Epilogue【6.ヨウ.カヤ】
【6年後】
「疲れたー」
「お疲れ」
「泊まりがただとは言え、夜まで待つのは面倒かも」
「だから合鍵渡しとこうかって言ったんだよ」
「うーん、気が引けるけどそれがいいね」
「だろ。後で渡す。で、就活はどうなんだ?」
「うーわ、親戚のおじさんみたいなこと言う」
「わりい」
「内々定は頂いているところはあるんだけど、本命は面接真っ最中って感じ」
「それが明日の?」
「そう、明日の」
「うおおお、まじか、その、頑張れよ?」
「別にそんな気を使われすぎても困るって。言ってもまだ1次面接だし」
「すまん」
「なので、合格したら次の面接のときも泊まりたいんだけど、いい?」
「いいよいいよ。汚い部屋だけど」
「まあ、それは確かに」
「少しは否定しろよ」
「でも実際散らかってるし」
「確かにな。カヤが正しい」
「ヨウはいつまでもそんな感じでいきそう」
「そんな感じって?」
「ほら、今みたいな」
「わからん。言葉で説明してくれ」
「んー、なんか言葉で伝えにくいものってあるじゃん?」
「言葉ってなんであるのか知ってる?」
「雰囲気で察して」
「結局かよ。あ、飯は食った?」
「食べたよ。名物とか食べたかったんだけど、チェーン店で食べた」
「もったいねえ。ここでしか食べられないもの食べろよ」
「ここで就職して存分に巡るからいーよ」
「そのくらいいえるなら安心だ」
「それはそうと、お風呂借りていい?」
「勝手に使え。いちいち聞かなくていい」
「でも普通家主に了解とるでしょ」
「めんどくせえ。俺とお前の仲だろ」
「どんな仲?」
「それはこう、アレだよ」
「アレってどれ?」
「ほら、わかるだろ」
「わかんないよ。ちゃんと説明してくれないと」
「ほら、口だと説明しにくいものってあるだろ?」
「それさっき私も言ったよね?」
「うるせえ。雰囲気で察しろ」
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
評価・感想お待ちしております。
ヨウスケの友人達は、別作品「かしかり」の登場人物です。もし時間がありましたらそちらも読んでいただけると嬉しい限りです。
改めて、読んでいただきありがとうございました。
では、また会えることを祈りつつ。




