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遊戯の神 ~完結編~

『うおおおおおおおおおお』


 断末魔を上げながらジクの身体がみるみる巨大化し始める。

 手が力強い強烈な爪に変化し、背中からは巨大な翼を生やしていた。

 頭は、蛇のような爬虫類に姿を変え、鋭い牙が大いに目立った。

 身体は、まるで獅子のような毛並みに姿を変えた。

 まるで本にでてきそうなキメラの完成形のように変身を終える。


「何だあの怪物は!!」

「キメラッスよきっと。チョーコワいッス!」


 能力が使えるとはいえ、実戦経験は皆無に等しい一同にとっては、分が悪過ぎる。

 初陣にしては、かなりハードルが高い。

 未知数の相手の能力、力の加減。

 けどこの中で一番冷静だったのが鏡だった。

 巨大な水溜りを作り出しジクに投げつける。


『ギャアオウゥ!!』


 キメラは、鋭い爪で水溜りを切り裂くが……その瞬間水が変形してキメラの両腕をロープのように巻きつけ動きを封じた。


「今のうちに総攻撃だ‼ありったけの技で動きを止めるぞ!!」


 鏡は、更に水のロープを増やしキメラを拘束する。


「けれど、ジク(かれ)は、操られているだけですのよ」

「バカっ!それを言っている場合じゃねぇよ!」


 先まで分かち合っていたジク(あいて)に攻撃する事を抵抗を覚える結晶だが今にでもロープを力任せに引き千切りそうな様子を見せる。

 ジクの動きを止める為、水に電気を流し込んで動力の無力化を図る電樹。

 涙目で結晶は、氷の刃を作り出し両手両足目掛けて発射した。


『ギャアアァァァァ!……グ、グルジィィィッ……』

「攻撃を止めるんや。ジクは、まだ意識が残っている!」


 僅かに聞こえたジクの言葉に反応して、一旦攻撃を止めて再びジクの出方を伺う。

 攻撃が止んだ途端キメラの動きが止まる。

 脱力した感じで両腕が重力に沿って垂れる。


「どうしたんだ?何故何も仕掛けてこない?」

(ダノ)ム……(ボグ)ヲ……(ゴロ)ジデ、グレ!(イゾ)ゲ……意識(イジギ)()ッデイガレル(マエ)ニ」


 辛うじて残ったジクの意識は、キメラに呑み込まれようとしていた。

 このまま神として終わらせて欲しいと言わんばかりに苦し紛れに魔獣化した手を思いっきり伸ばす。


「やろう!!」

「しかし、彼が助かる可能性もあるかもしれませんですわよ!!」

「そッスよ。まだ諦めちゃいけないッス!」

「だが、彼の望みを、化け物としてじゃなく、神として最期を迎える事だ!」


 喧嘩が始まり、収拾がつかなくなっていた。

 誰が正しいのかを考えるのは極めて難しいからだ。

 ジクの意識がまだ残っている以上は、助けられる可能性はゼロではない。

 けれど、その糸口を見つけ出す目処が付かない今、彼が自我を失う可能性の方が高い。

 これは、何より時間との勝負になる。


『オ(ネガイ)イ……(ハヤ)グ……(ゴロ)ジデグレ……』


 ジクの意識が徐々にキメラに侵食し始めた頃に灯火流が立ち上がる。


「灯火流、君?どうしたの?」


 傍にいた種は浮かない顔で彼を見つめる。

 灯火流は、ジクから貰った日本刀を構え炎が(まと)う。


「やめなさい、紅城君。ジクは、まだ助かるかもしれませんわ」


 だが結晶の言葉が届かず、一直線でキメラの方へ突っ込む。


「【炎刀(えんとう)斬炎龍(ざんえんりゅう)】」


 貫く姿勢に刀を構え足から炎を放出させ、更に加速する。

 キメラの胸の中心を貫く。


『がっ!』


 キメラが悲鳴を上げながら床に倒れ込む。

 キメラの隣に灯火流が立ち上がり一同の許まで歩く。

 近づく彼に結晶が強力なビンタを思いっきり頬に喰らわせた。


「どうして、殺したんですの?彼、助かったのかもしれませんでしたのに……?」


 涙する結晶だがすぐに灯火流の様子がおかしいと気づく。

 彼の右目が激しく輝いているが、彼自身は、意識がなかった。

