無意識にあなたの肩を引き寄せて乱暴なキスをした。
※多少性的描写あり。
報われない行いは辛いんだ
「ごめんね。」
いやだ
嫌だ イヤダ。
『無意識にあなたの肩を引き寄せて乱暴なキスをした。』
朝から降り止まない冷たい雨は、俺の心を残酷にさせた。
いや、拍車を駆けたと言うべきか。
もとから俺の心は残酷で
加えて、汚いんだ。
「・・・ゃだっ!!」
俺の真下で、大きな瞳が不安げに揺れた。
「止めっ・・・」
震える声が、どれほどの恐怖心を抱いているのかを物語る。
お前がいけないんだ。
こんな雨の日に、ノコノコ俺の前に現われて
そんな目で俺を見るから。
「・・・ゃだっ・・ヤダやだ!!」
駄々をこねる子供みたいに首を振って、ありったけの力で俺の肩を押す。
ただでさえ俺と君には体格の差が目に見えているのに
組み敷かれても必死に抵抗する。
そういう君が余計
余計、俺を残酷にするんだ。
「・・・っ・・ひっく・・・」
事が済めば俺の高ぶりも冷めて
汚れたシーツ、どうしようかなんて考えていたら
泣いていた君がふいに言った。
「・・・どんなに、ね」
横目でちらりと君を見る。
「カラダはアンタでいっぱいにされても」
あぁこれ何回目だろ。
「心は・・かわんないから」
あーぁ。
振り向きもせず出ていく君。
どうせまた、俺が無理にここへ連れてきてしまうんだろうけど
都度、変わらない君の気持ち。
報われない行いは辛いんだ。
こんなにも好きなのに。
気付けば雨のなか、俺は走ってて
傘もさしてない君を見つけて
ほとんど、無意識に
「・・・っ・・」
あなたの肩を引き寄せて
乱暴なキスをした。
唇を離して、声にならない位小さく低く、君に言った。
「あきらめないから」
君の細いからだに出来た大きなアザ。
見ちゃった。
アザを作るような愛。
君が、俺が大嫌いな人に受けてる愛。
だから
俺はあきらめない。
シャワーみたいな雨に打たれて
ただ、君を見ていた。
君の黒い大きな瞳が揺れた。
あえて名無しです。「俺」は「君」を無理矢理・・・って感じでしたが、その最中に「君」の体にアザをみつけるという・・・最終的に「君」の心は揺らいじゃってます笑