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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

3匹の子豚と狼

作者: 蘭々


全てを飲み込むような1色の青色をした空の下に

家というには小さすぎる小屋が寂しげに1つ建っていた。

小屋には3匹の豚が並んで食事を済まし

同時に食器を片付ける


長男は耳がとても小さく

次男は鼻の先に傷がある

下男は特徴がなかった


長男は頭がよかった。母には褒められ村の豚たちからは尊敬された

次男は力持ちだった。父と仕事に行き村の豚たちからは頼りにされた

下男は特徴がなかった。父と母は可愛がってくれた。

けれど村の人達からは邪魔者扱いされた


下男はその事を理解し挽回できるように

色々なことをがんばった


数年後、両親がなくなり

三匹になってしまった



全てを飲み込むような1色の黒色をした夜空の下に

子豚と言うには大きい三匹の豚たちがいた


昔から住んでいた村が狼に襲われたという知らせを耳にした


長男は力になれず多くの犠牲を出したことを悔やんだ

次男は一緒に戦えず悔やんでいた

下男はただただ怯えていた


村は崩壊し住むところをなくした三匹の豚は

狼に復讐すべく森の中に藁の家を建てた

3匹で住むほどの大きさは作れず

1匹ずつ家を作った


寝ていた長男が物音がして起きたのは

夜中の3時頃だった

寝起きで重たい体を起こすと藁の扉を開け

冷たい風が吹き抜ける外へ出た


長男が目にしたのは

闇に呑まれる木々達と少しの光を目掛けて飛び交う虫達

そして

下男の住んでいた藁の家が

バラバラにされ鮮血が花を咲かせていた


......................................................



それからは行動が速かった

次男を起こし

鮮血を見て、悔やむのではなく

下男の死を即座に受け止め

近くに狼がいることを理解する。

長男や次男も下男を好きではいなかったためである

下男の死よりも

自分の命と復讐が上回った


次男は力持ちだった

小さい頃から父親と木を運んだり重いものを担いだり

村の人たちの手伝いをしたりしていた

多くの人から賞賛を得ていつしか自分の力に自信が付いていた

そして次男は本心では狼を力でねじ伏せられることを自分の力を疑わなかった

重い木を数時間で大量に運び込み

入口が一つの家を建てた

瞼に乗る汗を拭い不安など微塵を感じない

自分に酔いしれていた

村人は弱いから死んだ

両親も弱いから死んだ

下男も弱いから死んだ

そして俺は強いから生きる

ひとつしかないドアを見つめ狼が入ってくるのは、いつかいつかと不敵の笑みを浮かべながら鼻歌を歌う音だけが夜の空に鳴り響いた



下男が亡くなってから

次の夜になった。夜中の2時を回るころ

次男のひたいには多くの汗がながれ

床に落ち、音もなく雫は形を消した

次男に襲うのは緊張感でなく、自信のせいで

襲ってきた睡魔だった

けれど木で作った窓もなくドアもひとつしかなく

ドアもしまっている家はとても熱く感じた

襲ってくる気配のない、狼は今夜は長男の所へ行くのかと1人考えていると

外が異様に明るいことに気づく

「朝・・・なのか?いや、朝にしては光がオレンジ過ぎる」

暑さで前が歪む錯覚に陥って空気が薄い事にも同時に気づく



燃やされていた




次男はユルユルと揺れる大気の中

酸素の少ない脳に強制的に命令をし

足を引きずりながらドアの外へ出た。

明るい光をだしながら次男を死の闇に連れ込もうとした炎を憎たらしく睨む

力に任せすぎた次男は

頭の良い狼に殺されかけた

殺されかけただかだと微笑んだ

狼の企みは失敗したのだ

丸焼きにする気だっただろうが先に逃げられた

後は狼を殴り殺すだけだ


否、狼は焼く気ではなく外に出すのが目的だった


次男が首を上げたそこには"狼"がいた

次男は笑をこぼし殴りかかるが

脳がいうことを聞かない

腕は空を振る

うごかない脚を震わせ

死の恐怖に声の出せない口を震わせ

地面に叩きつけた腕を震わせ

狼の顔をみた目を震わせ

次男の頭は胴体から離れ、熱を持った地面に転がる

橙の炎に負けない赤い血をまき散らし

次男の命は絶えた。


"狼"は木の影から

長男がレンガの石で家を作り上げるのを待った

それが自分に不利になる事は百も承知で


けれど"狼"はその不利を乗り越えることに意味を見出し

その不利を乗り越えそこにいる命を絶つことに

自分の価値を委ねた

物陰から覗く"狼"は見た目に特徴はない

力も無かった。狼にあるはずの大きな耳は小さく

狼の立派な鼻は豚のように丸く

狼の危険な爪はヒヅメだった

そこにいるのは"狼"ではなく

特徴のない下男だったのだから


下男は狼に村が襲われた事を聞き

真っ先に脳内を埋め尽くした事は

全てはリセットされ下にいた自分が上に上がれる可能性があるということだった


そしてうまく自分が死んだ様に見せかけ

次男と長男が本気で立ち向かうのを待った


次男は頭が回らないことを知っていたから

燃やして外に出し殺した


長男は頭が良いが力がないから

家の中に入れれば勝利そのものだ


下男の手には石を研いだナイフが握られている

ナイフというよりナタと言った方が近い物だ


レンガの家が出来上がる夜中までの時間を暗い洞窟の中で眠って待った


......................................................