 無意識のままゆっくりと手を叩かれた頬に当て、次の瞬間に右目の輝きが止み次第に意識が戻る。


「……あれ、俺は、一体……?……って、うわっ!!」


 目を覚ました灯火流は、目の前に結晶がいる事に驚く。

 突然地震が起きたように屋敷が激しく揺れる。


「どうやら、この空間も限界が来ているみたいだな」

「って何冷静にさらりとコワい事を言うんッスか、鉄平!」

「いや違う!これは……!」


 そう呟く鏡は、ジクの方目掛けて視線を向ける。

 貫かれた筈の胸が光を放ち時間が巻き戻したかのように修復していった。

 再び活動を始めたキメラは、立ち上がり貫かれた胸の傷は、姿形もなくなっていた。


『グオオオオオォォォォォォォォォォォッ』


 ゆっくりと前進するキメラ、(もとい)ジクは、その蛇型の頭部の口を開き、狂気に陥った叫びを上げる。

 キメラの瞳には、先程とははっきりと光が消え、ジクの意識が完全に消えた事を悟る一同。

 彼らの心情を知る由もしない現のジクは、反撃を与える隙すらなく攻撃をし続ける。


「っく!何もできねぇ……つ~か何もさせてはくれねぇ」


 空間を操り、無限に岩の兵士を作り出し、終わりなき攻防を繰り返す。

 雑魚と言ってもいい程の強さだが数に勝るほどの武力がないと言わんばかりの兵士数に圧倒される。


「どうにか、突破口が開けねぇのか……おい、大地、お前の能力でこの兵どうにかしろ!」

「無茶言うなッス。こんな無尽蔵に作られて、それをコントロールするのにも限界があるッス!」


 土に関する物質をを自在に操る事のできる大地だが、空間で操るジクが作り出した岩の兵士は、大地の能力を上回る。

 一部を静止させても操れる兵隊も限度がある。

 しかし、ジクが操る岩の兵は、大地と違って直接兵をコントロールしていない。

 彼は、ただ命じるだけ、『兵士と化し、敵を滅ぼせ』、と。

 そして、作り出された兵士は、意志を持ち敵を自動で行う。

 勿論作り出せる兵士には、力を使うから有限ではあるが、神の力をそのまま暴走させられ、その上でジク自身の世界で戦いを行っている。

 それは、つまりこの世界そのものと戦っていると言っても過言ではない。


「どうするんですの、この状況?」

「俺様に聞かれても判る訳ねぇだろう!!それにここにいる誰もが何も知らねぇと思うぜ!!」


 広まる不安と絶望が大気と混じり合い気力そのものを削ぎ落とし力を弱める。

 このままでは、全員が()られてしまう、そう思った灯火流は、心の底から叫ぶ。


「させるかああああぁぁぁぁぁ!!」


 ――ドックン……


 瞬時に視界がぼやけ、目の前が真っ暗になる。


【お前の肉体(からだ)を寄越せ!!】


 体内から響く声の圧倒的な力に押し負けて気絶する。


「お前は、一……体?」


 霞む視界の前に人影を見詰めながら最後の呟きを言い残し完全に意識を失った。

 叫び声を上げた灯火流の身体は、見る見ると黒いオーラに包まれる。


【ハハハハハ―――久しぶりの(いくさ)だ。楽しませてくれよ、化け物】


 飛び交う不気味な声。

 大気が軋み、地響きが空間全体に広まる。


「何だよあれ……?……あれって本当に灯火流……なのか?」


 キメラは、危険を察知してか警戒態勢に移り、その反動で兵士の生成が止まる。


「それほどまでに、今の紅城君は危険ですの?」


 とても頼もしい状況ではない事だけが一同は、灯火流の姿を見て理解する。

 はぁ、と気合の掛け声と共にキメラに直進し、刀を後ろ構えで一気に斜め下から上へ切りむ。

 キメラは、右腕を切り落とされ、うめき声が空間中に響く。

 即座に反撃を仕掛けるが、灯火流は全ての攻撃が最初から解っているかのようにかわして見せる。

 華やかな身のこなしで刀を再度構え、黒い炎が刀に宿る。


黒炎刀(こくえんとう)重力核斬じゅりょくかくざん


 斬り付けた胴体は、重力が倍増され本来の重量の三倍はくだらない程加算され、バランスを崩し、地に伏した。


【トドメだ、黒炎刀(こくえんとう)(そう)(りゅう)(えん)()


