眠り姫(ずーっと寝ていた友人の話)
土曜の夜、友人が泊まりにくる事になった。うちとは結構遠い所にある会社からの帰りに来ると言っていたし、ここのところずっと残業続きと言ってもいたので、遅くなるだろうとは思っていたが、23時を過ぎても連絡がない。さすがに不安になり始める。
午前零時を少し回った頃、やっと到着。挨拶もそこそこにとにかくまず腹ごしらえだー、と食べ物を抱え込み、ガブガブとお茶を飲んだ後……
コテンと横になった友人はあっという間に寝入ってしまった。
「うそやろー? 来てから20分ぐらいしかたってへんでー。アンタ食べてただけで話しもしてへんのにー……」と思ったが、
「よっぽど疲れてたんやなー。まあ、ええわ。話は明日でもできるし」と彼女に布団をかけ、私も寝る事にした。
翌朝――
私が朝食を食べ終え、洗濯をし、掃除機……は遠慮したが、やるべき事をやり終えても友人は起きなかった。
ほっといたら、いつまででも寝てそうやな、と思ったので、朝食用に作ったスープをマグカップにいれ、友人を揺り起こす。
「そろそろ、お腹すかへんー? スープ作ったよー」
と寝ぼけ眼の友人にカップを押しつけると、黙ってコクコクと飲み干し、「おいしい」 と一言いうとカップを私の手に返して、またポテッと寝てしまった。……おい!
出かける訳にもいかず、ただひたすら起きてくれるのを待つ私の横で、友人は幸せそうに眠り続ける。
眠り姫さんー、起きてよー。王子様じゃないからキスして起こす訳にはいかないのよー。
昼ご飯を食べ終え、おやつ時を過ぎても、友人は目覚めず、空が赤く染まり始めた頃、私はまた友人の肩に手をかけ、 「ええ加減に起きてー!」と揺さぶった。
「うーん……今、何時?」
「6時前」
「もうそんな時間?! ……明日仕事あるし、そろそろ帰るわ」
起きあがって、身支度を整えた友人は
「ひふみん部屋って落ち着くわー」
という科白を残して慌ただしく帰っていった。
学生時代、土曜の夜に床について目覚めると
「はよしぃやー、遅刻するでー」と、おかあさんの声。
「何ゆうとん? 今日、日曜日やで」と返すと
「アンタこそ、何ゆうとん、今日は月曜やで」と言われ、30時間以上ぶっとおしで寝ていた事に気づいた、という伝説の持ち主が相手じゃ、仕方なかったのかなぁ?
スマホどころか折り畳み携帯も普及していなかった頃のお話。疲れているのに無理して遊びに来てくれた……んだろうけど、なんていうか。




