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旅立ち-200文字小説
路傍之杜鵑さんの二百文字小説企画「Es」のテーマに沿って書いてみました。
参加している訳ではないので、あくまで沿って書いてみただけです。
シチュエーション「晩夏の三日月を見上げ杯を交わす二人」
文字数200文字。
茨の道じゃない。それは単なる坂道だ。少しばかり勾配が厳しいけどな。
天には三日月。手に薩摩切子。火の土用夜風はさわり、澄ました顔は腹立たしくも清々しい。
蝋燭はゆらりと灯り、走馬灯はゆるりと回る。
物は言い様、心は持ち様。住めば都、進めば至福。立ち止まらない限り幸せに近づいているってか。
手に江戸切子。言葉は相手に酒は我が身に。
これで思い残すことは無い。なんて事は無い。私は背中を押されただけだと苦笑する。