計画の行方-7
「麻也、ちょっとアンタどこ行くのよ!」
「帰るって言っただろ」
慌てる浬弥さんをよそに、麻也はすでに歩き出していた。
「――ああもう! あっきー、後で電話するかもしれないから!」
「あ、はい――」
僕が返事を返す前に、浬弥さんは麻也を追いかけて行ってしまった。
そして取り残される僕。
「……」
「ねえあっきー」
「うわっ」
まだ隼基が残っていることを忘れていた。
「な、何?」
「さっきーって、意外と動揺とかするヤツだったんだね」
「うん……」
僕も驚いた。が、僕たちは小学生だ。麻也だって動揺したりはするだろう。
「そういえば隼基君、お兄さんは?」
「さっきーのお姉さんの買い物袋置いて先に帰った」
「隼基君はどうしてここに浬弥さんといたの?」
「あっきーたちと別れてから、オレは兄貴に付き合って買い物袋持ってさっきーん家に行ったんだけどね」
僕の問いに隼基は言う。
「兄貴がその後知り合いと約束あるってんで途中で別れて。ほら、赤いシャツ着て兄貴と話してた人。んでオレも帰ろうとしたらサイレンの音が聞こえてきてさ。なんだろうなーって見に行こうとしたら浬弥さんに会った」
野次馬か。
「何で健秀だってわかったの?」
「自転車が転がってた」
「ああ……」
健秀が乗っているのは緑やオレンジといった、蛍光色の塗料が塗ってあるマウンテンバイクだ。あれは確かに目立つ。
「名前も書いてるし、ね」
「そういうこと。まあ、名前はさっきーのお姉さんが確認したんだけどな」
あの人は意外な所で抜け目がないというかなんというか……。
「あっきー大丈夫?」
「……僕より隼基君の方こそ大丈夫?」
見た目的にはあまり変わりはないが、一応隼基に聞いてみた。
「オレは丈夫だから大丈夫」
よくわからないが大丈夫らしい。
「それよりさっきーの方が心配じゃない? また明日とか言ってたけど、明日本当に会えるの?」
「さあ……」
あの様子では怪しいが、無理なら仕方がないだろう。
「明日さ、さっきー連れてやなぴーのお見舞い行かない?」
「え」
「その方がさっきー安心しそうだから」
「……そうだね」
意外といいことを言う。
「うん、浬弥さんから電話があったら言ってみるよ」
「じゃあオレにも連絡ちょうだい……てかお姉さんにうちにも電話するように言ってもらう方が楽か」
「そうだね」
――見舞いに何を持って行こうか、などという会話をしながら、僕は初めて麻也や健秀ではないクラスメイトと帰路に着いた。




