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だて男にーさんの鬼推理  作者: 花シュウ
#1「8%の悪意」
8/40

「8%の悪意」第三章 内容考察01

<泉 まゆか>

「……あ」


<牧 双葉>

「やっと戻ってきた」


<伊達 秋人>

「おう。で、そっちは何か進展あったか?」


<双葉>

「それがね。どうにもこうにも……」


<秋人>

(……だわな)


<双葉>

「とでも言うと思った?」


<秋人>

「? どういうこった?」


<霧島 聖司>

「それがですね。ひとつ、貴重な情報が見つかりそうでして」

「丁度今ごろ、こちらへ向かっている最中だと思いますよ」


<秋人>

「情報? 向かっている? 何だそりゃ話が見えんぞ」


<水城 優希>

「とにかく座っていただこう。説明はそれからだ」


<秋人>

「あ、ああ」


<双葉>

「ふっふっふ」


<秋人>

(何だこの、薄ら気味悪い笑いは……)

「で、貴重な情報が向かってくるってのは、結局どういう事なんだよ?」


<双葉>

「見つかったのよ」


<秋人>

「何が?」


<双葉>

「流出したテスト問題。それを……」


<秋人>

「盗み出した奴がか!? まさか、自首しにくるのか!? 問題解決なのか!?」

(なんという、ハッピー! お役ごめんだな! 神よありがとう!)


<双葉>

「んな分けないでしょ。犯人が、そうほいほいと自首してたまるもんですか」


<秋人>

「……ぬぐ」

(俺としては、そういう展開も“あり”だと思うんだが)

「んじゃ、何が向かってくるんだよ」


<双葉>

「ようするに。あんたがタバコを吸いに行ったすぐ後、携帯に返信が来たのよ」

「ほら、まずこのメール」


<秋人>

「ん? なになに……」



『あ~それってよひょっとしてテストの問題と関係ある?』



<秋人>

「何だこれ? SNSだかラインだとかって言うやつか?」


<双葉>

「そ。あたし、日曜日を全部使って、情報収集したって言ったでしょ?」


<秋人>

「おお」


<双葉>

「で。学校の知ってる友達みんなに、片っ端から『何か知らないか』って、連絡しまくってたのよ」


<秋人>

「お前まさか、手当たり次第にテストが流出したこと触れ回ってたんじゃねーだろな」


<双葉>

「はぁ? んな真似してるの先生に知られたら、それこそ心象最悪じゃない」

「一応、私もまゆかも件については先生から口止めされてたんだし、情報源なんてすぐばれちゃう」

「あたしがそんな馬鹿な事すると思う?」


<秋人>

(激しくそう思います)


<双葉>

「だから。『今回のテスト、何かヘンな噂とか聞かなかった?』って、そう漠然とした言い回しで聞きまわったのよ。賢いでしょ?」


<秋人>

(うーん。それもどうかと思うんだが)


<双葉>

「それで、やっとよ。今さっきこの返事がきた」

「これまでずっと、何の情報も入ってこなかったから困ってたんだけど」


<秋人>

「何も……日曜日潰して収穫ゼロとか言ってたな」


<双葉>

「そうよ、悪い?」


<秋人>

「いや、悪くはねーけど……」


<双葉>

「ほんと、なーーーーんにも。噂ばなし程度の情報なら、すぐ集まると思ってたのに。綺麗さっぱり」

「つーかさ。みんなして『何があったのか教えて?』って逆に聞いてくる始末よ」


<秋人>

(しかし、それにしても何もないとは)


<双葉>

「とかで、もう情報収集は諦めてたら、ほらこれこの通り。大逆転で大勝利だわ」

「ってゆーか、雅也ももっと早く返事よこせっつーの」


<秋人>

「まさや……クラスメイトか?」


<双葉>

「残念ハズレ、今は違うクラスよ。あいつとは1年のとき同じクラスだっただけ」


<秋人>

「ふ~ん」


<双葉>

「んでぇ、次はこれ。すぐに返信した私のやつ」


『関係あるある。あんた何か知ってる?』


「で、向こうからの返事が……」


『そういや俺テスト前にヘンなの見たぜ』


「と、こうきたわけよ。当然私は、こう返したわ」


『ヘンなのって何?』

『なんつーか期末テストの問題っぽい奴』

『まじ!? どんなのだった?』

『二年の奴っぽかった』

『すぐに来い』

『なんで?』

『口答えするな。いいからこい。これは命令よ』


「と、こういう経緯なわけよ」


<秋人>

「で、今こっちに向かってると」


<双葉>

「そゆこと」


<秋人>

「ええと、雅也だっけ? そいつどんな奴なんだ?」


<優希>

「ふん。二年A組、飯島 雅也。奴を一言で言い表すなら、当校きっての問題児だ」


<秋人>

(問題児。なんだこの親近感の沸く単語は……)


<双葉>

「問題児って言うか……馬鹿ね」


<聖司>

「ああ、問題児っていうより、そっちの方がしっくりきますね」


<秋人>

(凄い言われようだな。どんな奴なんだ?)


<双葉>

「何にしても。見たか私の情報源。双葉ちゃんネットワークの力。きっとこれで、大きく一歩前進できるわ」


<まゆか>

「ありがとうね、双葉ちゃん」


<双葉>

「なんのなんの、たやすい事ですよ。ほっほっほ」


<優希>

「もっとも、あいつが持つ情報にどれだけの価値があるかは、これから判断することだがな」


<秋人>

「だとさ。あんまり浮かれるなって、会長様からのクギが刺さったぞ」


<双葉>

「……うう」


<まゆか>

「あ、来たみたい」

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