~第3話~ ノルマ2枚
今度は、怒られない。これならば、大丈夫だったようだ。
では、続けて、次の回。今度のノルマは2枚だったな…
*
~第1話~ 勇者の伝説
かつて、世界は魔王の力により滅亡しかけていた。魔王の軍団は、世界を支配し、人間達を奴隷の如くこき使った。人間の中には、反乱を起こそうとした者もいたが、それらの反乱は魔王の手下達によって、ことごとく鎮圧された。刃向かう者は、容赦なく切り捨てられた。あるいは、人体実験の実験材料にされたりもした。
そこで、1人の勇者が立ち上がる。勇者は、人間と魔族、両方の血を引いていた。それで、人間の反乱のように見つかるコトがなかったのだ。勇者は、魔王の味方をするふりをして、次々とレベルを上げていった。そうして、密かに同じような境遇の仲間達を集め、戦闘の準備を整えていったのだ。
実は、人間だけではなく、魔王の圧政に耐えかねていた種族は大勢いた。森の精霊や、水の妖精、古代から生き続けるドラゴン、ドワーフやエルフといった者達であった。人間と魔族、両方の血を引く勇者は、種族間の交渉に長けていた。
こうして、数々の仲間を得た勇者は、ついに魔王に対抗する一大勢力を築き上げ、戦闘の口火を切った。
戦争は、何年も続いた。どちらが勝ってもおかしくなかった。それでも、勇者側の勢力は、徐々に優勢になっていき、最後は魔王の軍団を打ち破るコトに成功した。
こうして、勇者は勝利したのだ。世界に再び平和が訪れた。誰もが平等に幸せに生きていくコトのできる世界。種族に関係なく、全ての生き物が公平に生きられる。それぞれの得意分野を生かし、伸ばしつつ。力持ちは力仕事を、知恵のある者は頭脳労働を、といった感じで。
…と、これが僕らの住む世界に伝わる“勇者の伝説”です。
でも、実際は、こんなものではなかった。こんなのは単なるでっちあげだったんです。
*
ま、こんなものか。
ちょっと大変だったけど、まだいける。まだ大丈夫。