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夏休み家出?計画-2

「それもう『家出』じゃねえよ」

 健秀の言葉に僕も同意見だった。

「だって、いくら今年で卒業だからと言っても、僕たちはまだ小学生だからね。子供だけじゃ危険だし」

「じゃあお前の姉さんに一緒に来てもらえばいいじゃん」

 麻也の姉である浬弥りみさんは、三歳年上だから今は十五歳、中学三年生のはずだ。

「いや、姉さんはまだ中学生だから保護者にはならないし、『あの』姉さんが毎日付き添うなんて考えただけでゾッとする」

 麻也は浬弥さんのことが苦手らしい。僕も何回か会ったことはあるが、確かに『あの』としか言い様がない。

「第一、保護者がいるんじゃ『家出』にならないだろ」

 言われてみればそうかもしれない。が、そういう問題ではないと思うのは僕の気のせいだろうか?

 それに、と腕を組み、麻也は考え込んだ。

「他の課題もやらなくちゃならないし……」

「オレ、プール行こうと思ってたんだよな」

 何故か僕の方を見て健秀は言った。

「――っ、ぼ、僕は読書感想文の本を読もうと思ってたし」

 慌てて言う。

 健秀に、無理矢理プールに連れて行かれそうな予感がしたからだ。

 しかし。

「プール……そうだな、そこの土左衛門を何とかしなきゃな」

 麻也も健秀に同意した。

「……ド○えもん?」

「とにかく!」

 麻也は健秀の言葉を無視した。

 そして口にした麻也の結論は、

「明日一回家出してみてから考えよう」

「ダメじゃん!!」

 思わず叫んでしまった。

 いつも考えてから行動する麻也らしくない。

「たまには冒険も必要だよ」

「冒険って……」

 僕の考えを読んだかのような麻也の言葉に、絶句した。

 なぜ、家出するのにそんなに楽しそうなのだろうか。

 見ると健秀も、

「冒険かー。いい響きだなー」

 と楽しそうだ。

「……二人とも、本気?」

 一応確認してみた。

 僕をからかうための冗談かもしれないと期待して。

「もちろん」

「あったり前だろ。何言ってんだよ」

 二人は真顔で答えてきた。

 どう返せばいいのかわからない。

「安心しろ。お前を仲間外れにはしない」

 麻也は言うが嬉しくない。

「あ、でもオレ明日部活あるぞ」

 そういえば健秀は野球部だった。

「……そういう問題もあったか……」

 麻也は唸って頭を抱えた。

 僕と麻也は部活に入っていないので忘れていたようだ。

 部活を休ませてまで実行する気はないらしい。

 しばらく悩んでいたが、

「……そうか、別に朝から実行する必要はないんだ」

「……はい?」

「……今お前なんつった?」

 何を言い出すんだこの人は。

 暑さで頭でもやられたのだろうか。

 そう思っていたら麻也に睨まれた。

「……何を考えたか問いただしたい所だがまあいい。さっきこいつが言ったようなアサガオの観察とか、例えば何かの実験だったら朝早く起きる必要があるけど、家出に時間とかあんまり関係ないだろ。そりゃあ、見つかったらアウトだけどさ」

「で、お前は何を言いたいんだ」

「一日一回、ただし三人の都合のいい時間帯に実行、ってのはどうだろう」

 ……だからそれは家出じゃないって。

「できるか? そんなこと」

「健秀の部活がある日とその時間帯を教えてくれさえすればいいんだよ。僕たちは部活入ってないし」

「あー、そういやぁここらへんに日程表あった気が」

 ここらへん、と健秀が指したのは自分の机の上。だが、そこは他のプリントやらノートやら教科書やら漫画やら漫画やら漫画で埋まっており……即ち、かなりひどい有り様である。

 ちなみに僕たちがいるのは健秀の部屋なのだが、折り畳み式のテーブルと三人の座る場所がかろうじて確保できたくらいに、周囲も散乱していたりする。 ……うん、部屋の隅で色々なものが山積みになっていたりするけれど気にしてはいけない。

「お前のものなんだからお前が探せよ」

「えー、めんどくせー」

「探せ」

 命令だった。

 しょーがねーなー、と言いつつ健秀は『発掘』を始めた。

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