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第二章 無限の虚無編 二話 ~リーダーを信じて~

 この学園で唯一神力を使える者達、鏡、種、電樹、風真、クリスタ、真白、大地と鉄平は、部室で今後の話し合いをするべく灯火流を待っていた。


「遅いですわね、紅城君」


 ガラガラ、と開いた部室の扉に。


「遅いぞ、灯火流。今日は大事な会議をする……と……」


 文句を言う筈だった鏡だが、扉を開けた者を見た瞬間、全員が身構える。


「「無神!!」」

「やっほ~、こんにちは~皆さん。残念だけど灯火流君は、来ないよ♪」


 いつもの笑みを浮かばせながら告げる無神の言葉を誰もが凍り付く。


「テメェー、灯火流に何かしたのか!!」

「そう、カリカリしないでよ、電樹君。彼は、ただ私のゲームに付き合っているだけさ」

「ゲームだと……?」


 更に警戒が増し、深々と無神の意図を探ろうと鏡が尋ねた。


「灯火流が鵜呑(うの)みに貴様の話に乗っかるとは思えねぇ。何をした?!」


 当然だね、という顔で苦笑する無神が両腕を広げて叫んだ。


「そうだ。彼の大切な人を私が作った空間(ぶたい)に連れ込んだのさ。いや~、あっさり引っかかりやがって、つまらなかったよ。仲間も呼ばずにたった一人で乗り込んで……うわぁ!!」


 鏡が手から発射した水の玉を紙一重でかわした無神は、仰天し取り乱す。


「な、何するんですかいきなり……」

「テメェは、もう黙っていろ!!」


 激怒する鏡を見てヘラヘラとした顔を改め、真面目な表情に変わり言う。


「今回用意した舞台(ゲーム)に君達を招待するよ――」


 不適な笑みに戻り、続ける。


「ま、君達には元より選択肢がないがな」


 指を鳴らし、扉を覆うように黒い穴が出現する。


「さぁ、この中を通り抜けば二人のところまで辿り着けるよ♪」


 警戒心を増して、電樹が苦笑混じりに言う。


「へっ、のこのこと入る、バカじゃねぇぜ、俺ら」

「信じる信じないは、君達の自由だ。しかし良いのかな~、このままじゃ灯火流君が死んでしまいますよ~」

「くっ!!」


 これは挑発だ、と頭の中で思っている一方でそうでではないかという理性が思考を阻む。

 無神皇(かれ)の言葉は、ほぼ全て嘘で信用はこれっぽちもないが――

 灯火流の大切な人――おそらく八守友香のことだろう――の為なら、迷わずに突っ込んで行くに違いない。


「行くよ」

「おい、マジかよ、鏡」


 この世で一番無神に疑心を抱いている人は、鏡にして他にいない筈だ。

 しかし、鏡は()えて無神の言葉を呑んだ。


「僕は、無神皇(こいつ)を信用した訳じゃない、灯火流の行動を信じたのさ」


 そう言うと鏡は、穴の中に飛び込んだ。


「けっ、ま、そういうことで」

「せやな、おいら達のリーダーを信じようや」

「ですわね」

「うッス」

「ああ」

「うん」

「……ん」


 一人また一人と穴の中へ飛び込み、無限の闇の中に飛び込んだ。

 独りとなった無神は、全員の行動に仰天し、頭を掻き乱す。


「上手くいったのか?」


 空間歪み、人一人が現れた。


「カオスか……上手くいったのはいったけど、どうもあっさり企み通りいくと、逆に不安になるんだよね~……こほごほ」


 ため息一つ吐いた無神に思いっきり背中を叩き込まえる。


「な、何すんだよ~」

「気合の入れ直しだ」


 無神は、何食わぬ顔のままのカオスを見て冷静に戻る。


「ま、想定外(・・・)も楽しむとするか。カオス、行くぞ」

「わかった」


 無神は、手を翳すと黒い扉が表れその中に入った。

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