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映る者

誤字脱字や誤った表現がありましたらご指摘してくださると助かりますm(_ _)m

「おはようございます!おにいさま!」


「おう、おはよ。」


「兄貴!おはよう!」


「おう、おはよ。」


「陽向、おはよ。」


「おう、おはよ。」


と連続しておはよをかましたあと、俺はソファーにふんぞり返ってスマートフォンをいじり始めた。


「おにいさま、スマホばっかりいじらないでください!」


朝陽が俺に注意する。


「しかたないだろ、今日はパ〇ドラのアプデきてんだよ。」


「んもうぅ、スマホじゃなくて私をいじってくださいよぉ〜。」


朝陽が頬を膨らます。


「違うでしょ朝陽。」


と夕陽が言う。


「おっとそうでしたそうでした。」


朝陽はポンと手を叩く。


「おにいさま、そんなことしている暇があったら、手伝ってください!」


「はぁ…はいはい。」


と俺はだるそうに起き上がった。ここ1週間まともに眠れてないのだ。


原因は、あの夢のせいだ。


「なんなんだよ…ほんとに…。」


俺は少し不機嫌だった。






帝学には5つの闘技場がある。


そして帝学剣術魔術大会ではこの5つの闘技場を使って行われる。


「はぁ…。」


「どうしたのですか?おにいさま?」


「んん?あ、あぁ…ちょっとな。」


ここは帝鬼第2闘技場の控え室。


対戦する者同士には、それぞれ控え室が用意される。


「不安なのですか?」


とベンチに腰掛けている俺に朝陽が話しかけてきた。


「いや…それとは違うかな。」


「おにいさまらしくありませんね。」


「そうか?」


「そうです。」


確かに俺は自分でもわかるくらいに浮かない顔をしていた。


影斗との対戦が不安なのではない。


ならなんだろう。それは本人である自分ですらわからない。


「でさ、なんで朝陽がいんの?」


「ダメですか?」


「いや、ダメじゃない…けど……。」


「おにいさま!元気を出してください!」


「ん…あぁ。」


それでもやる気が出ない。本当にどうしたものか試合はもう10分前だというのに。


すると、何かが俺を後ろから包み込んだ。


「お、おい?!朝陽?!」


「おにいさまを元気づけようと思いまして。」


「い、いやっ、あ、あのっ。」


俺は顔を赤くして抵抗する。


だが、その抵抗もむなしく、仕方なく俺は朝陽に身を委ねた。


「落ち着いてくださいおにいさま。今のおにいさまはおにいさまらしくありません。私が大好きなおにいさまは、私が憧れているおにいさまは、そんな人ではありません。」


その言葉が俺はの胸に突き刺さった。


「そうだな…妹の前で…かっこ悪いところ…見せるわけにはいかないもんな…。」


俺は勢いよく立ち上がって、


「ありがとう朝陽、なんか吹っ切れた。」


「それは良かったです!」


とニコニコしながら言った。


でもいきなり顔を赤らめた。


「ででででは、おおおおにいさま、ししし試合がももももうすぐ始まりますよ??」


と言い残して走り去っていった。


なんなんだ、あいつ。


でも、なんか少し、楽になった。








その頃、私は朝陽と夕陽の席をとって陽向の試合が始まるのを待っていた。


「空里せんぱ〜い!」


と白髪のポニーテールを揺らしながら夕陽がこっちに来た。


だが夕陽1人だ。


「あら?夕陽、朝陽は?」


と私は訪ねた。


「あぁ、朝陽は兄貴のところに行きましたよー。」


「あら、そう。」


とりあえず納得した。


夕陽を私の隣に座るよう促した。


私には、ひとつ、聞きたいことがあった。


陽向に簡単に聞いたところ、今回の陽向の対戦相手である睦月 影斗は睦月家の次期当主であると聞いた。


だが、2人のやりとりを直で見たことがあるが、仲はあまりよろしくないように思えた。


私が思うに、家柄の間で争いなどが起こっていると考えた。


もしかしたら、夕陽も知ってるかもしれない。


聞くなら今だ。


そして、思い切って聞いてみた。


真実を知りたい。その一心で。


すると夕陽は口を開いた。


「まあ、先輩もいずれ知ることになるかも知れませんからね。話してもいいかな。」


夕陽は真剣な表情に変わった。


「いいですか先輩。この日本という国には十二派閥存在するんです。」


いきなり変なことを言われた。はて、派閥?


