考え方次第【水.ヨウスケ】
【水曜日】
==陽介==
「で、彼女来てくれるって?」
「ああ、空いてるから来るってさ」
タカシの言葉に何でもないように返す。実際は無理にお願いしてきてもらったが、悟られてはいけない。
「よかったー」
「よかった?」
俺の彼女が妄想じゃなくて良かったってことだろうか。
「ん? いやサキの思い付きの、急な誘いだったからさ。そっちの予定が合うか心配だったんだよ」
「ああ、なるほど」
タカシに言われて気づく。そうか、予定が合わないと言って断ればよかったのか、と。本当のことを悟られないようにばかり気をまわしていたから、気づかなかった。
「どうした?」
「いや、大丈夫」
平然を装い、別の話題へと変える。
今からでもトリプルデートを止めることができないだろうかなんて考える。彼女に予定が入ったとかなんとか言えば、止められそうではある。ただ、予定が合わなかったら再度誘われそうだし、早めに乗り切ったほうが楽なのかもしれない。
ポジティブに考えよう。ポジティブに。
トリプルデートを乗り越えたら、俺は自他ともに彼女がいた跡を残すことができるはずだ。証人も作れる。
今度の土曜が俺の人生の天王山だ。
彼女いない歴イコール年齢を、完膚なきまでに破壊してやる。