 刀に宿った黒いオーラが二つに別れ、二刀流を携えて螺旋状に突撃を仕掛けた。

 鑽孔機(ドリル)のようにキメラの身体を貫こうとしたが両の掌を犠牲に押し潰す形に灯火流の攻撃を挟んだ。

 膨大な重力に耐えながら攻撃を止めるだけの気力を持っている事に関心すら覚える。

 ―――が、やはり限界がきてか、両腕を右方向に動かし攻撃のずらしを促す。

 一メートルもずらす事ができたものの右脇に灯火流の双龍炎歌が炸裂する。


『ギャァァァァァ、ク、クソぉ、ガァァァァ』


 自我を取り戻してか、変身後、初めて理解できる言葉だった。

 ――けれど、ジクの意思など反映している様子もなく、そう……彼はもうジクではない。

 ――――別の生命体――――――【怪物】でしかない。

 自己再生能力を持つキメラに掠り傷など瞬時に回復するだろう。

 ……の(はず)だった……

 キメラの様子がおかしいと気づいた天磨は皆に呼びかける。


「ジクさんの様子がおかしいです」


 キメラは、藻掻いて、両の手と切り付けられた右脇を何とか抑えようとしていた。

 焼けた細胞に回復している様子は目で見て明らかだ。

 前みたいに光が放たれてなく、むしろ傷が広まってさえ見える。


『グァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ、クソ、クソ……()エナイ、()エナイ、()()()()()ォォォォォォォォォォォ』


 凝視するとキメラの傷口に微かに灯火流が帯びていた黒い炎が残っていた。

 その炎がキメラの肉体に再生を許さず、逆に傷を広がせていた。

 虚空の、それにいて冷酷さを帯びたように感じる灯火流の瞳は、身を翻し刀の刃を仰向けに剣先をキメラに向けたままに構える。

 神ならざる力を発揮した灯火流の黒い炎。

 明らかに灯火流の実力を遠い彼方を凌駕する力。

 全員の力を合わせてもキメラに近づきさえできなかったのに、灯火流一人でそこまでのダメージを与えた。


「ほんま、何者や彼奴(あいつ)は……」


 灯火流(かれ)の筈なのに、灯火流(かれ)ではない何者が底知れない力を引き出しているのか?

 それとも他に理由があるのかかは判らない。

 再度身を構えた灯火流は、これまでもない気迫を放ち、これぞとない殺気を放っていた。

 無意識で行動している事もあるがそれで全てが説明しきれない何かが確かに存在していた。

 ただならぬ憎悪が身体から出るどす黒いオーラから嫌っと言うほど感じ取れた。


【今度こそ、トドメだ……化け物】


 大火事を連想させる程の黒い炎を放出し、その究極の技の名を叫びながら突進した。


黒炎刀(こくえんとう)終焉(しゅうえん)


 最期と意味するその技の(めい)は、その名に恥じない勢いと威力を見せる。

 このままでは、灯火流が元に戻れなくなる。

 そう判断した一同は、ジクと灯火流の間に立ちはだかる。

 しかし、攻撃を止もうとしない様子を直感的に理解しても、それでも尚退()こうとしない。

 掠れる意識で目覚めた灯火流は、両手足が何かに縛られていて、身動き一つもできないまま目の前の光景を見入る。

 映像の画面を見ているみたいで何もできない。


「やめ、ろ……」


 自分の身体が仲間を斬ろうとしている状況を瞬時に理解し、強く訴える。

 身体の解放、それで仲間が救えるのなら何だってしてやる、その覚悟で絶叫を内部から叫ぶ。


当然、その声は誰にも聞こえない。


「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!――」


 一同が目を(つむ)り、刹那(せつな)の時間の中で一瞬、訪れるであろう死を感じ取った。

 両断される感覚――

 けれど――それは、幻覚の感覚。

 種が両の眼を開けると信じられない光景がそこにあった。

 赤い滝が流れ、その先には、灯火流の――灯火流を操る何者かの驚いた表情だった。

 次第に一同も全員目を開け、今いる状況の把握に頭を働かせる。

 ジクが焼かれた腕を前に、一同を(かば)う構え攻撃の全てを受け止めた。


『ぐぐぐっ!!だ、大丈夫、ですか……皆さん?』


 聞きなれた口調、今の行動で皆が悟った。

 これは、紛れもなくジクだ。

 ――呼び覚ましたきっかけは、判らないが、出来したぞ、ジク――


「これで誰も殺さずに……!?」


 ここで自分の発言に間違いがあると理解する。

 ――これで、誰も……?――

 前を見てねぇのか、バカ野郎!!