「あぁ、派閥ってのは簡単に言えば宗教みたいなもので、それぞれの剣術や魔術が色々違うんです。ほとんど同じ技でも名前が違ったり。」


「うん。だいたいわかったわ。」


夕陽は続ける。


「その十二派閥とは睦月派、如月派、弥生派、卯月派、皐月派、水無月派、文月派、葉月派、長月派、神無月派、霜月派、師走派のことです。」


「えっーと、つまり影斗はその睦月派で、あなた達兄妹は如月派ってこと?」


「そういうことです。元々、その十二派閥はそれぞれ仲が悪かったので、犬猿の仲なんですよ。」


「なるほど。」


「それと、早乙女家は如月派に入ります。」


「あぁ、そうね…。それぞれ派閥ごとに行く学校は決まっているの?」


「はい、本当は。」


本当…は?その言葉に私は引っかかった。


「睦月 影斗は元々この学校には入れないはずなのです。」


「やっぱり…じゃなんでうちの学園に入れたの?デマ?」


「いえ、睦月 影斗はちゃんと帝学の生徒手帳を持っていますし、手続きも完了しています。」


「じゃなんで…。」


「あたしのお父さんなんですけど、如月(きさらぎ) 太陽(たいよう)は、争いを好みません。というかそれが如月派の考え方です。しかし…」


「しかし…?」


「規模で言えば睦月派が1番巨大です。ですが如月派は少数精鋭で、規模こそ小さいものの、戦力は睦月派を上回るか…同等か、と言った感じで、如月派の平和主義の考え方に説得力がないんです。」


確かに、武力を持っているものが、平和主義を訴えるなど、説得力がない。


「なので、こう言ったことで他派閥の生徒を引き受けたりして説得力を持たせようとしているのです。」


「なるほどねぇ…。」


「これ以上はあまりあたしも詳しくないので…」


「えぇ、いいわ、ありがと夕陽。」


ちょうどその時、


「空里せんぱーい!」


白髪のセミロングが揺れた。


朝陽だ。


朝陽は私の隣に座ってきた。


今私は如月姉妹にサンドイッチ状態である。


するとちょうどアナウンスが鳴った。


『レディース!アーンドジェントルメーン!これより!帝学剣術魔術大会を行いまーす!』


と元気のよいアナウンスだ。


帝学剣術魔術大会では、それぞれ、ロボットの電子音ではなく、ちゃんと実況がつく。


『実況はわたくし!(ひいらぎ) 華扇(かせん)がお送りいたします!そして!今回!解説を務めていただくのは!天野(あまの) 久瑠海(くるみ)先生でーす!』


『よろしくー。』


天野先生は主に剣術家の女教師だ。いつもなぜかやる気がない。彼氏いない歴=年齢…らしい。まあ、年齢も明かしてくれないんだが。


陽向も影斗も剣武装(ソードギア)なので、解説には適任なんだろう。


『今回の対戦カードは!(レッド)コーナー!『千剣』!如月 陽向!!』


歓声があがる。と同時に陽向が姿を現す。


「おにいーさまー!頑張ってくださーい!!」


朝陽も声を上げた。なんだか嬉しそうに見えるのは気のせいか。


『続きまして(ブルー)コーナー!ななななんと!睦月派からの刺客!『幻影の覇者(ファントム)』!睦月 影斗!!』


またまた歓声があがる。


心なしか陽向よりは薄いが。


同時に影斗が姿を現す。


まあ、さすが如月派の学園と言ったところか、偏見などはないようだ。


『さあ!これは大変なことになりましたよ!睦月派、如月派のそれぞれの次期当主が!ここで剣を交えるのです!必見です!!』


会場が静まりかえる。


「来い、妖刀『陽炎』。」


陽向は右手をかざしてこう言って、黒い鞘に入った刀を出現させ、腰に差し、


「力を寄越せ、陽炎修羅!」


一気に抜き放つ。


黒い刀身がフィールドに向けられている照明に照らされ輝いている。


「力を、『影剣(シャドウ)』。」


影斗も右手をかざして、紫色の短剣を出現させた。


紫色の短剣は不気味な輝きを放っている。


そして、


『Are You Ready?』


のアナウンスとともに、両者構える。


『Let's Combat Start!!』


そして両者走り出す。


戦闘が、始まった。

陽向VS影斗!戦闘開始!!


次回もお楽しみに!!

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