~第45話~ 小説が泣いている
さすがに、そろそろノルマがきつくなってきた。前回のノルマ16枚をヘトヘトになってどうにか終え、次は17枚。このまま続けていくと、やがて20枚を越える。そろそろ限界か…そんな風に思っていた時、神の啓示があった!
これだ!と思い、僕はノートパソコンに飛びつく。ライラ・ライの仲間になった動物たちに歌を歌わせるのだ!それも、ドとかレとか、音階を1つずつ担当させる。ちょうど8匹いる。ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ドと8つの音階を任せられる。後は、適当に曲を作って、1行ずつ改行していけばいい。
「ド」
「レ」
「ミ」
こんな感じで。
そうすれば、無限に小説を生み出せる。ノルマが何枚あろうとも関係ない。曲の長さを変えればいいだけだ。瞬く間に枚数を稼げるだろう!
…と、考えた僕だったが、悪魔に怒られてしまった。そりゃ、そうか。それにしても、“小説が泣いている”か。悪魔の奴、なかなかいいコトを言いやがる。
考えてみれば、当然か。小説には、それぞれに与えられた長さというものが存在する。それを無理に引き伸ばそうとしてはならない。それは、かつて僕自身が考えていたコトじゃないか。同じように、こんな風に水増ししてはならない。
それは、決して会話を多用するのが駄目だと言っているわけではない。必要ならば、ズラ~ッと会話が続く場面があってもいいだろう。それが、本当に必要ならば、だ。それは、地の文に関しても同じ。必要ならば、いくら長くなっても構わないし、必要がなければ短くパシッと終わらせるべきだ。
こうして、僕は反省した。反省し、心を入れ替えて、再び真剣に小説に向かい始めた。