 既に虫の息でいるジクの身体に気づき、そんでもってジクの傷が自分によるものと悟る。

 自分では理解し難い力が宿って、その能力でジクの身体を(むしば)んでいる。

 その事実が何故わからない!

 未だに身体の主導権をその何者かが握り、自分は、ただじっと見ているだけ……?

 そんなの――そんなの……


「させて、(たま)るかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 雄叫びを上げ、その声が一同に届いたように思えたその時。

 串刺し状態の刀を抜こうとした灯火流の身体が急に停止した。

 震える声、身体で僅かに残った余力で口を開く。


「か、刀から、お、俺を……引き、放し、て……」


 苦しい声だが、間違いよう筈がない、灯火流の声だ。

 聞き()らないように受け止め、一同は必死で灯火流とその刀を引き離す。


【グッ!!グワァァァアァァ!!】


 身体から引き離そうとした瞬間呻き声を発し、しかし力を弱まる所か上昇し、全員の手を振り払おうとしていた。


【キサマらぁぁぁぁ、手を放せぇぇぇぇぇ】


 臆すことなく何者かの絶叫に耐えながら一同は、何とか灯火流から刀を強奪する事に成功する。


【グアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァ……】


 刀に何の力があってか、灯火流の身体から離れた瞬間纏(まと)わり付いていた黒いオーラが見る見る身体から噴出して空間の彼方へ消え去った。

 すっかりとおとなしくなった灯火流は、一度気絶し、目覚めた時は、酷い頭痛に襲われていた。


「お、俺は、一体……?」


 回りには、心配そうな顔をする一同だったが、今度ばかりは、元の灯火流が戻った事を確認すると安堵の表情を浮かばせた。


「まったく、貴様はどれだけ無茶な行為をするんだ」

「そッスよ。こっちも灯火流を助けるのにどれだけ大変だったか」

「す、すまない。俺にもさっぱり何が何だか……気づいたら意識なくて……」


 彼の視線の先にジクが変異したキメラを目に捉える。


「俺が、や、ったのか……?」


 灯火流の問いに対して、誰もが無言のまま時が進む。


「お、い……誰か応えてくれよ……」

「残念だけど、その通りですわ」


 沈黙の中結晶が話しを進める。

 けれど、微動だに動く様子を見せるジクは、乾いた喉みたいな掠れ声で続ける。


「し、心配しない、で。これは、暴走した、僕が……はぁはぁ……君の仲間を、殺そうとしたからだ……はぁはぁ……」


 死の境にいるジクが精一杯の声で搾り出す。


「ジク、お前……」


 自分で殺しかけた罪悪感に駆られながらも心の何処かで安心感に浸る。

 ――仕方のない事だ――

 その思考こそが、何よりも醜い、非道の感情、思ってはいけない……なのに……


(どうして、そう思ってしまったのだろう?)


