~第24話~ 小説書きたくない病
「うわああああああああああああああああ!クッソ!なんだ、この野郎!!畜生!書けねえ!書けやしねえ!!」
急に、病気が再発してしまった。小説書きたくない病が。
先の展開が思い浮かばないわけではない。むしろ、その逆。先の展開が思い浮かび過ぎるのだ。もうずっと先の方まで考えてしまっていて、僕の頭の中では、終盤近くまでストーリーができあがってしまっている。
だが、そうなると「書く必要がないのではないだろうか?」と思えてくる。「頭の中で、物語が完成してしまっているならば、わざわざそれを文字にする必要がどこにある?」ついつい、そんな風に考えてしまうのだ。
「クッソ!出しやがれ!この狭い部屋から出しやがれ!!なんで、こんな狭い部屋に閉じ込められてんだ!!」
僕は、叫びながら部屋の中を暴れ回る。
こうなってくると、何もかもがムシャクシャしてくる。全てが理不尽に思えてくる。小説を完成させるまでは、この部屋から出ることはできやしない。僕自身も、それはよくわかっている。だけども、どうしようもない。頭ではわかっていても、感情はそれとは別。それが人間ってものだから。
「うえ~~~~~~~ん」
僕は、今度は泣き始める。子供みたいに泣きじゃくる。だけども、それでも、どうしようもない。誰も助けてはくれない。呆れてしまったのだろうか?悪魔も出てきやしない。
「めんどくさい!めんどくさい!めんどくさい!」
小説を書くのがめんどくさい。めんどくさくてたまらない。先の展開がわかってしまっているコトが、こんなにも嫌なコトだとは。
人生はつまらない。退屈だ。それでも、先がわからないからこそ生きていける。自分の思い通りにならずに、不満を感じてみたりもする。それでも、未来にどうなるかわからないなら、生きていける。
けれども、この後、自分がどのような人生を歩むか見えてしまっていては、生きていく意味などありはしないのではないだろうか?小説も、それと同じ。先の展開が見え過ぎてしまっていては、書く意味などない。そう思えてしまう。
そんな風に、一通り暴れまくり、泣きじゃくって、僕はちょっと満足した。
義務感に苛まれながらではあるけれども、再び机の前に座り、ノートパソコンに向って、キーボードを叩き始めた。