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00_プロローグ

人生で初めて書いてみた小説になります。

拙い面が多いとは思いますが、少しでも楽しんでいただければ幸いです。


うっそうとした森の中、まだ年端もゆかぬ少年が一人、枝葉をかき分けるように歩いていた。

ここは国境近く、目の前に見える山を越えれば、少年は生まれて初めて祖国を離れ、他国へ足を踏み入れることとなる。

一応、直前の村で聞いてきたため、道を違えているわけでは無いはずだ。

しかし、なにせ街道とは違って、近くに住む者だけが使うような道であるソレは、獣道よりは幾分かまし、程度のものでしかなかった。

枝や草を切るために振るっている剣鉈も、12歳の少年の体ではやや重く感じるようになってきた。

「ふう、さすがに疲れてきた・・・。」

少年が呟く。

ただの山登りであればもっと気楽に進めるだろうが、ここは異世界。

人里離れた山奥には、見知った動物以外にも敵性種族や魔獣などがうじゃうじゃと住み着いている。

一人旅の少年は常に周囲に危険が無いか気にかけながら進む必要があり、これが初旅となる少年には慣れない疲労となっていた。


まして少年は、今やこの国では犯罪者として追われる身であった。

国の隅々、辺境の村々まで情報が即座に周知されていた前世と違い、王都で知れ渡ったような事件でも、国中に話が伝わるまでには一月ほどは掛かる。

たとえ、少年を捕まえるための部隊が結成され、王都から追手として派遣されたとしても、そうそう追いつかれるものではない。

ここにたどり着くまで、いくつの村を少年が通過してきただろうか。

そのすべての村で、少年の行方を聞き込み調査が行われたとして、この辺境の村までたどり着くまでどう考えても1週間以上は掛かるだろう。

ゆえに、追手に追いつかれる可能性が極めて少ないという事は少年も認識している。

しかし、それでも例外とは常に在り得るもの。

不測の事態は常に起こり得るものである、という事は前世の経験から十分認識している。

それゆえ少年は常に気を抜く事無く進んでいる。

そういった焦りも、気付かぬうちに少年の心の負担となっていた。


「・・・うわぁ。」

気付くと、やや開けた場所に出た。

そこから見える景色に、少年は疲労も忘れて見入ってしまう。

山の中腹から見下ろす景色には、一面、緑が広がっている。

ところどころ見える白い煙は、これまで通過して来た村々のものだろうか?

周囲に特に危険も無さそうだ。

どうせここから先の予定なんて何も決めていない。

少年は腰を落とし、しばしここで休憩することに決めた。

「・・・いろいろなことがあったなぁ。」

まだたった12年しか生きていないはずの少年は、その外見に見合わない、しみじみとした響きで呟き、これまで起きた「いろいろなこと」を思い返すのだった。

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