01_前世
物心ついた頃には自分が平凡な人間なんだと気付いていた。
でも、生きてみて分かった。
自分は平凡にすら成れない欠陥人間だった。
生まれたのは国の中でも北の地方。
そこから就職を機に上京し、会社員となった。
仕事ばかりで彼女もできず、かと言って会社でもうだつも上がらないまま、ただ無駄に人生を過ごした。
過労からうつ病になった。
母親が不倫して出て行き、自身も女に何度も騙され、女性不審になった。
気付けば仕事もプライベートも何一つ報われることないまま、あっと言う間に40代になってしまっている自分が居た。
そうして、流石に自覚する「もう、自分と言う人間が『幸せ』を掴むことは無い」のだと。
仕事で認められることも、異性との恋愛も、もう諦めた。
決して何も努力してこなかったつもりはない、それでもダメだったのだ。
自分が苦しんで生きていることになんて、周りも、誰も、神様も…誰も気に掛けてくれはしない。
そうやって「人生を諦めた」思いだけは報われたらしい。
大病が自分の体を蝕んだ。
見る見るうちに体は衰え、自分の行動範囲が入院している病院内だけとなった。
年齢的にはまだまだ仕事を続けられるはずの体も、肝心の本人が病に抗うための理由、希望が無いままでは無力になってしまうものらしい。
最後の方は、夢と現実の境も分からなくなり、考えるということも出来なくなっていた。
そんな頭でも「もう、このまま眠って二度と起きることがなくなってしまえば、楽になれる」と、願ったことだけは、辛うじて思い出せる。
そして、その最後の願いだけは、すぐに叶った…。