 自分の何かが変わってしまったのかも知れない。

 モヤモヤを抱えながらジクの方へ近づく。

 キメラが突然輝き始め、大きい面積の光が徐々に縮む事を認識し、その光が途絶えた時は、ジクの身体は元の姿へと再度変化した。

 両腕に悲惨な火傷が残り、胸の中心にも大きな傷跡が大いに目立っていた。


「へへへへ、やっと、身体の自由が戻った、けど、指一本も、動かせ、ないや」


 その傷で尚笑顔を振りまく姿はとても勇敢で尊かった。

 しかし、その笑顔は灯火流に取ってずしりと刀剣に串刺しにされるに等しい痛みが体中に走る。

 罪悪感から生じるその痛み(・・)――自分の所為だ――という意識が精神的苦痛を強いれていた。

 灯火流を察してか、ジクは言葉を掛ける。


「そんな顔を、しない、で、ください。君の所為、では、ありません……はぁはぁ……君の中にある存在(・・)が、仲間を、守った、だけ……」


 不確定な言葉を言い残し、瞼を瞑った。


「おい、ジク、眼を開けろ!……俺は、まだ、君を……」

「「……いや、だ……!」」


 種と真白は、徐々に体温を失っていくジクの身体を前に悲鳴を響かせ、他の一同は両目を手で覆い隠し、ジクの姿を避けるように俯く。

 湖でも出現しそうな勢いの涙の中、現実を受け難い灯火流は、心ここにあらず状態に陥っていた。


「おい、しっかりしろや、灯火流はん」


 突然激しい振動が辺りに響き、空間自体が危うい状態に突入した。

 瓦礫(がれき)が崩れ落ち、下敷きになる前に(かがみ)が水の結界を張り巡らした。


「しばらくは、()つけど……早い所ここから退散する事をおすすめするよ」

「けど、(わたくし)達はここから脱出する術を知りませんわ」

「クソッ、ここまでか」


 その瞬間ジクの身体に光が灯り一同の注目を引く。

「み、皆さん……はぁはぁ……僕が、帰り、道を、開きます。その隙にここから、脱出して、ください」


 最期の力を振り絞り、掌から光線を放ち結界の中心の床に直撃し、巨大な魔方陣が描かれた。


「ジク、君も一緒に――」


 けど、ジクはかぶりを振り、答えた。


「……僕は、ここまでです……最期に、君達と遊べた、こと、本当に、うれ、しか……った――ありがとう――」


 最期の囁きに込められた感謝の言葉は、ある種の救いを灯火流は感じた。

 その言葉が自分に向けられていた事を不思議とそう感じたからだ。

 冷えていくジクの右手を必死に握り締めながら大粒の雫をポタポタと床に落ちる。

 ジクの鼓動が弱まるに連れ空間に異変が生じる。

 空気が激しく振動し、空間自体の崩落が起き始めていた。


「早よう、魔方陣に来んかい、時間ないで!!」


 一同は、急いで魔方陣の中へ身を入れ、行きしな同様白い発光に包まれて転移された。

 移動する前、一同は確かに声を聴いた『ありがとう――』と。


「今のは……」

「ああ」


 光の中へと消えて行った一同は、その道中に微かな温かみを胸中に感じた。

 その声は、ジクの者だと気づいたのは、現世に戻ってきてからだった。


 ※※※※


 降り立った場所は、学校の体育館だが――


「おい、何だこの状況は……」

「何故こんな所に転移させらたんや、おいら達」


 そこには、教師はもちろん生徒全員が集っていた。


『急に現れたぞ!』『おい、あれって灯火流と転校生達じゃん』

 突如現れた一同に呆然と眺める生徒と教師。

 その中から勢い良く灯火流体当たりをする友香。


「おかえり、良かった、無事で本当に……良かった……」


 半泣きで抱き締める友香を優しく頭を撫でる。


「うん、ただいま」


 ■■■■


 一週間が経過してもこの話題は絶え間なく続き、次第には【神隠し】として神隠高校七つ不思議に認定されたのだった。

 灯火流達にとって大事件に巻き込まれたのだが不思議と遠い過去のように思えたのか、平和を望み続けた灯火流に至っては落ち着かない日々がこれからも続く予感がする。

 だからと言わんばかりの態度で強く拳を握り、平和が続くこの一時(ひととき)を十分に満喫すると決めた。


 ふとある日、大地が一つの疑問を口にした。


「何で、無神は、おいら達を集めようとしていたんッスかな~?」


 無神皇の目的は、未だに不明だったが、その疑問に鏡が応えた。


「以前、無神に一族が滅ぼされたって言ったな……」


 辛くも全員が複雑な思いに頷いた。


「その夜、無神と直接会った訳じゃないが、聴いてしまった。彼の心からの叫びを――」


 一同がこくりと息を呑み込み、鏡は、深呼吸してから続けた。


「――これで我らの王【ゴッドコード】が(よみがえ)る、と」


 無神が示す意味は理解できなかったが、これだけははっきりしていた。

 彼の企みを何が何だろうと阻止すべきだと……


どうも、神田優輝です。

ここまで読んでいたただいた読者様に感謝します。ここでこの物語の終了です。

けれどご安心を続きは、もう既に書いておりますが、見直しが必要なので投稿は、かなり先延ばしになると思います。


では、この作品の見所から説明しましょう。この物語の特徴は、ずばり「神」です。けれど、話は十二族に伝わる伝承から始まります。そして、思わぬ敵の出現、十三人めの神を司る「無」の神。そして、まさかの伝承をイジリ十二族を互いに戦わせるというシナリオを作り出してしまたが敢え無く看破され次の作戦に移行。そして、何よりの見所が十二神全員が記憶を上書きされている事が最後の辺りに発覚。これからの話の展開にわくわくするでしょうか?

皆さんのご想像にお任せして、次巻に引き継ぎます。

では、また次の機会まで、アデュー

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