「8%の悪意」第四章 答案提出01
<秋人>
「自分は! 生徒会副会長、霧島聖司であります!」
<全員>
「!?」
<聖司>
「!!!!!!??????」
<工藤>
「きりしま……霧島か?」
「いつも物静かで、にも関わらず副会長の、あの霧島か?」
<秋人>
(おお霧島。お前って奴は……)
「そうです! 自分がその霧島です!」
「引っ込み思案を会長に矯正された結果、先刻のような無礼な物言いをしてしまいました! 申し訳ありません!」
<聖司>
「ちょおおおおおおお……むぐっ」
<優希>
((これは面白い。お前は黙っていろ))
<雅也>
((おお、完璧なヘッドロックだ。スゲー))
<聖司>
((モガ!? モガモガ!?))
<優希>
((口を出すな。絞め殺すぞ))
<聖司>
((モ!?))
<双葉>
((ってかアンタ! なんでそんな嘘つくのよ!?))
<秋人>
((嘘をつく理由なんて決まってんだろ。後ろめたいからだ))
<工藤>
「本当に……霧島なのかね?」
「それにしては、名乗った瞬間、そちら側が妙にざわついたようだが……」
<秋人>
「よくある事です!」
「普段影が薄いせいか、副会長の肩書きを出すと決まって周囲の人間はこのような反応になります! お前が副会長!? 的な感じです! 真実です!」
<工藤>
「…………」
「他の者。彼は本当に霧島副会長なのかね?」
<双葉>
「え、ええと……」
<雅也>
「まあその……」
<まゆか>
「何というか……」
<優希>
「間違いありません。彼は3年C組、生徒会副会長、霧島聖司、本人です」
「性格の変動は私が勧めた自己啓発の結果です。彼の発言がお気に触るようなら、態度を改めるよう対処いたしますので、ご了承のほどを」
<聖司>
「むっぐ!」
<工藤>
「そこまで言い切るか……」
「まあいい、これで……五人か。後は? 他にまだ誰かいるのかね?」
<優希>
「いえ、以上です」
<聖司>
((むぅんぐ!))
<優希>
((黙っていろと言っている。本当に自己啓発されたいか?))
<聖司>
((うう……))
<工藤>
「色々と腑に落ちない事が多いが……まあいい。それでは話を戻すとしよう」
「生徒会長。君たちは今、自分たちが何をしているのか理解しているかね?」
<優希>
「はい。無論、理解しています」
<工藤>
「では、それが生徒のみを主体として行うべきでない事も、理解はしているね?」
<優希>
「…………」
<秋人>
(さあ、どう答える?)
<優希>
「理解は……しています」
「当然、話し合った結果に現状との相違が見つからなければ、この場はそのまま解散となる予定でした」
<工藤>
「なにやら、含みのある言い方に聞こえるが?」
<優希>
「つまりです。結論を言えば、我々の間では今、“件”に対し“泉まゆか”さんの関与自体、あり得ない状況なのではないかと……」
<秋人>
(んどわ! この女、なに勝手に言い切ってやがんだ!?)
<優希>
「そのような考えが持ち上がっております」
<工藤>
「……ほう」
<優希>
「ですので。“テスト問題の流出”に関わる案件について、我々の導き出した考えをお聞きいただけないでしょうか」
<工藤>
「この電話でかね?」
<優希>
「はい、そうです」
<工藤>
「本来ならば、電話ではなく直接面と向かうべき必要のある事柄だと思うが?」
<優希>
「それは出来ません」
<秋人>
(出来るわけ、ねーわな)
<優希>
「勝手を言って申し訳ありませんが、しばしこのままでお付き合いいただきたく思います」
<工藤>
「まあいいだろう。で、聞いてもらいたい考えとは何なのだね」
<優希>
「それについては……彼。発案者の霧島聖司本人の口から語らせます」
「ということで、副会長。はじめなさい。言葉と態度に気をつけてな」
<聖司>
「んぐぐ!?」
<秋人>
((てんめぇ、よくも気前よく風呂敷広げてくれやがったな?))
<優希>
((流れ的に仕方のない事だったのだ、許せ))
<秋人>
((何が仕方ないだ、適当言いやがって))
<優希>
((なってしまった物は仕方がないだろう? なら、腹をくくってもらおうか))
<秋人>
(にゃろぅ)
(まぁしかし、こうなったらやるしかねーか)
(一か八かってわけでもねぇし、確立は五分五分……いや、もうちょい良いか?)
(……ったく)
(しゃーねぇ。しゃんとした喋りはガラじゃねーが、行ける所まで行ってみるか)




