大学生の平日の過ごし方【木.ヨウスケ】
【木曜日】
==ヨウスケ==
今日はバイトも講義もない。そんな日は家で寛ぐのが性に合っている。部屋には冷房をかけて、一日中布団の上で寛ぐのだ。
決して一緒に遊ぶ友達がいないわけではない。
一緒に遊ぶ友達は恋人とイチャイチャしているだけだ。
「あー彼女欲しー」
ぼやいて、はたと顔を上げる。
「俺、彼女いるじゃん」
仮だけど、と心の中で付け足した。
ネットサーフィンを止め、汐田に連絡を送ろうと携帯電話を操作する。『今暇?』と何の変哲も無い文章を打ち、送信した。
「また一週間かあ」
足を組みながら天井を見上げ、昨日のバイトを思い返す。
バイトの終わり際、汐田が提案してきた申し出にはとても驚いた。
それは、恋人のフリの契約をもう1週間更新しないかというものだった。世間には一週間で別れるカップルもいるという話なので、恋人がいた証拠として一週間でも十分だと考えていた。それなのにもう一週追加すると、これはもう本物のカップルより上回ったといっても過言ではないんじゃないだろうか。何が上回っているのかはわからないけど。
そして、汐田はその一週間の延長に対してお金はいらないというのだから、俺にとっては嬉しいことこの上ない。
そんな素晴らしい恋人から、早速返信が届いた。
『先輩、今日平日なのわかってます?』