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縛り縛られ  作者: 猫面人
夏紀
10/13

十話 友達

「夏紀ちゃんって彼氏居ないの?」

 いつものように屋上で弁当を広げていると、美雪先輩が突然言った。

「な、なんですか急に」

「だって、あなたいつもここに来るじゃない。他に友達居ないの?」

 居ないです。はい。やめてくださいほんとに。この話は止めましょう。

「い、居ますよー」

「ふーん、誰?」

 誰とか聞かないでくださいお願いします。

「えーあーえー。せ、先輩こそ他に居ないんですか?」

 「こそ?うーん、まぁ、居るっちゃ居るけど、本当に友達って思ってるのは夏紀ちゃんだけだよ?」

 あ、なんか嬉しいです。ありがとうございます。なんか照れます。

「で、夏紀ちゃんは?」

 あー、やっぱり終わってなかったんですね。そりゃそうですよね。

「私も本当に友達だと思ってるのは先輩だけですよ」

「ふーん、やっぱり居ないのかぁ」

 ひどいわ美雪先輩心を抉ってくるなんて!

「だから居ますよ!」

 バカ!私のバカ!なんでそんなこと言っちゃうのよ!

「へぇ、じゃあ連れてきてよ!明日にでもさ」

 わぁ。先輩すごい笑顔。かわいい!なんて言ってられない。言ってないけど。

「い、良いですよ。それくらい」

「で、名前は?友達の?」

 先輩絶対わかって言ってる!

「明日のお楽しみです!」

 明日まで友達つくらなきゃ!何としても。

「えー!ひどいなーもったいつけちゃってさぁ」

「いいんです!明日がもう楽しみでしょ!」

 友達ってどこに行けばできるのかな?材料とか買わなきゃいけないのかな?

「しょうがないなー待ってやろう」

 とりあえず教室…いや、いまさら出来上がったグループに入れない。なるべく独りの人を狙おう。

 視線を感じて横を見ると、先輩がこちらを一心に見つめていた。

「何…見てるんですか」

「いやだって、すごい難しいこと考えてそうだったから」

「何も難しくありません!今すぐ作ってきます!」

 そう言って私は立ち上がった。

「作るって、何を?」

「友達です!」

 私は扉に向かって走った。後ろから声が飛んでくる。

「やっぱり居ないんだ!」

 …あ。

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