海の日の家での過ごし方【月.カヤ】
【月曜日】
==カヤ==
今日は平日だけど、学校は休みだ。あとは家で冷房をかけられればいうことはないのだけど、親が許してくれそうにない。
「暑い」
扇風機の前で座り込み、風を独り占めにしなが呟く。
友達と遊びに行く用事もないし、買い物に行く元気もない。この暑さがなければごろごろと寝転んで過ごすのに。
「図書館でも行くかな」
窓から見える日差しの強さを改めて確認して、眉をしかめた。涼むための図書館までの道中で、汗をかくのはちょっと嫌だ。しかも夕方からバイトがあるので、図書館に行くと帰り道も太陽が照り付ける中歩かないといけない。余計に出たくなくなる。
「あつー」
床に寝そべり、だるくなった体を床に支えてもらう。
十万円貰ったら何しよう。
ふと、そんな考えが頭によぎった。
欲しいものは今買えないし、貯金するのも躊躇いがある。労働の対価ではあるのだけど、これはあぶく銭みたいなもので、私の中ではまだ抵抗があるみたいだ。
「既にデートもしてしまったし、役目は果たしているしなあ」
労働の対価としていただくものは頂いておかないと、私とセンパイは対等でなくなってしまう。弱みを握ったり貸しを作ったり、別の形に発展してしまう。
「結局、お金が一番かもなあ」
お金は汚いなんて言う人もいるけれど、お金は結局、価値を形にしたものって聞いたことがある。数字で分かりやすく、皆が使いやすくなっているだけで、お金は信頼の別の形に他ならない。だから、お金はセンパイからの感謝の形として、ありがたく受け取っておくのがいいんじゃないかな。
「でも、やっぱり。十万円は大きすぎるよね」