フクロウの鳴き声を聞き

閉じていた瞼を開く

瞼を上げたことを分からなくするような

暗い洞窟からでて

遠くから長男の家を見る

とても頑丈でドアも鍵があり

煙突からは薄い湯気が登っていた


正四角のレンガの家は

大きな崖の下にあり

崖の壁を背にし堂々と佇んでいた

ドアは森を向き、煙突は夜空に向いていた

煙突に続く大きなハシゴもつけてあった


作戦は簡単な事だともう1度頭の中に叩き込む


下男は実は生き延びていて

助けて欲しいと長男に求め家に入れてもらう

そしたらそこで切り落とす

簡単でシンプルだ


木々をぬけレンガの家の前に立つ

ドアを叩く

石とヒヅメが擦れる音が響き

次男は喉を震わす

「お、おにいちゃん・・・助けて、おねがい!あけてっ!」

ずっと怯え何回も言ってきた言葉だ

慣れていた

そのお陰で演技のような空気は出さずにすんだ


返事をまち

返事がないことに気づきドアを押す

が、とても重たく開かない

「鍵か。」

寝ていたとしたら聞こえないな、けれど

煙突から入るほど馬鹿じゃない

落ちたら危ないし、普通に降りれたとしても

湯気がたってる以上豚の丸焼きになる事は間違いないだろう、


壁の向こうから声が聞こえた


「下男、お前なのか?済まない、ドアまで地面とくっつけてしまって、煙突から入ってくれないか?」


間違いなく長男の声で煙突へと誘導しようとする


もう1度言おう

そんなにバカじゃぁない


「はやく入ってこいよ、次男も死んでいたんだ、お前もしんでしまうぞ!」


演技だった

心が無かった

下男は気づいた

長男は下男が狼ということに


けれど、演技の力は無かったようだ

故に煙突への誘導は仕留めるための手段ということに確信を得る


下男は大きめの石を担ぎ

何とか屋根に登る


煙突を覗けば

下には鍋があるのも見えた


すべて読み通り

そしてここからは長男でさえ読めない奇襲をかける


煙突から石を投げ込みバランスを崩した鍋は横に倒れ

炙っていた火は水により消え

熱々の鍋は家の中に転がっていった


故に、煙突の下から

下男にとっての驚異は消えた


豚とは嘘でも言えない

狼のような狂気の顔をし煙突の中をハシゴをいれ

降りていく


ドアは開かず

煙突は下男がいて

その下男の腕には凶器が握られている

長男の死は

下男が家のなかに降りた時点で確定する────


はずだった


家の中はベットもなく入口もない



────長男の短いはずの耳はとても大きかった


────豚のように短い鼻はとても長く立派だった


────豚のヒヅメではなく鋭い爪と牙だった


家の中には

煙突から降りてきた1匹の"狼"と


家の中で鋭い牙をだした"狼"がいた


一瞬だった

目で見た"敵"を狼と認識し

脳に伝え、脳が腕や手足に逃げろという命令をだす

より速く


本物の狼の牙や爪が

下男という豚の肉を引きちぎる


鮮血をまき散らし

悲鳴をあげ

苦痛に身を顔をゆがませ

命は軽々と消え去った


......................................................


叫び声がレンガの家の中から

消え去った頃

崖の壁に背を向けた家の裏に長男が音を立て座った


長いため息のあとに

空っぽな黒い夜空を見上げる


夢だった

母さんと買い物をして

父さんとお仕事をして

次男と喧嘩をして

下男とおしゃべりして

村の人たちと空を見上げるのが


二匹の狼に村の人も兄弟もやられ

自分の手で1匹の狼をつかまえ

捕まえた狼にもう1匹の狼を殺させた


狼を逃がさないためにも

ドアを固める必要があった。

そして、もう1匹の狼を逃がさないため

煙突が必要だった


そして

2匹の狼を閉じ込めた殺したあと

産まれた

もう1匹の狼・・・3匹目の狼


そう、長男という狼を退治するため

長男は月明かりにのみ照らされた

煙突へ

中の見えないまっくらな闇の中へ身を投げた





どうも気休めにかいた話です

楽しめた方ももったいないなぁ、こうしたらいいのにって思う方もコメント御願いします!

今後とも宜しく御願いします!

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