当然モスクワまでは届くのだ』


『うーん、まあいずれにせよ、北朝鮮が今後どういう振る舞いをするか見ものだね』

お気楽なインターネット住民の議論であった。


 北朝鮮は、発射したミサイルが苦も無く撃墜されたという事実のまえに、今までのような威勢のよい脅し文句を言えなかった模様だ。


「日本は、卑劣にもその憲法に違反して我が国が正当な権利のもとに行っていた実験を妨害し、わが共和国の財産を破壊した。その行為に対し、わが精強なる共和国軍が卑劣なる日本に鉄槌をくだすことを覚悟しなくてはならない」

 いつものおばさんアナウンサーの国営放送に対し多くのネット民のコメントがついた。


『なんか、元気がなかったな。列島を沈めるという言葉がでなかったな』


『日本の憲法の心配までしてくれたよね。なんか、韓国や中国みたいになってきたな』


 世界のネット民の議論も、日本のものと大同小異であったが、韓国のものは焦りに満ちたものが多くなった。それはそうだろう、いままでは核開発を断固とした意図で続ける北朝鮮の関心はアメリカと日本を向いていた。

 しかし、その2国が北朝鮮のミサイルから今や安全になった結果、必然的に核を持たない脆弱な隣の韓国が、そのターゲットにならざるを得ないことに気づいたのだ。

 そして、核に脅されて、国民の大部分が古の李氏朝鮮と同様な奴隷である北朝鮮の支配下に入るということは、その奴隷のまた下になることになる。そのことに気づいて韓国人は恐怖に震え上がった。


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